病害虫発生・防除メールサービス(7月)

(平成25年7月22日発信)


 大阪府内の7月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 梅雨が明け、暑い日が続いています。作業時に熱中症にならないよう十分ご注意下さい。
例年、梅雨明け後からハダニ類などの害虫が増加しますので注意しましょう。
 高温時の薬剤散布は薬害を起こしやすいので、散布は涼しい時間帯に行ってください。
 夏休みに入るとほ場周辺で遊ぶ児童も増えますので、農薬(薬剤)のドリフトには気をつけましょう。
 農薬使用の際は、病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照く
ださい。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/

1 水稲
【いもち病】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇低温や日照不足で発生しやすい。山間部などで、発生が多い。
◇密植や窒素肥料の多用は、発生を助長するので注意する。
◇補植用の苗が発生源になることが多いので、処分する。
◇発病を認めたら直ちに、ブラシンフロアブル等で防除を徹底する。
◇QoI殺菌剤は、耐性菌が発生しやすいため、使用は1作1回に留める。
・QoI殺菌剤の例
  アミスター(アゾキシストロビン)、嵐(オリサストロビン)
  オリブライト(メトミノストロビン)、イモチエース(メトミノストロビン)
 
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)(巡回では発生は、平年並であった)
◇縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、6月下旬〜7月上旬の
 感染が多い。
◇近年、西日本で増加傾向にある。
◇生育初期に発病すると葉が「こより状」に巻いて垂れ下がり、その後枯れる。
◇トレボン粒剤やスタークル顆粒水溶剤等でヒメトビウンカの防除を徹底する。

【紋枯病】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇高温で発生しやすい。
◇発生初期に、バリダシン液剤5等で防除を徹底する。


【もみ枯細菌病】
◇出穂時に高温多湿になると発生しやすい。
◇出穂直前〜穂ぞろい期にブラシンフロアブル等を散布する。
◇前年に発生した水田では、オリゼメート粒剤(出穂3〜4週間前)等を予防散布する。

【内えい褐変病】
◇近年発生が増えている。
◇出穂時に高温多湿になると発生しやすい。特に台風に注意。
◇前年に発生した水田では、穂ばらみ期にブラシンフロアブル等を散布する。
◇出穂前と出穂後の1回ずつ薬剤散布する方が効果が高い。

【イネアオムシ(フタオビコヤガ)】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇昨年度、予察ほ場での発生は平年並で、一部ほ場でやや多かった。
◇体色が葉色に似ているため発見しにくいが、注意深く観察し、発生初期の防除を徹底
 する。
◇プリンス粒剤の効果はやや低い。
◇発生が多い場合には、エルサン乳剤、MR.ジョーカーEW等で防除する。

【斑点米カメムシ類】
◇畦畔にイネ科雑草が多いと発生しやすい。
◇畦畔や休耕田などの除草を徹底し、生息場所を減らす。
◇除草は出穂2週間前までに行い、出穂前後はカメムシ類を水田に追い込むことになるの
 で実施しない。
◇薬剤防除は、出穂10日後頃にトレボン乳剤、スタークル粒剤、アルバリン粒剤等を散
 布する。
(注)スタークル粒剤とアルバリン粒剤の使用は、合わせて3回まで。
  なお、スタークルとアルバリンを含む剤は、同一成分を含むため使用は合計4回まで。
◇カメムシ類は、日中はあまり活動しないため、夕方か早朝に薬剤散布を行う。

【ウンカ類】(巡回では発生は、平年並であった)
◇発生を確認した場合はトレボン乳剤、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤等
 で防除する。
(注)スタークル顆粒水溶剤とアルバリン顆粒水溶剤の使用は、合わせて3回まで。
  なお、スタークルとアルバリンを含む剤は、同一成分を含むため使用は合計4回まで。

【イネツトムシ】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇密植や葉色の濃い株に発生が多い。
◇発生の多い場合はトレボン粉剤DL等で防除する。

【コブノメイガ】(巡回では発生は、平年並であった)
◇上位葉を中心に密植や葉色の濃い株に発生が見られる。
◇多発生が予想される場合はトレボン乳剤、トレボン粉剤DL等で防除する。

【コバネイナゴ】
◇一部の水田で発生している。
◇1株あたり0.8頭以上になると、収量、品質に影響する。
◇ほ場を見回り、発生が多い場合はトレボン乳剤、MR.ジョーカーEW等を散布する。

2 なす(露地栽培)
【うどんこ病】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、パンチョTF顆粒水和剤、モレスタン水和剤等を丁寧に散布する。
 モレスタン水和剤は、高温時には薬害が発生しやすいので注意する。

