病害虫発生・防除メールサービス(9月後半)

(平成24年9月19日発信)


 大阪府内の9月前半の病害虫発生状況と9月後半の防除対策についてお知らせします。
 台風の後に病害が広がることが多くあります。しっかり観察して防除を行いましょう。
 薬剤散布は、風が収まってから行うようにしましょう。

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注意報第1号「果樹カメムシ類 注意報」発表(6月13日)
注意報第2号「水稲いもち病 注意報」発表(7月26日)
注意報第3号「水稲ウンカ類 注意報」発表(8月24日)
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1 水稲
(収穫期が近いので、薬剤使用にあたっては収穫前日数に注意する)
【いもち病(穂いもち)】
★注意報第2号「水稲いもち病 注意報」発表(7月26日)
◇低温や日照不足で発生しやすい。山間部などで発生が多い。
◇密植や窒素過多の水田では、発生しやすい。
◇葉いもちが発生していない地域でも、今後の天候によっては穂いもちが発生することが
 ある。

【紋枯病】
◇高温で発生しやすい。

【もみ枯細菌病】
◇出穂時に高温多雨になると発生しやすい。
◇今年もみ枯細菌病が発生した水田からの採種はさける。
◇発病ほ場のもみ殻は水田に還元せず、処分する。
◇発病ほ場のわらは堆肥化してから利用する。生わらのすき込みはしない。

【内えい褐変病】
◇近年発生が増えている。
◇出穂時に高温多雨になると発生しやすい。特に台風時に注意が必要である。

【ウンカ類】
★注意報第3号「水稲ウンカ類 注意報」発表(8月24日)
◇一部でセジロウンカ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカが多発している。
◇発生を確認した場合は、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤(収穫7日前ま
 で)等で防除する。
 ※スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため、散布は合計3回まで。

【コブノメイガ】
◇発生を確認した場合は、MR.ジョーカーEW(収穫14日前まで)等で防除する。
◇羽化後2週間程度すると被害が目立つようになる。

【斑点米カメムシ類】
◇水田内にヒエなどのイネ科雑草が生えているとカメムシ類が飛び込みやすくなる。
◇出穂後の畦畔の除草は、カメムシ類を水田に追い込むため実施しない。
◇発生を確認した場合は、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤(収穫7日前ま
 で)等で防除する。
 ※スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため、散布は合計3回まで。

2 なす
【うどんこ病】
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、パンチョTF顆粒水和剤、トリフミン乳剤等をしっかり散布する。
 ※パンチョTFとトリフミンは、同一成分を含むため合計5回まで。

【褐色腐敗病】
◇発病した枝や果実は、直ちにほ場外へ持ち出して処分する。
◇初期防除が重要なので、発病を認めた場合にはすぐに防除を行う。
◇降雨による泥のはね上がりを防止するために、マルチや敷きわらを行う。
◇発生が見込まれる時期に、ランマンフロアブル等で予防する。
◇発生した場合は、ホライズンドライフロアブル等で防除する。
◇輸送中にも発病するので、選果・箱詰めは病果に注意して行う。

【アザミウマ類】
◇発生が見られたら、アファーム乳剤やプレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマ)、
 ディアナSC等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、農薬使用履歴を確認し、使用回数制限に気をつける。
◇系統の異なる薬剤を組み合わせて、ローテーション散布する。
◇施設では、天敵や寄生菌を使った生物農薬も利用できる。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:15〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)(散布後、施設内を保湿する)
 適温:18〜28度

【オオタバコガ】
◇1頭の幼虫が数個の果実を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、果実内に幼虫が入っている可能性が高いので、早めに処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、スピノエース顆粒水和剤、プレオフロアブル等で防除する。
◇黄色灯を終夜点灯すれば、成虫の飛来を減らすことができる。(文末参照)

【ハダニ類】
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると、天敵が減少し、ハダニ類が増えやすい。
◇発生初期の方が防除効果が高いので、発見後早めにマイトコーネフロアブル、ダニサラ
 バフロアブル、スターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳する。
◇購入苗の場合は、育苗期の散布履歴もしっかり確認する。

【ソルゴ囲い込み栽培】
◇気温が下がると土着天敵のハナカメムシ類の活動が鈍くなり、アザミウマ類が増加する
 ことがあるので注意する。
◇ソルゴに支柱を立て、マイカ線で囲むようにすると強固な防風壁となる。
◇ソルゴ囲い込み栽培により、殺虫剤の散布回数が少なくなると、テントウムシダマシ類 やスズメガなどが発生しやすいので注意する。
◇同様に、殺菌剤の散布回数が少ないとうどんこ病が発生しやすいので注意する。

3 トマト・ミニトマト
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇コナジラミ類によって媒介されるウイルス病である。
◇近年、府内での発生が増えている。
◇感染してからは対策がないので、コナジラミ類の防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種等から発芽したり、残渣から再生したトマトがあれば、処分する。
◇感染株はすぐ処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから
 処分する。

【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)
 を媒介する。
◇施設では、開口部を寒冷紗で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

4 キャベツ等あぶらな科野菜
(作物によって農薬の登録内容が異なるので、注意する。)
【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。
◇土壌pHが低いと発生しやすいので、石灰質資材を施用して、pH6.5〜7に調整する。
◇発生が予測される畑では、キャベツの定植前に、ネビジン粉剤(キャベツ、はくさい等)
 を散布し、又、定植前日か当日にランマンフロアブル(キャベツ、はくさい等)等をセ
 ル成型苗トレイにかん注する。

