なす「うどんこ病」(施設栽培)の発生が増加中!
(平成26年6月4日)


  5月の発生予察巡回では、泉州地域の施設なす栽培で、平年に比べうどんこ病の発生がやや多く見られます。発生が増加傾向ですので、今後注意が必要です(表1参照)。
 うどんこ病は、気温が28度前後、湿度は50〜80%、日射はやや弱いときに発生しやすくなります。
 施設栽培では年中発生しますが、特にこれから6月にかけて例年発生が増えてきます。多発すると、葉のみでなく果実のがくにも発生することがあり、商品価値が低下します。
今後、露地なすでも発生が増えてきますので、初期防除に努めましょう。

表1 うどんこ病の発生状況(平成26年5月調査)

 調査地点   発病葉率(%) 備考(栽培品種)
5月前半*1 5月後半*1
泉佐野市(日根野)   52.0   60.0 水なす
貝塚市 (海塚)   76.0   80.0
岸和田市(河合町)    0.0    0.0
河南町 (一須賀)    0.0    0.0 中長系なす
(千両2号、小五郎)
富田林市(西板持町)    0.0    0.0
平均値
(平年値)*2
  25.6
   (1.9)
  28.0
  (1.6)

*1 泉佐野市、貝塚市、岸和田市(前半5/2、後半5/20調査)
   河南町、富田林市 (前半5/14、後半5/26調査)
*2 平年値は、過去10年間調査平均

▲うどんこ病(葉表) ▲うどんこ病(葉裏)

<生態と防除>
主に葉に発生する。多発すると葉柄、茎、果実、果柄、がくにも発生する。下葉から発生し、徐々に上位の葉でも発生が増える。
うどんこ病は、糸状菌(かび)の仲間で、Sphaerotheca fulliginea の他2種の病原菌がある。純寄生菌であり、生きた植物でのみ寄生できる。
はじめ葉の表面に点々と小さな白いかびが生じ、次第に円形に広がり、葉全体がうどん粉をふりかけたような病斑になる。葉裏にも白色のかびを生じ、果実のがくや果柄部分にも白い斑点(かび)を生じ、品質を低下させる。。
 ひどくなると黄褐色になり落葉する。病斑上に形成された胞子が空気中に飛散して伝染する。
 乾燥条件で発生が増加し、密植した場合や株が繁り葉が混み合うと被害が増加しやすい。施設栽培では、外張り資材のビニール等が汚れると日射量が低下し発生が増える。一度発生すると防除が難しくなるので、早めの防除を心がける。
 同一系統薬剤の連用散布は、耐性菌発生の原因になるので、異なる系統の薬剤をローテーション散布する(表2参照)。

表2 散布薬剤の例

 薬剤名 希釈倍数 使用時期/使用回数 成分数(一般名)
ベルクート水和剤 3,000倍 前日/3回 1(イミノクタシ゛ン)*3
フルピカフロアブル 2,000〜3,000倍 前日/4回 1(メハ°ニヒ°リム) *4
パンチョTF顆粒水和剤 2,000倍 前日/2回 2(シフルフェナミト゛+トリフルミソ゛ール)*5
ラリー水和剤 4,000〜6,000倍 前日/4回 1(ミクロフ゛タニル)*6
アフェットフロアブル 2,000倍 前日/3回 1(ヘ°ンチオヒ°ラト゛)*7

*3 本剤を含めて、イミノクタシ゛ンを含む剤のなすでの総使用回数は3回以内。
*4 本剤を含めて、メハ°ニヒ°リムを含む剤のなすでの総使用回数は4回以内。
*5 本剤を含めて、なすでの総使用回数はシフルフェナミト゛を含む剤は2回以内、トリフルミソ゛ールを含む剤は5回以内。
*6 本剤を含めて、ミクロフ゛タニルを含む剤のなすでの総使用回数は4回以内。
*7 本剤を含めて、ヘ°ンチオヒ°ラト゛を含む剤のなすでの総使用回数は3回以内。

◎防除薬剤については、
 ●Web版大阪府農作物病害虫防除指針
  (http://www.jppn.ne.jp/osaka/)
 ●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
  (http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
   にて確認してください。                                                              

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