病害虫発生・防除メールサービス(8月前半)

(平成24年8月1日発信)


 大阪府内の8月前半の病害虫発生状況と防除対策についてお知らせします。
 暑い日が続いています。
 作業時に熱中症にならないよう十分ご注意下さい。
 高温時の薬剤散布では薬害が発生しやすいので、朝・夕の涼しい時間帯に行いましょう。
 
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注意報第1号「果樹カメムシ類注意報」発表(6月13日)
注意報第2号「水稲いもち病 注意報」発表(7月26日)
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1 水稲
【いもち病】
★注意報第2号「水稲いもち病 注意報」発表(7月26日)
◇北部地域等で多発生。
◇低温や日照不足で発生しやすい。山間部などで、発生が多い。
◇密植や窒素肥料が多い水田では、発生しやすい。
◇まだ補植用の苗を残している場合は、早急に処分する。
◇葉に発生を認めるほ場では、穂いもちの発生にも注意し防除する。
◇発生初期に、ブラシンフロアブル等で防除を徹底する。

【紋枯病】
◇高温で発生しやすい。
◇発生初期に、バリダシン液剤5等で防除を徹底する。

【もみ枯細菌病】
◇出穂時に高温多湿になると発生しやすい。
◇出穂直前〜穂ぞろい期にブラシンフロアブル等を散布する。
◇前年に発生した水田では、予防散布する。

【内えい褐変病】
◇近年発生が増えている。
◇出穂時に高温多湿になると発生しやすい。特に台風に注意。
◇出穂前と出穂後の1回ずつ薬剤散布する方が効果が高い。
◇穂ばらみ期にブラシンフロアブル等を散布する。

【ウンカ類】
◇発生を確認した場合はトレボン乳剤、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤等
 で防除する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計3回まで。

【イネツトムシ】
◇密植や葉色の濃い株に発生が多い。
◇発生の多い場合はトレボン粉剤DL等で防除する。

【コブノメイガ】
◇上位葉を中心に密植や葉色の濃い株に発生が見られる。
◇多発生が予想される場合はトレボン乳剤、トレボン粉剤DL等で防除する。

【斑点米カメムシ類】
◇近年、発生は増加傾向にある。
◇出穂2週間前までに畦畔や休耕田の除草を徹底し、出穂前後の除草は、カメムシ類を水
 田に追い込むため実施しない。
◇薬剤防除は、出穂10日後頃にトレボン乳剤、スタークル粒剤、アルバリン粒剤等を散
 布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計3回まで。
◇カメムシ類は、日中はあまり活動しないため、夕方か早朝に薬剤散布を行う。

【コバネイナゴ】
◇一部の水田で発生している。
◇1株あたり0.8頭以上になると、収量、品質に影響する。
◇ほ場を見回り、発生が多い場合はトレボン乳剤、MR.ジョーカーEW等を散布する。

【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
◇次年度の発生を減らすため、ピンク色の卵塊を発見した場合は、水中に掻き落とす。
(卵は水中では生存できない)

2 なす
【うどんこ病】
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、パンチョTF顆粒水和剤、トリフミン乳剤等をしっかり散布する。
(注)パンチョTF顆粒水和剤とトリフミン乳剤は、同一成分を含むため、使用は合計5
 回まで。

【アザミウマ類】
◇一部でミナミキイロアザミウマが増加している。
◇発生が見られたら、アファーム乳剤、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマのみ)、
 ディアナSC等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、農薬の使用履歴を確認し、使用回数制限に注意する。
◇系統の異なる薬剤を組み合わせて、ローテーション散布する。
◇施設では、天敵や寄生菌を使った生物農薬も利用できる。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:15〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)(散布後、施設内を保湿する)
 適温:18〜28度

【オオタバコガ】
◇1頭の幼虫が数個の果実を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、中に幼虫が入っている可能性が高いので、早めに処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、プレオフロアブル、スピノエース顆粒水和剤、アファーム乳剤
 等で防除する。
【黄色灯によるヤガ類の防除】参照

【ハダニ類】
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると、天敵が減少し、ハダニ類が増えやすい。
◇発生初期の方が防除効果が高いので、発見後早めにマイトコーネフロアブル、ダニサラ
 バフロアブル、スターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳する。
◇購入苗の場合は、育苗期の農薬の使用履歴もしっかり確認する。

【チャノホコリダニ】
◇微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇がく片が褐変するなどの被害が発生したら、コロマイト乳剤、ピラニカEW等を散布す
 る。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳する。
◇購入苗の場合は、育苗期の農薬の使用履歴もしっかり確認する。

【ソルゴ囲い込み栽培】
◇ソルゴが出穂したら刈り込んで、なすを日陰にしないようにする。
◇ソルゴに支柱を立て、マイカ線で囲むようにすると強固な防風壁となる。
◇チャノホコリダニには有効な天敵が少ないので、薬剤でしっかり防除する。
◇天敵類に影響が強いアディオン乳剤やロディー乳剤等、合成ピレスロイド系薬剤の使用
 を控える。

3 キャベツ等あぶらな科野菜
(作物によって農薬の登録内容が異なるので、注意する。)
【根こぶ病】
◇根こぶ病の多発したほ場での育苗・栽培を避ける。
◇土壌pHを6.5〜7.0に調整する。

【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
◇8月に発生が急激に増加することがある。
◇キャベツのは種・育苗期に当たるが、セル成型苗では発生すると欠株を生じるので、発
 生初期に防除を徹底する。
◇被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
◇セル成型育苗トレイにプリンス粒剤(キャベツ、ブロッコリー)等を施用するか、プレ
 バソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさ
 い等)等をかん注する。
◇発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。

