今年は梅雨明けが平年より早く、暑い日が続いているため、いもち病の発生は全般的に少ないですが、中山間地やその周辺地域で葉いもちが、中山間地の早生水稲で穂いもちが発生している水田がありました。
全般的には発生が少ない場合でも、止め葉等上位の葉にいもち病が発生している場合は、穂いもちに感染する危険性が十分にありますので、水田を良く見回るなどして、発生している場合は防除を行いましょう。
〈いもち病の発生しやすい条件〉
野菜栽培跡地等、チッ素肥料が効きすぎた、葉色の濃い水田
周囲に山がある、川沿いにあるなど、朝露が乾きにくい水田
昨年、いもち病の発生が多かった水田
上記のような条件で、田植時の箱施用剤にいもち病の薬剤は使用しなかった水田
▲いもち病の病斑 |
〈いもち病の生態等〉
いもち病菌は25〜28度ぐらいの湿気の多いときに増殖しやすい。
いもち病菌が侵入するには、葉上等に露などの水滴が必要である。胞子は一般的に夜中に飛散するので曇雨天でイネの露が乾きにくい時に多くの胞子が侵入する。
イネは体内に可溶性のチッ素が多いときに抵抗性が弱まる。日照の多いときはイネ体内の可溶性チッ素が少なくなり、抵抗性が強まる。
いもち病菌は種籾や被害わらなどで越冬する。いもち病に感染した籾を種籾に使用すると来年のいもち病の発生源となる。
〈防除対策〉
穂いもちの発生は上位3葉の葉いもち病斑と相関が高いので、葉いもち(特に進行性病斑)が上位葉に発生している場合は、穂いもち防除を実施する。
枝梗の部分に発生するいもち病は、遅くまで発生することがあるので注意が必要である。発生が多い場合は穂ぞろい期〜乳熟期にも防除する。
薬剤により使用時期が違うので、ラベルをよく読んで適期に散布する。
薬剤耐性菌の出現を防ぐため、同一グループの薬剤を連用しない。
薬剤を散布する時は、周囲に飛散しないよう注意する。
以下の防除薬剤を参考とする。
・ブラシンフロアブル(いもち病 1,000倍 7日前まで/2回以内)※
・ラブサイドフロアブル(いもち病 1,000〜1,500倍 7日前まで/3回以内)※
※フサライドを含む農薬の総使用回数は3回以内
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針
(http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
で確認してください。