病害虫発生・防除メールサービス(1月)

(平成27年1月16日発信)


 大阪府内の1月の病害虫発生状況と今後1ヶ月の防除対策について、お知らせします。
 ハウスの積雪対策は十分ですか。ハウスに雪が積もった場合には、倒壊の恐れがあるので、決してハウス内に入らないでください。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/
 新たな農薬の評価手法※(短期暴露評価)が導入されることに伴い、アセフェート(既に変更登録済み)を有効成分とする農薬は必ず変更後の登録内容で使用するよう、先月もお知らせしたところですが、これに加え、カルボスルファン、ベンフラカルブ及びフルバリネート、フェナリモル、NAC、ジメトエートを有効成分とする農薬についても、それぞれ使用制限となる登録の変更申請がされています。
 これらを成分に含む農薬(商品名オンコル粒剤、ガゼット粒剤、アドバンテージ粒剤など)は変更申請されている内容に従って使用してください。申請中の変更内容については、販売店で提供されるチラシ等や病害虫防除グループホームページ「短期暴露評価により変更される農薬の使用方法の周知等について」http://www.jppn.ne.jp/osaka/H26nd/ARfDtuuti/ARfDH26_top.htmlで確認してください。
 ※農薬の急性毒性の指標として、24時間又はそれより短い時間に経口摂取した場合に、健康に悪影響を示さないと推定される1日当たりの摂取量(=急性参照用量(ARfD))を用いた評価

1 水稲
【病害虫・鳥獣害対策】
 刈り株をすき込み、ひこばえを処分することで、次作の病害虫や鳥獣害の被害を軽減できる。
【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されたり、厳寒期に地上に掘り出されると、越冬できず死滅する。
◇厳寒期に耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、移動の際はしっかり土を落とす。
◇水田や水路に水があると越冬貝が増えるので、水を溜めないようにする。

2 ぶどう(加温栽培)
【灰色かび病】
◇施設を閉め切る時間が長いとハウス内の湿度が高くなり、発生しやすい。
◇開花後の花がらが発生源となることが多い。
◇換気を適切に行い、マルチを敷いて、湿度を下げるようにする。
◇加温機の送風だけでも、病気の予防効果が期待できる。
◇開花後には、刷毛やブロワーで花がらを取り除く。
◇発生前には生物農薬のボトキラー水和剤、発生した場合はゲッター水和剤等を散布する。
【ハスモンヨトウ】
◇早期加温栽培では、2月末頃から被害を受けることがある。
◇加温開始直後にフェロモンディスペンサー(ヨトウコン−H)を設置することで、効果的に予防できる。

3 温州みかん
【休眠期防除】
◇厳寒時に薬剤を散布すると薬害の恐れがあるので避ける。
◇昨年12月中に散布できなかった場合は、本年3月頃に休眠期防除を行う。

4 いちじく
【霜対策】
◇霜害に遭い樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。
◇一文字整枝の場合、主枝が霜害を受けやすいので、必ず霜よけ対策を施す。
◇マルチや敷きわらを残したままだと、霜害が出やすいので、片付けておく。
◇樹体にわらなどで霜よけをするときは、春遅くまで残しておく方が効果が高い。

5 果樹類全般
【間伐・整枝・剪定】
◇密植園や過繁茂状態、樹高が高すぎる樹では、日照・通風条件が悪く、病害虫の発生が増え、薬剤散布も行いにくい。
◇適切な樹間距離になるよう樹を間伐する。
◇防除しやすい樹高・樹形になるよう剪定する。
◇枯死したり衰弱した枝は、病害虫の発生源となるので、取り除く。
◇樹皮の下で越冬する病害虫が多いので、粗皮削りを行う。
◇大きな切り口には、木工ボンドや接ぎロウ、かんきつではトップジンMペーストなどをぬり、保護する。
【鳥獣害対策】
◇放任樹や、収穫残りの果実などが、鳥やサル、アライグマ、イノシシなどの餌になる。
◇農地周辺から餌になるものを取り除いて、農地に接近する習性をつけさせない。

6 なす(施設栽培)
【病害虫全般】
◇定植前にしっかり防除を行い、り病苗や害虫を本ぽへ持ち込まないように努める。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
【すすかび病】・【菌核病】
◇保温のため閉め切ることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
【灰色かび病】
◇保温のため閉め切ることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇葉の先端、開花後の花がら、ガク周辺から発生することが多いので、こまめに取り除く。
【アザミウマ類】
◇発生が見られたら、ディアナSC(アザミウマ類)、ダントツ水溶剤(ミナミキイロアザミウマ)等を散布する。

7 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで農薬の登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
◇QoI殺菌剤(シグナム)、SDHI殺菌剤(アフェット、カンタス、シグナム)は、耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。(1作1回程度の使用にとどめる。)
※シグナムはQoI剤とSDHI剤の両方を含む
【葉かび病】(巡回では発生は平年並であった。)
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、カンタスドライフロアブル、アフェットフロアブル等を散布する。
◇多発する場合は、次作から葉かび病抵抗性品種を用いる。ただし、抵抗性品種でも葉かび病の系統によっては発病することがある。
【すすかび病】
◇多湿条件で葉かび病よりは高い温度域で発生しやすい。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、シグナムWDG等を散布する。
【灰色かび病】(巡回では発生は平年並であった。)
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇葉の先端、開花後の花がら、ガク周辺から発生することが多いので、こまめに取り除く。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤、カンタスドライフロアブル等を散布する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。(前述)
◇複数の施設を移動するときに、これらの害虫を持ち運ばないよう注意する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。

8 野菜類全般
【病害虫対策】
◇栽培施設では、収穫後の残さ除去を徹底するとともに、ハウス内除草も励行して、病害虫の温床(第一次伝染源)とならないよう、ほ場衛生に努める。

 次の情報は、2月17日頃にお知らせします。

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