病害虫発生予察特殊報第1号


                                                                            農推第1821号
                                                                                 平成24年8月6日
 関係各位 
                                                 
                                                                        大阪府環境農林水産部農政室長


                             病害虫発生予察情報について

 
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標記について下記のとおり発表したので送付します。

                             病害虫発生予察特殊報第1号

                            病害虫名 タテスジヒメジンガサハムシ
                            Cassida circumdata HERBST,1799

 1 発生作物 さつまいも

 2 発生地域  富田林市

 3 発見の経緯
(1) 平成24年7月、富田林市のさつまいも園で、見慣れないハムシを見かけ、葉に穴が開く被害が見られるとの報告があり、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産 総合研究所等と同園及びその周辺園を調査したところ、同園及び同園に隣接した1園から本虫が採取された。
(2) 採取した本虫を同定した結果、ハムシ科・カメノコハムシ亜科:カメノコハムシ属の一種であるタテスジヒメジンガサハムシであることが確認された
(3) 本種の発生が大阪府で確認されたのは、今回が初めてである。
 
4 形態
(1) 成虫は、体長約4.0~5.0mm。背面は縁が薄緑色を帯びた透明で、中央部が金緑色にU字型の黒紋が入った“陣笠状”の殻でおおわれている(図1)。
(2) 終齢幼虫は体長約6.5mm。鮮緑色で長楕円形をしており、周囲には多数の刺状突起があり、突起にはさらに刺状の微毛で覆われている。尾部の末端には、淡褐色の長い又状突起があり、ここに脱皮殻を順次つけ、尾のようになっている(持田・本間,2003)(図2)。

 5 分布・生態
(1) 国内では、琉球列島(トカラ、奄美、沖縄、南西の各諸島)、種子島、中硫黄島(小笠原)、八丈島に分布し、国外では中国(南部)・台湾・東南アジア・インド・スリランカなどに分布する。
(2) 南西諸島では、年に数回発生すると言われているが、詳細な生態は不明である。
(3) 寄主範囲は広くなく、成虫・幼虫ともにさつまいも・エンサイ(空芯菜)・ハマヒルガオの葉を食害する。
また、八丈島では、アサガオへの食害も確認されている(平成16年度 東京都病害虫予察 情報 特殊報 第1号)

6 被害
  成虫・幼虫ともに葉を丸くかじりとる(図3)が、食害の程度は軽く、芋の収穫収量への影響は小さいものと考えられる。

7 防除対策
(1) 現在、本種に対する登録薬剤はない。
(2) 未発生地域への拡大を防ぐため、発生を確認した園では、被害株の茎葉に卵、幼虫、蛹、成虫などの付着が予想されるので、収穫後の残さは、袋等に入れるなどして処分する。
  また、苗の移動は本虫が付着していないことを確認して、十分注意して行うこと。

 8 参考資料
持田 作・本間健平(2003) 日本農業害虫大辞典:106
平成16年度 東京都病害虫予察情報特殊報第1号

            
 
    図1 タテスジヒメジンガサハムシ(成虫)           図2 タテスジヒメジンガサハムシ(幼虫)



   図3 被害葉(丸くかじりとられている)
                        

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