4 ぶどう
【べと病】
◇多発して落葉すると樹勢が低下し次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっか
 り防除する。
◇発生が予測される時期に、ボルドー液などを散布し予防する。
◇収穫前の園では、収穫前日数に気をつけて防除する。

【褐斑病】
◇秋期落葉期まで発生し、落葉を早めるので注意する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響する。
◇発生を確認した場合は、収穫終了後にジマンダイセン水和剤等でしっかり防除する。

【晩腐病】
◇収穫期が近づき、糖度が高くなった果実で発生しやすい。
◇収穫期に雨が続くと、多発する。
◇気温20〜25度で、雨が多いと発生しやすい。
◇鳥獣害や裂果等で傷ついた果房から発生することが多い。
◇被害果房は園外に持ち出して処分する。

【ハダニ類】
◇施設栽培で発生しやすい。
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると発生が多い。
◇多発し早期に落葉すると、着色障害など果実品質に影響する。
◇除草を行うと、雑草にいたハダニ類がぶどうに移動して、急に被害が増えることがある。
◇収穫が終わった園も定期的に見回って、発生を確認したら防除する。

【フタテンヒメヨコバイ】
◇多発し早期に落葉すると、着色障害など果実品質に影響する。
◇収穫終了後、モスピラン顆粒水溶剤等を散布する。

【ブドウトラカミキリ】
◇成虫発生時期は8月中旬〜10月上旬である。
◇収穫終了後、モスピラン顆粒水溶剤等を散布して防除する。

【アメリカシロヒトリ】
◇ぶどう以外にも多種の果樹類、街路樹等を食害する。
◇収穫終了後の園も定期的に見回って、発生状況を確認する。
◇発生を確認した場合は、デルフィン顆粒水和剤(果樹類・ケムシ類)やフェニックスフ
 ロアブル(ケムシ類・14日前まで)を散布する。
◇ハダニ類が発生しやすい園では、合成ピレスロイド系の薬剤を散布すると、天敵が減っ
 てハダニ類が増加することがあるので、デルフィン顆粒水和剤を使用する。

【トビイロトラガ】
◇収穫が終わった園も定期的に巡回し、発生が多い場合はデルフィン顆粒水和剤、コテツ
 フロアブル等で防除する。

5 温州みかん
【そうか病】
◇長雨が続くと発生しやすい。
◇発生を確認した場合は、トップジンM水和剤等で防除する。

【黒点病】
◇雨によって広がるので、注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、ジマンダイセン水和剤等で防除する。

【ミカンハダニ】
◇例年、梅雨明け頃から増加する。
◇合成ピレスロイド系の殺虫剤は、天敵を減らすため、
 多用するとハダニ類の増加を招く恐れがある。
◇同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
 同一系統剤の例:ダニトロンフロアブル、サンマイト水和剤、ピラニカ水和剤

6 もも
【せん孔細菌病】
◇発生を確認した場合はチオノックフロアブルを散布する。
◇薬剤を散布する場合は、収穫前日数を厳守する。
◇収穫前に散布できない場合は、収穫終了後に防除する。

【吸汁ヤガ類】
◇夜になると果樹園に飛来して、果実を吸汁するガの総称である。
◇果実袋の上から吸汁することもあるので注意が必要である。
◇収穫間際に飛来する害虫なので、薬剤による防除は難しい。
◇黄色灯による忌避が効果的である。
【黄色灯によるヤガ類の防除】参照

7 いちじく
【イチジクヒトリモドキ】
◇葉や果皮を加害する黒い毛虫である。
◇5月下旬〜6月上旬に第1世代の幼虫が現れる。
◇年に5世代程度発生する。
◇大阪府内では、平成19年度に初めて発生を確認した害虫である。
◇高槻市、柏原市、羽曳野市、堺市など府内各地で発生が確認されている。
◇新梢生育期に食害を受けると被害が大きいので注意が必要である。
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、デルフィン顆粒水和剤、アディオン乳剤等を散布する。

8 果樹類
【果樹カメムシ類】
★注意報第1号「果樹カメムシ類 注意報」発表(6月13日)
◇果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギ
 カメムシの3種である。
◇もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを加害
 することもある。
◇果実袋を使用した場合でも、果実の肥大に伴って果実袋と果実が密着すると、袋の上か
 ら吸汁されることもある。
◇成虫の移動能力は高く、次々と飛来するため、こまめな防除が必要となる。
◇収穫期近くでも防除が必要となるため、薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数
 に十分注意する。
◇園全体を目合4mmのネットで覆い、侵入を防ぐ。
◇黄色灯を設置、点灯して園への侵入を防ぐ。

9 きく
【黒斑病、褐斑病】
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇雨滴によって感染が拡大するので、降雨前にしっかり防除する。
◇被害葉は取り除いて処分する。

【白さび病】
◇品種により発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。

【ハモグリバエ類】
◇被害葉は取り除き、ほ場外に持ち出して処分する。

【アザミウマ類】
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。

【アブラムシ類】
◇吸汁による直接被害の他、ウイルスを媒介することがある。

◎黄色灯によるヤガ類の防除
[対象害虫]
◇もも、みかんの果実を吸汁するアカエグリバ等の吸汁ヤガ類。
◇野菜・花き類を食害するハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ等。
◇成虫の行動を抑制するもので、幼虫に対する防除効果はない。

[設置方法]
◇ほ場内の照度が1ルクス以上になるように、設置する。
◇ほ場の上方や外側にも光が行き届くほうが効果が高い。
◇日没1時間前から、日の出1時間後まで点灯する。
◇水稲やきくは夜間に強い光を受けると開花しない。周辺にこのような作物がある場合は
 黄色灯の設置方向に注意すること。

 次の情報は、8月16日頃にお知らせします。

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