【アザミウマ類】(巡回ではミナミキイロアザミウマの発生は、平年並であった。)
◇近年、薬剤抵抗性の発達が見られ、アザミウマ類が増加傾向にある。
◇系統の異なる薬剤を組み合わせて、ローテーション散布する。
◇発生が見られたら、アファーム乳剤、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマのみ)、
 ディアナSC等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、使用履歴を確認し、使用回数制限に気をつける。

【オオタバコガ】(巡回では発生は、平年並であった)
◇1頭の幼虫が数個の果実を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇穴が開いている果実は、中に幼虫が入っている可能性が高いので、早く処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、プレオフロアブル、スピノエース顆粒水和剤、アファーム乳剤
 等で防除する。

【ハダニ類】(巡回では発生は、平年並であった)
◇梅雨明け後、一部ほ場で増加傾向である。
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると、天敵が減少し、ハダニ類が増えやすい。
◇発生初期の防除効果が高いので、発見後早めにマイトコーネフロアブル、ダニサラバフ
 ロアブル、ピラニカEW等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳する。
◇購入苗の場合は、育苗期の農薬の使用履歴をしっかり確認する。

【チャノホコリダニ】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇がく片が褐変するなどの被害が発生したら、コロマイト乳剤、ピラニカEW等を散布す
 る。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳する。
◇購入苗の場合は、育苗期の農薬の使用履歴もしっかり確認する。

【ソルゴー囲い込み栽培】
◇アザミウマ類の天敵であるハナカメムシ類が発生する。
 害虫防除には、天敵に影響の少ない薬剤(プレオフロアブル、BT剤等)を利用する。
◇オサダン水和剤25などは、ハダニ類等の天敵であるカブリダニ類に影響が少ない。
◇天敵類に影響が大きい合成ピレスロイド系薬剤を使用しない。

3 キャベツ等あぶらな科野菜
(作物によって農薬の登録内容が異なるので、注意する。)
【根こぶ病】
◇根こぶ病の発生したほ場での育苗・栽培を避ける。
◇土壌pHを6.5〜7.0に調整する。

【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
◇8月に発生が急激に増加することがある。
◇キャベツのは種・育苗期に当たるが、セル成型苗では発生すると欠株を生じるので、発
 生初期に防除を徹底する。
◇被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
◇セル成型育苗トレイにプリンス粒剤(キャベツ、ブロッコリー)等を施用するか、プレ
 バソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさ
 い等)等をかん注する。
◇発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。

4 ぶどう
【べと病】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇気温20〜22度で、雨が多いと発生しやすい。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっか
 り防除する。
◇発生が予想される時期に、ボルドー液等を散布し予防する。
◇収穫前の園では、収穫前日数に注意して防除する。

【褐斑病】 (巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇秋期落葉期まで発生し、落葉を早めるので注意する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響する。
◇発生を確認した場合は、収穫終了後にジマンダイセン水和剤等でしっかり防除する。

【晩腐病】(巡回では発生は、やや少なかった)
◇収穫期が近づき、糖度が高くなった果実で発生しやすい。
◇収穫期に雨が続くと、多発する。
◇気温20〜25度で、雨が多いと発生しやすい。
◇鳥獣害や裂果等で傷ついた果房から発生することが多い。
◇被害果房は園外に持ち出して処分する。

【ハダニ類】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇施設栽培で発生しやすい。
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると発生が多い。
◇多発し早期に落葉すると、着色障害など果実品質に影響する。
◇除草を行うと、雑草にいたハダニ類がぶどうに移動して、急に被害が増えることがある。
◇収穫が終わった園も定期的に見回って、発生を確認したら防除する。
◇発生を確認した場合は、バロックフロアブル(7日前まで)、コロマイト水和剤(7日前
 まで)等を散布する。収穫前日数に注意すること。

【アメリカシロヒトリ】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇ぶどう以外にも多種の果樹類、街路樹等を食害する。
◇収穫終了後の園も定期的に見回って、発生状況を確認する。
◇発生を確認した場合は、デルフィン顆粒水和剤(果樹類・ケムシ類)やアディオン水和
 剤(7日前まで)を散布する。
◇アディオン水和剤など合成ピレスロイド系の薬剤を散布すると、天敵が減ってハダニ類
 が増加することがある。ハダニ類が発生しやすい園では、デルフィン顆粒水和剤を使用
 する。

5 温州みかん
【そうか病】(巡回では発生は、平年並であった)
◇最近発生が増加している。
◇長雨が続くと発生しやすい。
◇発生を確認した場合は、トップジンM水和剤、デランフロアブル等で防除する。

【黒点病】(巡回では発生は、平年並もしくはやや少なかった)
◇雨によって広がるので、注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、ジマンダイセン水和剤(30日前まで)等で防除する。
(注意)ジマンダイセン水和剤は、かんきつ(みかんを除く)では収穫90日前まで