【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
◇定植時には健全苗だけを使用し、本ぽへの持ち込みを防ぐ。
◇被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
◇セル成型育苗トレイにプリンス粒剤(キャベツ、ブロッコリー)等を施用するか、プレ
 バソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさ
 い等)等をかん注する。
◇発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。

【ハスモンヨトウ】
◇他の作物でも発生が多く確認されている。
◇200個程度の卵塊で産卵され、若齢幼虫は集団で食害する。
 中老齢幼虫になると分散する。
◇老齢幼虫には薬剤が効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇発生を認めたら、キャベツではアファーム乳剤やフェニックス顆粒水和剤等で防除する。
◇薬剤防除に当たっては、適用作物に注意する。
◇黄色灯を終夜点灯することで成虫の飛来を抑制できる。(文末参照)

5 きゅうり
【うどんこ病】
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇ストロビルリン系剤(アミスター、ストロビー)の連用は避ける。
◇ブルームレス台木では、うどんこ病が発生しやすい。
◇こまめに摘葉を行い、過繁茂にならないようにする。
◇発生が見込まれる時期にトリフミン水和剤、フルピカフロアブル等を予防散布する。

【炭そ病】
◇過湿条件で発生しやすいので、ハウス内の過湿を避ける。
◇窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。

【べと病】
◇台風のあと発生することが多い。
◇ハウス内が多湿だと発生しやすいので、排水、換気に注意する。
◇肥切れになると発生しやすいので、追肥をこまめに行う。

【ワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ)】
◇ハウス抑制栽培の生育初期に発生が認められることが多い。
◇ハウスの開口部を寒冷紗(2mm目合)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
◇生長点および腋芽の先端を食害するので、幼虫を捕殺する。
◇発生初期にゼンターリ顆粒水和剤、アファーム乳剤等を散布して防除する。

6 ぶどう
【べと病】
◇気温が下がってくると、発生しやすくなる。
◇秋雨や台風などで雨が続くと蔓延する可能性がある。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっか
 り防除する。
◇発生が予測される時期に、ボルドー液などを散布し予防する。
◇収穫前の園では、収穫前日数に気をつけて防除する。

【ブドウトラカミキリ】
◇成虫発生時期は8月中旬〜10月上旬である。
◇収穫終了後、モスピラン顆粒水溶剤等を散布して防除する。

【アメリカシロヒトリ】
◇ぶどう以外にも多種類の果樹類、街路樹等を食害する。
◇収穫終了後の園も定期的に見回って、発生状況を確認する。
◇発生を確認した場合は、デルフィン顆粒水和剤(果樹類・ケムシ類)やフェニックスフ
 ロアブル(ケムシ類・14日前まで)を散布する。
◇ハダニ類が発生しやすい園では、合成ピレスロイド系の薬剤を散布すると、天敵が減っ
 てハダニ類が増加することがあるので、ハダニ類の天敵に影響が少ないデルフィン顆粒
 水和剤を使用する。

【トビイロトラガ】
◇収穫が終わった園も定期的に巡回し、発生が多い場合はデルフィン顆粒水和剤等で防除
 する。

7 温州みかん
【そうか病】
◇長雨が続くと発生しやすい。
◇発生を確認した場合は、トップジンM水和剤等で防除する。

【黒点病】
◇雨によって広がるので、注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、ジマンダイセン水和剤等で防除する。

【ミカンハダニ】
◇合成ピレスロイド系の殺虫剤は、天敵を減らすため、多用するとハダニ類の増加を招く
 恐れがある。
◇同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
 同一系統剤の例:ダニトロンフロアブル、サンマイト水和剤、ピラニカ水和剤

【ミカンサビダニ】
◇被害果(ちゃんぶくろ)が数多く確認されてからの防除では充分な効果が得にくい。
◇ダニトロンフロアブル、マイトコーネフロアブル等で防除する。

8 いちじく
【疫病】
◇雨が続くと発生しやすい。
◇雨水の跳ね上がりなどで伝染するので、敷きわらやマルチを行う。
◇腐敗果は早めに園外に持ち出して、処分する。
◇ランマンフロアブル等を散布して防除する。

【イチジクヒトリモドキ】
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、デルフィン顆粒水和剤やアディオン乳剤を散布する。
◇ハダニ類が発生しやすい園では、合成ピレスロイド系の薬剤を散布すると、天敵が減っ
 てハダニ類が増加することがあるので、ハダニ類の天敵に影響が少ないデルフィン顆粒
 水和剤を使用する。

9 果樹全般
【果樹カメムシ類】
★注意報第1号「果樹カメムシ類 注意報」発表(6月13日)
◇9月以降、新成虫の発生は平年並である。
◇果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギ
 カメムシの3種である。
◇なし、かき、みかんなどで被害を受ける可能性がある。
◇園によって、発生程度に大きな差ができやすい。
◇飛来を確認したら薬剤を散布する。収穫前日数を厳守する。

◎黄色灯によるヤガ類の防除
[対象害虫]
◇野菜・花きを食害するハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ等。
◇成虫の飛来や産卵を抑制するもので、幼虫に対する直接の防除効果はない。

[設置方法]
◇ほ場内の照度が1ルクス以上になるように、設置する。
◇ほ場の上方や外側にも光が行き届くほうが効果が高い。
◇日没1時間前から、日の出1時間後まで点灯する。
◇水稲やきくは夜間に強い光を受けると開花しない。周辺にこのような作物がある場合は
 黄色灯の設置方向に注意すること。

 次の情報は、10月1日頃にお知らせします。

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