病害虫発生・防除メールサービス(2月)

(平成27年2月16日発信)


 大阪府内の2月の病害虫発生状況と今後1ヶ月の防除対策について、お知らせします。
 施設内外の温度差が大きく、農作業中に体調を崩しやすいのでご注意ください。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/
 先月もお知らせしたところですが、新たな農薬の評価手法(短期暴露評価※)が導入されることに伴い、次の農薬については、それぞれ使用制限となる登録変更(変更申請中のものを含む)が行われています。
 これらを成分に含む農薬は変更後の内容に従って使用してください。変更内容については、販売店で提供されるチラシ等や病害虫防除グループホームページ「短期暴露評価により変更される農薬の使用方法の周知等について」
http://www.jppn.ne.jp/osaka/H26nd/ARfDtuuti/ARfDH26_top.htmlで確認してください。
◇短期暴露評価が導入されることにより登録内容が変更になった農薬
 変更登録済みのもの:アセフェート(商品名オルトラン、ジェイエース等)、ジメトエート(商品名ジメトエート等)
 変更登録申請中のもの:カルボスルファン(商品名アドバンテージ、ガゼット等)、ベンフラカルブ(商品名オンコル等)、フルバリネート(商品名マブリック等)フェナリモル(商品名ルビゲン等)、NAC(商品名デナポン、ミクロデナポン) 
※短期暴露評価:農薬の急性毒性の指標として、24時間又はそれより短い時間に経口摂取した場合に、健康に悪影響を示さないと推定される1日当たりの摂取量(=急性参照用量(ARfD))を用いた評価

1 ぶどう(加温栽培)
【灰色かび病】
◇施設を閉め切る時間が長いとハウス内の湿度が高くなり、発生しやすい。
◇開花後の花がらが発生源となることが多い。
◇開花後には、刷毛やブロワーで花がらを取り除く。
◇換気を適切に行って、マルチを敷いて、湿度を下げるようにする。
◇加温機の送風だけを利用しても、病気の予防効果が期待できる。
◇発生前には生物農薬のボトキラー水和剤、発生した場合はゲッター水和剤等を散布する。
【ハダニ類】
◇早期加温栽培で発生しやすい。
◇加温機の近く、ダクトの先端部など高温になりやすいところから発生するので、注意して観察する。
◇発生を確認した場合は、マイトコーネフロアブルかバロックフロアブルを散布する。
◇天敵(生物農薬)を放飼して、防除することもできる。
・スパイカルEX(ハダニを食べるミヤコカブリダニ)

2 みかん 
【せん定作業】
◇かんきつ類のせん定適期は、3月頃。萌芽期までにせん定が終わるようにする。
(せん定の際には、せん定前の70%以上の葉が残るようにする。)
◇せん定の際には、下記のことに注意する。
◇大きな切り口には、下記薬剤を塗布して保護する。
・トップジンMペースト(かんきつ 原液塗布 せん定整枝時/3回)
◇樹勢が著しく低下した樹は病害虫の発生源にもなりやすいので、間伐する。
◇枯死した枝も病害虫の発生源になりやすいので、切除する。
◇樹高を低くし、農薬散布等の管理をしやすくする。
◇樹と樹の間隔を広げ、日当たりと風通しをよくする。
◇樹の間隔は、人が楽に通行できる距離を目安にする。
【休眠期防除】
◇カイガラムシ類、ミカンサビダニ、ミカンハダニの越冬を減らす効果がある。
◇マシン油剤を12月中に散布できなかった場合は、厳寒期を避け、3月中に行う。

3 いちじく
【ネコブセンチュウ】
◇3月下旬にネマトリンエース粒剤を樹冠下処理する。
◇まだ地温が低い2月に使用しても効果が出にくい。
【霜対策】
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。
◇一文字整枝の場合は主枝が霜害を受けやすいので、わらなどで樹体を包む等の対策をする。
◇霜除けは4月(晩霜が終わるまで)まで残しておく。

4 なす(施設栽培)
【すすかび病】(巡回では平年同様、発生は見られなかった。)
◇保温のため閉め切ることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇発病した葉はできるだけ取り除き、ハウス外へ持ち出し処分する。
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤等を散布する。
【灰色かび病】
◇保温のため閉め切ることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇発病した葉や果実はできるだけ取り除き、ハウス外へ持ち出し処分する。
◇発生が予測される時期にボトキラー水和剤を予防的に散布する。
◇暖房機ダクトが設置されている施設では、ボトキラー水和剤のダクト内投入による散布
 も効果的である。
◇発生が見られたらセイビアーフロアブル20等を散布する。
【菌核病】
◇保温のため閉めきることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇発生が見られたらスミレックス水和剤等を散布する。
【アザミウマ類】(巡回では、一部のハウスでやや多く見られたが、全般的には、ほとんど見られなかった。)
◇定植時に苗と一緒に持ち込まれる場合があるので注意する。
◇野菜苗や鉢花などを一時的にハウスに入れたときに持ち込むことがある。
◇発生が見られたら、アファーム乳剤、モベントフロアブルを散布する。
◇天敵や寄生菌を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマを食べるスワルスキーカブリダニ)
 活動可能温度:摂氏15〜35度
・パイレーツ粒剤(アザミウマ等に寄生するカビ)
 適温:摂氏20〜30度(生育温度 摂氏15〜35度)
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)
 適温:摂氏18〜28度
【チャノホコリダニ】
◇定植時に苗と一緒に持ち込まれる場合があるので注意する。
◇体長0.2ミリと非常に微細なダニなので、肉眼での発見は難しい。
◇新梢の先端付近が集中的に被害をうけ、灰褐色に変色する。
◇多発すると果実に大きな被害が出るので注意が必要になる。
◇株がまだ小さい期間に、丁寧に防除する。
◇カネマイトフロアブルやコテツフロアブル(劇)を散布する。

5 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで農薬の登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
◇QoI殺菌剤(シグナム)、SDHI殺菌剤(アフェット、カンタス、シグナム)は、耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。(1作1回程度の使用にとどめる。)
※シグナムはQoI剤とSDHI剤の両方を含む
【葉かび病】(巡回では発生は平年よりやや多かった。)
◇例年、この時期から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、カンタスドライフロアブル、アフェットフロアブル等を散布する。
◇多発する場合は、次作から葉かび病抵抗性品種を用いる。ただし、抵抗性品種でも葉かび病の系統によっては発病することがあるので注意する。
【すすかび病】(巡回では発生は平年よりやや多かった。)
◇例年、この時期から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、シグナムWDG等を散布する。
◇ファンベル顆粒水和剤はトマトのみに適用があり、ミニトマトでは使用できない。
【灰色かび病】(巡回では発生は平年よりやや多かった。)
◇例年この時期から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇葉の先端、開花後の花がら、ガク周辺から発生することが多いので、こまめに取り除く。
◇被害葉や果実は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤、カンタスドライフロアブル等を散布する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
◇施設では、開口部を寒冷紗で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇複数の施設を移動するときに、これらの害虫を持ち運ばないよう注意する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

6 たまねぎ
【べと病】・【白色疫病】
◇温暖で雨が続くと発生しやすい。排水不良の畑で発生が多い。
◇発生が見込まれる時期にジマンダイセン水和剤かランマンフロアブルを予防的に散布する。
◇発生を認めたら、リドミルゴールドMZかホライズンドライフロアブルを散布する。
(注)リドミルゴールドMZ(3回)とジマンダイセン水和剤(5回)は、同一成分を含むため合計5回まで。

 次の情報は、3月17日頃にお知らせします。

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