病害虫発生・防除メールサービス(12月)

(平成25年12月16日発信)


 大阪府内の12月の病害虫発生状況と今後1ヶ月の防除対策について、お知らせします。
 果樹では、休眠期防除の季節になりました。多忙な時期ですが、しっかりと防除をしてください。また、剪定の時期です。病害虫の被害枝等は整理してください。
 また、学校が休みとなり、農地周辺で遊ぶ子供が増えるので、ほ場や施設の周辺、農作業で事故のないよう一層気をつけてください。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/

1 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで農薬の登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
【葉かび病】
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生が予測される場合は、ベルクート水和剤等を散布する。
◇発生した場合は、ポリオキシンAL乳剤(トマトのみ)、トリフミン乳剤(トマトのみ)、トリフミン水和剤、アフェットフロアブル等を散布する。
◇多発する場合は、次作から葉かび病抵抗性品種を用いる。ただし、抵抗性品種でも葉かび病のレースによっては発病することがあるので注意する。
【すすかび病】
◇多湿条件で発生しやすい。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、アフェットフロアブル等を散布する。
【灰色かび病】
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇葉の先端、開花後の花がら、ガク周辺から発生することが多いので、こまめに取り除く。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤等を散布する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】(例年より遅くまで、発生が見られている)
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。(前述)
◇複数の施設を移動するときに、持ち運ばないよう注意する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

2 なす(施設栽培)
【灰色かび病】・【すすかび病】・【菌核病】
◇保温のため閉めきることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇定植前にしっかり防除を行い、り病苗を本ぽへ持ち込まないように努める。
【アザミウマ類】
◇定植時に苗と一緒に持ち込まれる場合があるので注意する。
◇野菜苗や鉢花などを一時的にハウスに入れたときに持ち込むことがある。
◇発生が見られたら、ディアナSC(アザミウマ類)、ダントツ水溶剤(ミナミキイロアザミウマ)等を散布する。

3 キャベツ等あぶらな科野菜および葉ぼたん
◇作物によって農薬の登録内容が異なるので、農薬の使用時には注意する。
【黒腐病】(平年並の発生であった)
◇長雨や強い風雨のあと発生することが多い。
◇害虫の食害による傷口からも病原菌が侵入するので、害虫防除を徹底する。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ベジキーパー水和剤やZボルドーを散布する。
(Zボルドーは野菜類に適用あり)
【菌核病】(一部のほ場で発生が見られる。発生量は平年並であった)
◇被害株は早めに抜き取って処分する。
◇菌核が土中に残って伝染源となるので、発病した株は放置せず、ほ場外へ持ち出して処分する。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ベンレート水和剤、ロブラール水和剤等を散布する。

4 野菜類全般
【病害虫対策】
◇果菜類栽培施設では、収穫後の残さ除去を徹底するとともに、ハウス内除草も励行して、病害虫の温床(第一次伝染源)とならないよう、ほ場衛生に努める。

5 ぶどう
【休眠期防除】
◇黒とう病や晩腐病、褐斑病が発生した園では、粗皮削りのあと、ベフラン液剤25等を散布する。
◇ハダニ類・カイガラムシ類対策に石灰硫黄合剤等を散布する。 
◇石灰硫黄合剤は、メーカーによって登録内容が異なるので注意する。
◇石灰硫黄合剤とベフラン液剤25を混用するときは、ベフラン液剤25を先に溶かし、かき混ぜながら石灰硫黄合剤を加える。
【黒とう病】
◇被害を受けた枝は剪定時に取り除く。
◇巻きひげなどでも病原菌が越冬することがあるので、丁寧に取り除く。
【コナカイガラムシ類】
◇粗皮削りを行うことで越冬虫を減らすことができる。
【ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバ】
◇被害枝や剪定枝を細かく切断するか、園外に持ち出して処分する。
◇剪定前に枝を引っ張って簡単に折れた場合は、中に幼虫が入っていることが多い。

6 温州みかん
【休眠期防除】
◇収穫が終わった園はマシン油乳剤(機械油乳剤95、ハーベストオイル等)を散布し、ハダニ類・カイガラムシ類を防除する。
◇厳寒時に薬剤を散布すると薬害の恐れがある。
◇12月中に散布できなかった場合は、翌年3月頃に散布する。

7 いちじく
【霜対策】
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。
◇一文字整枝の場合、主枝が霜害を受けやすいので、必ず霜よけ対策を施す。
◇マルチや敷きわらを残したままだと、霜害が出やすいので、片付けておく。
◇樹体にわらなどで霜よけをするときは、春遅くまで残しておく方が効果が高い。

8 果樹類全般
【間伐・整枝・剪定】
◇落葉果樹では、落葉がはじまると剪定作業の時期になる。
◇密植園や過繁茂状態、樹高が高すぎる樹では、日照・通風条件が悪く、病害虫の発生が増え、薬剤散布も行いにくい。
◇適切な樹間距離になるよう樹を間伐する。
◇防除しやすい樹高・樹形になるよう剪定する。
◇枯死したり衰弱した枝は、病害虫の発生源となるので、取り除く。
◇樹皮の下で越冬する病害虫が多いので、粗皮削りを行う。
◇大きな切り口には、木工ボンドや接ぎロウなどをぬり保護する。
【鳥獣害対策】
◇放任樹や、収穫残りの果実などが、鳥やサル、アライグマ、イノシシなどの餌になる。
◇農地周辺から餌になるものを取り除いて、農地に接近する習性をつけさせない。

9 水稲
【病害虫対策】
 今年発生した病害虫を次年度に持ち越さないように注意する。
 収穫後に耕うんすることで、翌年の病害虫や鳥獣害の被害を軽減できる。
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)(今年の縞葉枯病の発生はやや多かった。)
◇ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病である。
◇幼虫が雑草中で越冬するので、冬から春に雑草を刈り取って密度を下げる。
◇発病したひこばえを介して、保毒虫が増える可能性があるため、早めに刈り株をすき込み、ひこばえを処分する。
【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されると越冬できず死滅する。
◇刈り取り後、耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、移動の際はしっかり土を落とす。
◇水田や水路に水があると越冬貝が増えるので、水を溜めないようにする。
【鳥獣害対策】
◇収穫後のひこばえが、イノシシやシカの餌となることがある。
◇ひこばえを放置すると、来年以降の鳥獣害を増やすことになる。
◇刈り取り後、刈り株をすき込むなどの対策を行う。

 次の情報は、1月15日頃にお知らせします。

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