病害虫名 果樹カメムシ類
(チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ)
1 発生作物 果樹全般(もも、うめ、かき、ぶどう等)
2 発生地域 大阪府全域
3 発生の状況
本年は、全国的に越冬成虫が多いという情報が出されている。
府内でも5月からフェロモントラップにおける果樹カメムシ類の誘殺虫数が増え、多い地点ではチャバネアオカメムシが平年の11倍となっている(表1)。
南河内や泉州地域のももやみかん、ぶどう園でカメムシの飛来が確認されており、現在、果実肥大期のももを中心に、大きな被害を受ける可能性がある。
表1 フェロモントラップにおける誘殺虫数
カメムシ類 種類 |
羽曳野市 (5月1日〜26日) |
岸和田市 (5月1日〜27日) |
河内長野市 (5月1日〜23日) |
チャバネアオカメムシ | 336頭(30.6頭) | 240頭(38.5頭) |
35頭(20.7頭) |
ツヤアオカメムシ | 56頭(8.5頭) |
7頭(2.3頭) |
10頭(1.8頭) |
クサギカメムシ | 6頭(1.5頭) | 1頭(1.6頭) | 6頭(0.0頭) |
( )内はH11〜25年の平均値、ただし河内長野市はH20〜25年
4 果樹カメムシ類の生態
(1)主な増殖場所は、スギやヒノキ等の球果(果樹園でも産卵は行われるが、成虫まで発育しない)。
(2)前年にスギ等の球果が多い年は秋以降に個体数が増加し、翌年度にえさが不足すると果樹園に飛来して果実を吸汁し、落果や奇形果等の被害が増える。
(3)もも、うめなどの核果類や、なし、かき等が食害を受けやすい。多発するとかんきつ類やぶどうにも被害が及ぶ恐れがある。
(4)果実袋を使用した場合でも、果実の肥大に伴って果実袋と果実が密着すると、袋の上から吸汁されることもある。
(5)チャバネアオカメムシの雄は集合フェロモンを放出し、同種の個体を誘引するため、特定の果樹園に一夜にして多数飛来することがある。
(6)果樹カメムシ類の活動は夕方から活発になる。果樹園等への飛来は日没後の2〜3時間が中心。
5 防除対策
(1)被害の発生には地域や園地で差が出る場合があるので、カメムシ類の活動が活発になる夕方に園内を見回り、飛来を確認したら、速やかに薬剤散布を行う。
(2)収穫期近くでも防除が必要となるため、薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数に十分注意する。
(3)樹高の高い樹に散布する場合は、周囲に飛散しやすいので、特に注意する。
(4)合成ピレスロイド剤は果樹カメムシ類への効果は高いが、天敵類への影響も大きく、連用するとハダニ類やカイガラムシ類の多発を招くことがあるため、注意する。
(5)うめや、ももの幼果期は薬害が発生しやすいため注意する。
(6)成虫の移動範囲は広いため、近隣園地の生産者同士で調整し、なるべく広い範囲で散布日を合わせ、一斉防除すると効果が高い。
(7)成虫の移動能力は高く、次々と飛来するため、こまめな防除が必要となる。
(8)薬剤散布は夕方か早朝に行うと効果的である(表2)。
(9)黄色灯を設置している園地では早急に点灯する。ただしチャバネアオカメムシ以外には効果がないため、光源近くや園内でクサギカメムシやツヤアオカメムシを確認した場合は薬剤散布を行う。
(10)果樹園全体に網目4mm以下のネットを被覆することでカメムシ類や吸蛾類の侵入を阻止する。
(11)電撃殺虫器や果樹園に面した蛍光灯などの光源はカメムシを誘引するのでできる限り消灯する。
表2 散布薬剤の例
薬剤名(系統名) | もも | うめ | すもも | かき | ぶどう | みかん |
アディオン乳剤 (合成ピレスロイド剤) |
2,000倍 7日/6回 |
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2,000〜 3,000倍 7日/5回 |
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2,000倍 14日/6回 (かんきつ) |
アドマイヤー 顆粒水和剤 (ネオニコチノイド剤) |
10,000倍 3日/2回 |
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5,000〜 10,000倍 7日/3回 |
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5,000〜 10,000倍 14日/3回 (かんきつ) |
アルバリン顆粒水溶剤 スタークル顆粒水溶剤 (ネオニコチノイド剤) |
2,000倍 前日/3回 |
2,000倍 前日/3回 (小粒核果類) |
2,000倍 前日/3回 (小粒核果類) |
2,000倍 前日/3回 |
2,000倍 前日/3回 |
2,000倍 前日/3回 (かんきつ) |
スミチオン乳剤 (有機リン剤) |
1,000倍 3日/6回 |
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1,000倍 45日/3回 |
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1,000倍 14日/5回 |
ダントツ水溶剤 (ネオニコチノイド剤) |
2,000〜 4,000倍 7日/3回 |
2,000〜 4,000倍 3日/3回 |
2,000〜 4,000倍 3日/3回 |
2,000〜 4,000倍 7日/3回 |
2,000〜 4,000倍 前日/3回 |
2,000〜 4,000倍 7日/3回 (かんきつ) |
モスピラン顆粒水溶剤 (ネオニコチノイド剤) |
2,000〜 4,000倍 前日/3回 |
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2,000〜 4,000倍 前日/3回 |
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2,000〜 4,000倍 14日/3回 |
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針
(http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
で確認してください。