病害虫名 いもち病(葉いもち・穂いもち)
1 発生作物 水稲
2 発生地域 大阪府全域
3 発生の状況
大阪府内の水稲いもち病(葉いもち)の平均発病株率について、7月の過去10年間平均が7.9%であったのに対し、今年の予察調査(7月)では以下のとおりで、地域により発生が多くなっている。
中山間地だけでなく、平坦部においても発生が見られ、今後の気象状況によっては、府内全域で穂いもちの発生が懸念される。
調査地点 | 発病株率% |
茨木市 下音羽 | 29.3% |
能勢町 倉垣 | 50.7% |
八尾市 水越 | 9.3% |
岬町 谷川 | 1.3% |
各調査地点3ほ場 1ほ場あたり25株調査
※富田林市、和泉市、貝塚市内においても置き苗等での発生を確認している。
4 いもち病の生態等
(1)いもち病菌は気温25〜28度ぐらいの湿気の多いときに増殖しやすい。
(2)いもち病菌が侵入するには、葉上等に露などの水滴が必要である。胞子は一般的に夜中に飛散するので、曇雨天でイネの露が乾きにくいときに多くの胞子が侵入する。
(3)イネは体内に可溶性の窒素が多いときに抵抗性が弱まる。日照の多いときはイネ体内の可溶性窒素が少なくなり、抵抗性が強まる。
(4)いもち病菌は種籾や被害わらなどで越冬する。いもち病に感染した籾を種籾に使用すると、来年のいもち病の発生源となる。
5 防除対策
(1)ほ場の状況をよく観察し、適期に防除する。
・発生の確認、または発生が懸念される場合はすみやかに防除する。
・穂ばらみ期〜出穂期に薬剤を散布する。
・枝梗の部分に発生するいもち病は、遅くまで発生することがあるので注意が必要である。
発生が多い場合は穂ぞろい期〜乳熟期にも防除する。
・薬剤により使用時期が違うので、ラベルをよく読んで適期に散布する。
(2)薬剤耐性菌の出現を防ぐため、同一グループの薬剤を連用しない。
(3)粒剤やジャンボ剤等の水面に施用する農薬については、散布後1週間は落水やかけ流しをしない。
(4)薬剤を散布する時は、周囲に飛散しないよう注意する。
〈散布薬剤の例〉【】内は薬剤の系統名
【MBI−R】
・ブラシンフロアブル(1,000倍 7日前/2回)
・コラトップジャンボ、コラトップジャンボP
(10〜13個〈小包装(パック)〉/10a 葉いもち:初発20日前〜初発時 穂いもち:出穂30〜5日前/2回)
【ジチオラン系】
・フジワン粒剤
(3〜5kg/10a 葉いもち:初発10〜7日前(収穫30日前) 穂いもち:出穂30〜10日前(収穫30日前)/2回)
【ホスホロチオレート系】
・キタジンP粒剤
(3〜5kg/10a 葉いもち:初発7日前〜初発時 穂いもち:出穂20〜7日前/2回)
▲いもち病の病斑 | ▲置き苗からの感染拡大の様子 |
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針
(http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
で確認してください。