【ハダニ類】(巡回では発生は、やや少なかった)
◇例年、梅雨明け後に多発する。
◇発生を確認した場合は、バロックフロアブル(ミカンハダニ)等を散布する。
◇同一の薬剤を連用すると抵抗性が発達しやすい。
◇ダニトロン、ピラニカ、サンマイト、マイトクリーンは交さ抵抗性があるため、特にこ
 れらの薬剤の連用を避ける。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳する。
◇高温時の散布は、薬害発生の恐れがあるので避ける。

6 もも
【せん孔細菌病】(巡回では発生は、平年並であった)
◇発生初期にはチオノックフロアブルを散布する。
◇収穫期が近づいているので、使用前日数に注意する。
◇収穫前に散布できない場合は、収穫終了後に防除する。

【吸汁ヤガ類】
◇夜になると果樹園に飛来して、果実を吸汁するガの総称である。
◇果実袋の上から吸汁することもあるので注意が必要である。
◇収穫間際に飛来する害虫なので、薬剤による防除は難しい。
◇夜間に黄色灯を点灯することで、飛来を防止できる。
【黄色灯によるヤガ類の防除】参照

7 いちじく
【疫病】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇雨が続くと発生しやすい。
◇雨水の跳ね上がりなどで伝染するので、敷きわらやマルチを行う。
◇腐敗果は早めに園外に持ち出して、処分する。
◇ランマンフロアブル等を散布して防除する。

【アザミウマ類】(巡回では発生は、平年並であった)
◇果実開口部から内部へ侵入し加害する。果実は腐敗するなどの被害を受ける。
◇発生を確認した場合はスピノエース顆粒水和剤、アディオン乳剤等で防除する。
 なお、収穫期が近づいており、一部の薬剤は使えないので注意する。

【イチジクヒトリモドキ】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇葉や果皮を加害する黒い毛虫である。
◇5月下旬〜6月上旬に第1世代の幼虫が現れる。
◇年に5世代程度発生する。
◇大阪府内では、平成19年度に初めて発生を確認した害虫である。
◇高槻市、柏原市、羽曳野市、堺市など府内各地で発生が確認されている。
◇新梢生育期に食害を受けると被害が大きいので注意が必要である。
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、アディオン乳剤、デルフィン顆粒水和剤等を散布する。

8 果樹類
【果樹カメムシ類】(巡回では発生は、やや少なかった)
◇果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギ
 カメムシの3種である。
◇もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを加害
 することもある。
◇果実袋を使用した場合でも、果実の肥大に伴って果実袋と果実が密着すると、袋の上か
 ら吸汁されることもある。
◇発生した場合は、ももの場合はアドマイヤー顆粒水和剤(3日前まで)、モスピラン顆
 粒水溶剤(前日まで)等を散布する。
◇成虫の移動能力は高く、次々と飛来するため、こまめな防除が必要となる。
◇収穫期近くでも防除が必要となるため、薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数
 に十分注意する。
◇園全体を目合4mmのネットで覆い、侵入を防ぐ。
◇黄色蛍光灯を設置、点灯して園への侵入を防ぐ。

9 きく
【黒斑病、褐斑病】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇雨滴によって感染が拡大するので、降雨前にしっかり防除する。
◇被害葉は取り除いて処分する。

【白さび病】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。

【ハモグリバエ類】(巡回では発生は、平年よりやや少なかった)
◇被害葉は取り除き、ほ場外に持ち出して処分する。
◇発生がみられたら、トリガード液剤(マメハモグリバエのみ)、スピノエース顆粒水和剤等を散布する。

【アザミウマ類】(巡回では発生は、平年並であった)
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。
◇発生を確認したらアファーム乳剤(ミカンキイロアザミウマのみ)、ハチハチ乳剤等を
 散布する。

【アブラムシ類】(巡回では発生は、平年並であった)
◇吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することがある。
◇発生を確認したらアドマイヤーフロアブル、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水
 溶剤等を散布する。
 (注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため散布は合計5回まで。

◎黄色灯によるヤガ類の防除
[対象害虫]
◇もも、みかんの果実を吸汁するアカエグリバ等の吸汁ヤガ類。
◇野菜・花き類を食害するハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ等。
◇成虫の行動を抑制するもので、幼虫に対する防除効果はない。

[設置方法]
◇ほ場内の照度が1ルクス以上になるように、設置する。
◇ほ場の上方や外側にも光が行き届くほうが効果が高い。
◇日没1時間前から、日の出1時間後まで点灯する。
◇水稲やきくは夜間に強い光を受けると開花しない。周辺にこのような作物がある場合は
 黄色灯の設置方向に注意すること。

 次の情報は、8月15日頃にお知らせします。

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