農推第 1631号
平成24年6月29日
関係各位
大阪府環境農林水産部農政室長
病害虫発生予察情報について
標記について次のとおり発表したので送付します。
病害虫発生予報第3号(7月)
農作物名 | 病害虫名 | 予想発生量 |
水稲 | いもち病 | □~△ |
縞葉枯病病 | □~○ | |
セジロウンカ | □ | |
ニカメイチュウ | △ | |
イネアオムシ(フタオビコヤガ) | □~○ | |
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ) | □ | |
ぶどう(デラウエア) | べと病 | □ |
灰色かび病 | □ | |
クワゴマダラヒトリ | □ | |
フタテンヒメヨコバイ | □ | |
チャノキイロアザミウマ | □ | |
みかん | 黒点病 | □ |
そうか病 | ○ | |
コナジラミ類 | □ | |
ミカンハダニ | □ | |
もも | せん孔細菌病 | ○ |
いちじく | イチジクヒトリモドキ | □~○ |
果樹全般 | 果樹カメムシ類 | ● |
なす | すすかび病 | □ |
うどんこ病 | □ | |
褐色腐敗病 | □ | |
ミナミキイロアザミウマ | □ | |
野菜類 花き類 |
アブラムシ類 | □ |
ミカンキイロアザミウマ | □ | |
シロイチモジヨトウ | □ | |
ハスモンヨトウ | □~○ | |
オオタバコガ | □ | |
ハモグリバエ類 | △ | |
コナジラミ類 | △ | |
きく | 黒斑病・褐斑病 | □ |
白さび病 | □ | |
▲:少ない △:やや少ない □:並 ○:やや多い ●:多い |
5月気象予報(大阪管区気象台6月22日発表) | |||
低い (少ない) |
平年並 | 高い (多い) |
|
気温(確率) | 20 | 40 | 40 |
降水量 | 30 | 40 | 30 |
日照時間 | 30 | 30 | 40 |
A 水稲
【いもち病】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)7月の降水量は平年並、日照時間はやや多いと予想されている。
(2)昨年度、予察ほ場での発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)置き苗が発生源になるので、早く処分する。
[メモ]
(1)低温、多雨、密植、窒素過多で発病が多くなる。
【縞葉枯病(ヒメトビウンカ)】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)ヒメトビウンカの予察灯への飛来は平年同様少ない。
(2)4月に行ったヒメトビウンカの縞葉枯病保毒虫率検定では、府内平均の保毒虫率が
9%と高かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生が多いほ場では、ヒメトビウンカの防除を徹底する。
[メモ]
(1)本病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、6月下旬~7月上旬の感染
が多い。
(2)生育初期に発病すると葉が「こより状」に巻いて垂れ下がり、その後枯れる。
(3)近年、西日本で増加傾向にある。
【セジロウンカ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)セジロウンカの予察灯への飛来は平年同様少ない。
[防除上考慮すべき事項]
(1)異常飛来があった場合は、急激に密度が高まる恐れがあるので、今後の電子メール
サービス等の病害虫発生予察情報に注意する。
[メモ]
(1)セジロウンカのプリンス粒剤に対する感受性低下が問題となっている。
【ニカメイチュウ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)予察灯への飛来は平年同様見られない。
(2)昨年度、予察ほ場での発生は少なかった。
【イネアオムシ(フタオビコヤガ)】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)昨年度、予察ほ場での発生はやや多かった。
(2)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は認められなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度、府内での発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)水深4cm以下の浅水管理をする。
(2)田植後20日以内の苗が食害されるので、この時期の防除を徹底する。
(3)桃色の卵塊を水中へ掻き落とし、成貝は捕殺する。
B 果樹
1 ぶどう(デラウエア)
【べと病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)7月の降水量は平年並と予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)5月~10月にかけて、降雨が続き、気温が低めに経過すると発生が多い。
【灰色かび病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(2)7月の降水量は平年並と予測されている。
[メモ]
(1)ハウス栽培では換気やマルチを行い、湿度を下げる。
(2)かん水や薬剤散布は午前中に行い、夜間の湿度が上がらないようにする。
【クワゴマダラヒトリ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
【フタテンヒメヨコバイ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
【チャノキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)黄色粘着トラップでの誘殺虫数は平年並であった
2 みかん
【黒点病】
[予報内容]発生量 :並
【予報の根拠】
(1)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
[メモ]
(1)この病気は、枯枝上から雨滴によって広がっていく。
【そうか病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、発生はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)降雨時間が長いと発病が多い。
【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
【ミカンハダニ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)同一薬剤の連用を避ける。
3 もも
【せん孔細菌病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、発生はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多発すると防除が困難となるので、早期防除を心掛ける。
(2)強い風雨後の発生に十分注意する。
4 いちじく
【アザミウマ類】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)青色粘着トラップによる誘殺虫数は並~やや多かった。
5 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容]発生量:多い
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップ誘殺虫数は多かった。
(6月13日病害虫予察注意報第1号発表)
