きゅうりの施設栽培で、べと病、炭そ病、褐斑病などの発生が増加しています。発生予察巡回調査(9月19日、富田林市・河南町)において、これら病害の発生が増加しているほ場が確認されました。
8月下旬から9月にかけては、気温変化が大きく、また、降水量が平年よりやや多く、日照時間の少ない曇天の続く日が多い傾向にありました。このため、これら病害発生に適した条件の日が多くなり、発生が増加したと考えられます。
生育初期から中期に、これらの病害にかかると、生育の遅れや収量減少、品質低下につながります。発生初期に、耕種的防除や薬剤散布を行うなど、防除に努めましょう。
<きゅうり病害の発生状況 >
各調査地での平均発病葉率(9月19日) 単位:%
べと病 | 炭そ病・褐斑病 | |
富田林市 河南町 |
24.0 92.0 |
2.0 52.0 |
きゅうりのべと病、炭そ病、褐斑病の見分け方
べ と 病 | 炭 そ 病 | 褐 斑 病 | |
病 徴 | 葉に発生。始め淡黄色で境界が不明確な小斑点。後に、拡大して淡褐色に変わり、葉脈に区切られた多角形で黄褐色病斑となる。古くなると黄褐色〜灰白色になる | 葉、茎、果実に発生。葉では始め黄色の丸い病斑ができ、拡大して円形となる。周縁は褐色、内部は淡色で、同心輪紋を生じることもある。古くなると病斑は破れやすく、中央部に黒い小さな粒が現れる。露地栽培で多い。 | 主に、葉に発生。始め黄褐色で、ハロー(黄色いふちどり)を伴ったごま粒程度の斑点ができる。拡大すると、内部は淡褐色〜灰褐色で、不整形な同心輪紋を生じる。施設栽培、特に、ブルームレス台木の接ぎ木きゅうりで発生しやすい。 |
*発生初期は、これら病害の区別は難しいので、それぞれに登録のある薬剤を選んで、
輪番に散布する。
べ と 病 炭 そ 病
褐 斑 病
<防除対策>
(耕種的防除)
・ハウス内の換気を行い、排水を良くするなど過湿を避ける。
・被害葉は速やかに、ほ場外へ持ち出し処分する。
・窒素過多、肥切れにならないよう適切な肥培管理を行う。
(薬剤による防除)
・予防散布に重点をおく。
・発生を確認したら、速やかに薬剤散布を行う。
<登録薬剤:きゅうり(べと病・炭そ病・褐斑病)>
◎予防的散布剤
農 薬 名 | べと病 | 炭そ病 | 褐斑病 |
シ゛マンタ゛イセン水和剤*1 ヘ°ンコセ゛フ゛水和剤*1 |
600〜800倍 前日/3回 |
600倍 前日/3回 |
600倍 前日/3回 |
ヘ゛ルクート水和剤 | − | 2,000〜4,000倍 前日/5回 |
2,000倍 前日/5回 |
タ゛コニール1000 *2 | 1,000倍 前日/8回 |
1,000倍 前日/8回 |
1,000倍 前日/8回 |
ランマンフロアフ゛ル*3 | 1,000〜2,000倍 前日/4回 |
− | − |
ト゛ーシャスフロアフ゛ル*4 | 1,000倍 前日/4回 |
1,000倍 前日/4回 |
1,000倍 前日/4回 |
*1 マンセ゛フ゛を含む農薬の総使用回数は3回以内
*2 TPNを含む農薬の総使用回数は10回以内(土壌かん注は2回以内、散布及び
くん煙及びエアソ゛ル剤の噴射は合計8回以内)
*3 シアソ゛ファミト゛を含む農薬の総使用回数は4回以内
*4 シアソ゛ファミト゛を含む農薬の総使用回数は4回以内、TPNを含む農薬の総使用回数は
10回以内(土壌かん注は2回以内、散布及びくん煙及びエアソ゛ル剤の噴射は合計8回以内)
◎主として治療効果が期待できる剤
農 薬 名 | べと病 | 炭そ病 | 褐斑病 |
リト゛ミルコ゛ールト゛MZ*5 |
1,000倍 前日/3回 |
− |
− |
アミスター20フロアフ゛ル (注1) | 1,500〜2,000倍 前日/4回 |
2,000倍 前日/4回 |
2,000倍 前日/4回 |
ケ゛ッター水和剤*6 |
− | 1,500倍 前日/5回 |
1,500倍 前日/5回 |
ホライス゛ント゛ライフロアフ゛ル*7 (注1) |
2,500倍 前日/3回 |
− | − |
ライメイフロアフ゛ル | 2,000〜4,000倍 前日/4回 |
− | − |
フ°ロホ°ース゛顆粒水和剤*8 |
1,000〜1,500倍 前日/3回 |
− | 1,000倍 前日/3回 |
(注1)QoI剤(アミスター、ホライズンなど)は、特に薬剤耐性菌が生じやすいので、使用は1作1回に留めることが望ましい。
*5 マンセ゛フ゛を含む農薬の総使用回数は3回以内、メタラキシル及びメタラキシルMを含む農薬の総使用回数は4回以内(種子への処理は1回以内、は種後は3回以内)
*6 シ゛エトフェンカルフ゛を含む農薬の総使用回数は5回以内、チオファネートメチルを含む農薬の総使用回数は6回以内(種子への処理は1回以内、は種後は5回以内
*7 シモキサニルを含む農薬の総使用回数は3回以内、ファモキサト゛ンを含む農薬の総使用回数は3回以内
*8 ヘ゛ンチアハ゛リカルフ゛イソフ°ロヒ°ルを含む農薬の総使用回数は3回以内、TPNを含む農薬の総使用回数は10回以内(土壌かん注は2回以内、散布及びくん煙及びエアソ゛ル剤の噴射は合計8回以内)
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針(http://www.jppn.ne.jp/osaka/)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報検索システム
(http://www.acis.famic.go.jp/searchF/vtllm000.html)
で確認してください。