平成25年4月にヒメトビウンカの発生状況とイネ縞葉枯病ウイルスの保毒状況の調査
を行ったところ、結果は下記のとおりでした。
(1)4月16日に5地点の調査水田内で、ヒメトビウンカの発生状況を調査したところ、
網振り20回当たりヒメトビウンカ成虫捕獲数は0.8頭でした。
(2)捕獲したヒメトビウンカのイネ縞葉枯病ウイルス保毒虫率をラテックス凝集法により
調査したところ、2地点で保毒虫が確認されました。検定虫数がやや少ないですが、
府内の平均保毒虫率は25%となっています(表及び参考参照)。
(3)以上のことから、今年も昨年同様、縞葉枯病の発生が増える可能性があります。
ヒメトビウンカを発生初期に防除するなど、縞葉枯病の予防に努めましょう。
<防除対策>
○育苗ほへのヒメトビウンカの飛び込みを防ぐため、イネ科雑草地付近での育苗を避ける。
○水田、畦畔の除草を田植前までに行う。
○本田初期の感染を防止するため、移植時にヒメトビウンカの防除薬剤を育苗箱施用する。
○チッ素過多は縞葉枯病の発生を助長するので適正な肥培管理を行う。
○イネ縞葉枯病とは
縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、本田初期に発生する場合が多く、
新葉が細くなって巻いたまま垂れ下がって枯れ上がり、その症状から「ゆうれい病」とも
呼ばれています。
近年、西日本各県で発生が増えており、大阪府内でも発生が確認されています。
また、幼穂形成期以降に感染すると,葉に黄緑色の斑紋や主脈に平行して黄緑色のたて縞ができ、
これら発病した株の穂は多くの場合、出すくみとなります。
ヒメトビウンカのウイルス保毒は、主に老齢幼虫及び成虫が感染した水稲など宿主植物を
吸汁する時に起こり、経卵伝染します。
縞葉枯病による出すくみ症状 「ひこばえ」でのゆうれい症状
(表)平成25年4月のヒメトビウンカの発生状況とそのイネ縞葉枯病ウイルスの保毒虫数
調査地点 | ヒメトビウンカ成虫の捕獲数 (20回振り当たり成虫頭数) |
検定虫数 (頭) |
保毒虫数 (頭) |
保毒虫率 (%) |
富田林市 | 0.2 | 1 | 0 | 0 |
河南町 | 0.3 | 2 | 0 | 0 |
堺市 | 2.3 | 14 | 5 | 35.7 |
和泉市 | 0.5 | 3 | 0 | 0 |
岸和田市 | 0.7 | 4 | 1 | 25.0 |
合計 | 0.8 | 24 | 6 | 25.0 |
(参考)平成16〜25年までのヒメトビウンカ検定虫数及び保毒虫率(府内合計)
検定虫数(頭) | 保毒虫率(%) | |
平成16年 | 111 | 0 |
平成17年 | - | - |
平成18年 | 25 | 0 |
平成19年 | - | - |
平成20年 | 61 | 0 |
平成21年 | 11 | 0 |
平成22年 | 0 | - |
平成23年 | 106 | 17.0 |
平成24年 | 56 | 9.0 |
平成25年 | 24 | 25.0 |
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針
(http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
で確認してください。