[防除上考慮すべき事項]
(1)果樹をよく加害するカメムシは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサ
ギカメムシの3種である。
(2)もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを
加害することもある。
[メモ]
(1)園地によって発生量に大きな差がある。
C 野菜類
1 なす
【すすかび病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、施設では平年並、露地では発生がほとんど見られなかっ
た。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ストロビルリン系薬剤(アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル)の効果
が低下している。
(2)病葉は早めに摘除し、ほ場外に持ち出し処分する。
(3)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には、葉の裏にもかかるように丁寧
に薬剤散布を行う。
(4)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)すすかび病は多湿条件下や草勢が低下したときに発生が多くなる。
【うどんこ病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、一部の施設で発生が見られたが、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
【褐色腐敗病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、発生は平年と同様見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病した枝や果実は、直ちにほ場外へ持ち出して処分する。
(2)初期防除が重要なので、発病を認めた場合にはすぐに防除を行う。
(3)降雨による泥のはね上がりを防止するために、マルチや敷きわらを行う。
【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、施設、露地とも発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実や葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する
2 非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等)
【コナガ】
[予報内容]発生量:少ない
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
D 野菜・花き類
【アブラムシ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半のなす、きくの巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)6月の黄色水盤による誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)少発生時の防除を徹底する。
(2)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)アブラムシ類は多種類のウイルス病を媒介する。
【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月下旬の露地水なすの巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)きくの青色粘着トラップの誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)収穫後の残さは、他作物等への感染源となるので、速やかにほ場から持ち出し処分 する。
(2)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(3)薬剤散布は葉の裏にまでかかるように丁寧に行う。
(4)ビニル等で畝をマルチングし、アザミウマが土中で蛹化するのを防ぐ。
(5)きくでは膜割れ(蕾から着色した花弁が見える前)前後の防除を徹底する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどは、作物を加害するだけでな くウイルス病(TSWV)を媒介する。
【シロイチモジヨトウ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半のフェロモントラップへの誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハスモンヨトウ】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は、前半は平年並、後半はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【オオタバコガ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害のあった新芽や果実は早期に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(2)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合で可)で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(3)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハモグリバエ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、発生は平年と比べやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害葉や残さは、ほ場から持ち出し、ビニルで覆い、寄生幼虫を太陽熱で蒸し殺す。
(2)しゅんぎくや大阪しろな等の軟弱野菜のハウス栽培では、収穫後に地表面をビニル
被覆し、太陽熱により土中の蛹を殺すことで、次作の被害を軽減できる(4~10月
の間可能)。
【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、ハウスなすで発生は平年と比べやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介する。
(2)発生初期の防除に努める。
(3)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(4)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(5)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(6)ほ場周辺の除草にも努める。
E 花き類
1 きく
【黒斑病・褐斑病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
【白さび病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
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(平成23年4月1日より大阪府病害虫防除所から組織名変更)
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