病害虫発生・防除メールサービス(10月)

(平成26年10月16日発信)


  大阪府内の10月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 水稲では収穫の終わったところでは、次年度にむけた病害虫対策を実施しましょう。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/

1 水稲
 今年発生した病害虫を次年度に持ち越さないように注意する。
 収穫後に耕うんすることで、翌年の病害虫や鳥獣害の被害を軽減できる。
【いもち病・もみ枯細菌病・ばか苗病・内えい褐変病・イネシンガレセンチュウ】
◇上記の病害虫は、種子、もみ殻、被害わらを通じて伝染する恐れがある。
◇自家採種する場合は、上記の病害虫が発生した水田のもみは種もみとして使用しない。
◇上記の病害虫が発生した水田で、もみ殻や生わらをすき込む場合は、早め(年内)にすき込みを行い、完全に腐熟させる。
◇特にもみ枯細菌病が発生した水田では、稲わらやもみ殻は水田に直接還元せず、堆肥化 など病原菌を減らしてから利用する。
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)(縞葉枯病の発生は平年並であった。)
◇近年、府内各地で発生が増加している。
◇ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病である。
◇ヒメトビウンカの幼虫が雑草中で越冬するので、冬から春に雑草を刈り取って密度を下げる。
◇発病したひこばえを介して、保毒虫が増える可能性があるため、早めに刈り株をすき込み、ひこばえを処分する。
【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されると越冬できず死滅する。
◇刈り取り後、耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、移動の際はしっかり土を落とす。
◇水田や水路に水があると越冬貝が増えるので、水を溜めないようにする。
【鳥獣害対策】
◇収穫後のひこばえが、イノシシやシカの餌となることがある。
◇ひこばえを放置すると、来年以降の鳥獣害を増やすことになる。
◇刈り取り後、刈り株をすき込むなどの対策を行う。

2 温州みかん
 早生種の収穫期が近づいているので、薬剤散布の際は収穫前日数に気をつける。
 早生種と晩生種が近接している園では、ドリフトに充分気をつける。
【貯蔵病害】
◇収穫時、果実に傷をつけないように注意する。また、降雨直後など果実が濡れている場合は収穫しない。
◇貯蔵中も果実を点検し、腐敗果は見つけ次第取り除き、伝染を防ぐ。
◇収穫の2週間前頃にトップジンM水和剤等の薬剤散布を行う。
【ミカンハダニ】(巡回では発生は平年並であった。)
◇秋に温暖で雨が少ないと発生が多くなる。
◇発生を確認した場合は、ダニエモンフロアブル(7日前)、コロマイト水和剤(7日前)、ピラニカ水和剤(前日)等で防除する。
◇同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
◇サンマイト水和剤、ピラニカ水和剤、ダニトロンフロアブル、マイトクリーンは交差抵抗性があるため、特にこれらの薬剤の連用を避ける。
◇農薬使用基準の使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳し、確認する。

3 果樹類全般
【枝折等の養生】
◇強風で枝が折れた場合は、放置すると枯れ込みが入る恐れがある。
◇折れた枝を切り戻し、切り口は木工用ボンド等を塗布して保護する。
【鳥獣害対策】
◇放任樹や、収穫残りの果実などが、鳥やサル、アライグマなどの餌になる。
◇農地周辺から餌になるものを取り除いて、農地に接近する習性をつけさせない。

4 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで農薬の登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】(発生は平年並であった。)
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種から発芽したり、残さから再生したトマトがあれば、処分する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置し、日頃から破れ等がないか点検する。
◇感染株はすぐ処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】(発生は平年並であった。)
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入を防ぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤(トマト、ミニトマト)、コロマイト乳剤(トマト、ミニトマト)等を散布する。

5 キャベツ等あぶらな科野菜
◇作物によって農薬の登録内容が異なるので、農薬の使用時には注意する。
【黒腐病】
◇台風のあと発生することが多い。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ベジキーパー水和剤やZボルドーを散布する。
(Zボルドーは野菜類に適用あり)
【白さび病】
◇平均気温が15度前後で、降雨が多いと発生しやすい。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇非結球あぶらな科葉菜類では、発生が見込まれる時期にライメイフロアブル(3日前)等を散布する。
【菌核病】
◇被害株は早めに抜き取って処分する。
◇菌核が土中に残って伝染源となるので、発病した株は放置せず、ほ場外へ持ち出して処分する。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ロブラール水和剤、トップジンM水和剤等を散布する。
【ハスモンヨトウ】(近年発生はやや多い。フェロモントラップの誘殺虫数は平年並であった。)
◇例年この時期の発生量・被害が多い。
◇200個程度の卵塊で産卵し、若齢幼虫は集団で食害する。中齢幼虫になると分散する。
◇老齢幼虫になると薬剤は効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇発生を認めたら、アファーム乳剤(キャベツ、なばな類等)やフェニックス顆粒水和剤(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等で防除する。
◇薬剤防除に当たっては適用作物に注意する。

6 きゅうり
【うどんこ病】(発生はやや多かった。)
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉を行い、過繁茂にならないようにする。
◇発生が見込まれる時期にベルクート水和剤、フルピカフロアブル、パンチョTF顆粒水和剤(2回まで)、トリフミン乳剤(5回まで)等で防除する。
※パンチョTFとトリフミンは、同一成分を含むため合計5回まで。
◇QoI殺菌剤(アミスター、ストロビーなど)、SDHI剤(アフェット)は、耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。(1作1回程度の使用にとどめる。)
【べと病】(発生はやや多かった。)
◇台風のあと発生することが多い。
◇ハウス内が多湿だと発生しやすいので、排水、換気に注意する。
◇肥切れになると発生しやすいので、追肥をこまめに行う。
◇発生が見込まれる時期にジマンダイセン水和剤やランマンフロアブルなどで予防する。
◇発生を確認した場合は、リドミルゴールドMZやホライズンドライフロアブル等を散布する。
※ジマンダイセン水和剤、リドミルゴールドMZは同一成分を含むため合計3回まで。
◇QoI殺菌剤(アミスター、ホライズンなど)は、耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。(1作1回程度の使用にとどめる。)
【褐斑病】(発生は平年並であった。)
◇過湿条件で発生しやすいので、ハウス内の過湿を避ける。
◇台風のあと発生することが多い。
◇窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。
◇べと病や炭そ病に似た病斑を形成するので、正確に診断し、薬剤を選択する。
◇発生が見込まれる時期にジマンダイセン水和剤やフルピカフロアブルなどで予防する。
◇発生を確認した場合は、ゲッター水和剤やプロポーズ顆粒水和剤等を散布する。
◇QoI殺菌剤(アミスター、ストロビーなど)、SDHI剤(カンタス)は、耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。(1作1回程度の使用にとどめる。)

7 施設野菜全般
【過湿注意】
◇施設内の湿度が高いと、灰色かび病や菌核病等の病害が発生しやすい。
◇適切な換気を行い、湿度を調整する。

 次の情報は、11月17日頃にお知らせします。

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