水稲の「いもち病」に注意しましょう
(平成26年8月29日)


  いもち病の発生については、既に注意報(7月31日病害虫発生予察注意報第2号発表)により、早期に的確な防除を行うようお願いしているところですが、8月の降水量は平年の3倍以上、日照時間は8割未満、気温もやや低く(※)推移しており、いもち病の発生しやすい状況が続いています。
 8月の巡回調査では、中山間地や平坦地の一部で、極早生水稲で穂いもちの発生を確認しています(表1)。
 葉いもちが少ない場合でも、今後の天候により穂いもちが発生する恐れがあるので、水田を良く見回り、発生している場合は早急に防除を行いましょう。
 ※ 8月25日まで30日間の大阪の気象データ
   降水量が308.5mm(平年比367%、日照時間は167.1時間(平年比79%)
   平均気温は28.3℃(平年差-0.6℃)

表1 いもち病の発生状況(8/1〜25調査)

 調査地点 発病ほ場数/調査ほ場数 発病株率% 備考
茨木市下音羽 3/ 3 24.0 穂いもち発生確認
能勢町倉垣 2/ 3 24.0  
八尾市水越 1/ 3  2.7  
河南町平石 3/ 9  
富田林市西板持町 2/ 3  2.7  
和泉市国分町 3/ 3 28.0  
岸和田市稲葉町 1/ 7  
泉佐野市上之郷 5/ 5 穂いもち発生確認
貝塚市蕎原 4/ 6 穂いもち発生確認
貝塚市木積 9/10  
岬町谷川 1/ 3  1.3  
  計 34/55(発病ほ場率 62%)    

 発病ほ場率及び発病株率は葉いもちに関する数値
発病株率については、1ほ場あたり25株調査。 
巡回予察定点以外は、発生ほ場率のみ調査  

<いもち病の発生しやすい条件>
 野菜栽培跡地等、窒素肥料が効きすぎた葉色の濃い水田
 周囲に山がある、川沿いにあるなど、朝露が乾きにくい水田
 昨年、いもち病の発生が多かった水田
 上記のような条件で、田植時の箱施用剤にいもち病の薬剤は使用しなかった水田

穂首いもち

<いもち病の生態等>
いもち病菌は25〜28度ぐらいの湿気の多いときに増殖しやすい。
 いもち病菌が侵入するには、葉上等に露などの水滴が必要である。胞子は一般的に夜中に飛散するので曇雨天でイネの露が乾きにくい時に多くの胞子が侵入する。
 イネは体内に可溶性の窒素が多いときに抵抗性が弱まる。日照の多いときはイネ体内の可溶性窒素が少なくなり、抵抗性が強まる。  
 いもち病菌は種もみや被害わらなどで越冬する。
 いもち病に感染したもみを種もみに使用すると来年のいもち病の発生源となる。

<防除対策>    
 穂いもちの発生は上位3葉の葉いもち病斑と相関が高いので、葉いもち(特に進行性病斑)が上位葉に発生している場合は、穂いもちの防除を実施する。
 枝梗の部分に発生するいもち病は、遅くまで発生することがあるので注意が必要である。発生が多い場合は穂ぞろい期〜乳熟期にも防除する。
 薬剤により使用時期が異なるため、ラベルをよく読んで適期に散布する。
 薬剤を散布する時は、周囲に飛散しないよう注意する。
 以下の防除薬剤を参考とする。
 ・ブラシンフロアブル(いもち病 1,000倍 7日前まで/2回以内)
・アチーブフロアブル(いもち病 2,000倍 14日前まで/3回以内)

府内においてQoI剤のアゾキシストロビン剤に対する耐性菌が確認されている。QoI剤耐性菌は、同系統の薬剤にも耐性を示すことが知られているので、表2に示した薬剤の効果は著しく劣る恐れがあり、他系統の薬剤による防除が必要である。いもち病の発生状況に注意し、既にQoI剤を使用し、その効果が低いと思われる場合は、必要に応じて他の系統の薬剤で追加防除を行う。

 表2 いもち病対象のQoI剤(ストロビルリン系剤)の例

成分名 商品名の一例
アゾキシストロビン アミスター
オリサストロビン
メトミノストロビン イモチエース、オリブライト


◎防除薬剤については、
 ●Web版大阪府農作物病害虫防除指針
  (http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
 ●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
  (http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
  で確認してください。
                                                              

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