病害虫発生・防除メールサービス(4月)

(平成26年4月17日発信)


  大阪府内の4月の病害虫発生状況と今後1ヶ月の防除対策についてお知らせします。
 春は強風の日が多いので、薬剤散布の際はドリフトに注意しましょう。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/

1 水稲
◇昨年、穂いもち病の発生が府内各地で散見されたので、発生したところでは特に種子消毒等の対策をしっかりと行う。
【育苗準備・種子消毒】
◇育苗箱などの資材は使用前にケミクロンG、イチバン等で消毒する。
◇農薬を使用する場合の注意
・テクリードCフロアブル、スポルタックスターナSE等で消毒する。
◇温湯消毒の場合の注意
・乾燥した種子または塩水選後1時間以内の吸水の進んでいない種子を使用する。
・60度の湯に10分間浸漬する。引き上げ後、直ちに水で冷やす。
・処理した種子は、できるだけ速やかに浸種し催芽を行うか、病原菌が付着しない条件下で風乾後、湿度が低い冷暗所に保管する。なお保管期間はできるだけ短い方が望ましい。
【苗腐敗症】
◇出芽時の高温(30度を超える)や多湿は発病を助長するので適正に管理する。
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
     (近年、ウイルスを保毒したヒメトビウンカの発生がやや多い)
◇縞葉枯病は、ヒメトビウンカにより媒介される。
◇育苗ほにヒメトビウンカが飛来しないように、周辺のイネ科雑草を除草する。

2 なす(施設栽培)
◇夜間は保温のため閉めきることが多いが、早朝換気が遅れ、施設内の湿度が高くなると病害が発生しやすい。適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇農薬の使用にあたっては、SDHI殺菌剤は耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。
・SDHI剤の例
 アフェット(ペンチオピラド)、カンタス(ボスカリド)
【うどんこ病】(巡回では発生がやや多かった)
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤、ダコニール1000等を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤、アフェットフロアブル等を散布する。
【灰色かび病】
◇発生が予測される時期にボトキラー水和剤等を予防的に散布する。
◇暖房機ダクトを設置しているハウスでは、ボトキラー水和剤のダクト内投入による散布も効果的である。
◇発生が見られたらセイビアーフロアブル20、カンタスドライフロアブル等を散布する。
【アザミウマ類】(巡回ではミナミキイロアザミウマが一部の地域で発生が見られる)
◇近年、ミナミキイロアザミウマの発生が増えてきている。
◇発生が見られたらアファーム乳剤、モベントフロアブル、プレオフロアブル(対象:ミナミキイロアザミウマ)等を散布する。
◇アグリメックはアファーム乳剤と同じ系統の薬剤である。
◇天敵の虫や菌を使った生物農薬も効果がある。(使用時のハウスの気温等に注意)
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ) 適温:12〜35度
・ボタニガードES、ボタニガード水和剤(アザミウマ等に寄生するカビ)
 適温:18〜28度(散布後、施設内を保湿する)

3 なす(露地栽培)
【育苗期の管理】
◇アザミウマ類、ハダニ類、アブラムシ類、チャノホコリダニ等の微小な害虫に特に注意し、初期防除を徹底する。
【ほ場準備】
◇なす、トマト、じゃがいもなどのナス科野菜の連作は避ける。
◇なす畑の周囲に牧草のソルゴーを植えることで、風の害を防ぐとともに、土着の天敵を育み、アブラムシ類やアザミウマ類の被害を軽減することができるので、ほ場面積に余裕がある場合は、ソルゴーを植えるスペース(ほ場周囲に幅1〜2m)を確保する。

4 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇施設内の湿度が高くなると病害が発生しやすい。適度に換気を行い、湿度を下げる。また、被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇トマトとミニトマトで農薬の登録内容が異なる場合がある。農薬の使用時には注意する。
◇農薬の使用にあたっては、SDHI殺菌剤、QoI殺菌剤は耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。
・SDHI剤の例
 アフェット(ペンチオピラド)、カンタス(ボスカリド)、シグナム(成分の一つボスカリド)
・QoI剤の例
 シグナム(成分の一つピラクロストロビン)
【葉かび病】(巡回では発生は平年よりやや多かった)
◇発生が見られたら、トリフミン水和剤、シグナムWDG、アフェットフロアブル等を散布する。
◇トリフミン乳剤はトマトのみに適用があり、ミニトマトでは使用できない。
【すすかび病】(巡回では発生は平年並であった)
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、ファンベル顆粒水和剤(トマト)等を散布する。
◇ファンベル顆粒水和剤はトマトのみに適用があり、ミニトマトでは使用できない。
【灰色かび病】(巡回では発生は平年よりやや多かった)
◇例年この時期から発生が増える。
◇葉の先端、開花後の花がら、ガク周辺から発生することが多いので、こまめに取り除く。
◇発生が見られたら、ゲッター水和剤、カンタスドライフロアブル等を散布する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇タバココナジラミによって媒介されるウイルス病である。感染してからは対策がないので、コナジラミ類の防除を徹底する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
◇施設では、開口部を寒冷紗(目合0.4ミリ)で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇作業者が、コナジラミ類を付着させたまま、複数のハウスを移動しないよう注意する。
◇発生が見られたら、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

5 たまねぎ
【べと病】・【白色疫病】(巡回では、平年並の発生であった)
◇例年3〜5月に発生する。
◇発生適温は15度である。雨が続くと発生しやすい。排水不良の畑で発生が多い。
◇昨年は発生がやや多かったので、昨年発生していたほ場では、特に注意する。
◇発生が予測される時期にジマンダイセン水和剤かランマンフロアブルを散布する。
◇発生が見られたら、リドミルゴールドMZかホライズンドライフロアブルを散布する。
(リドミルゴールドMZとジマンダイセン水和剤は、同じ成分(マンゼブ)を含む。マンゼブを含む農薬の総使用回数は合計5回まで)

6 あぶらな科野菜(かぶ、こまつな、しろな等)
【白さび病】
◇春に雨が多いと発生が多い。
◇かぶ、しろな、こまつなでは、発生が見込まれる時期にランマンフロアブル等を散布する。
◇あぶらな科野菜は、農薬の適用作物名で「かぶ」「こまつな」「だいこん」「キャベツ」「ブロッコリー」を始め、「非結球あぶらな科葉菜類」「なばな類」等に分かれ、それぞれ農薬の登録内容が異なるので注意する。(農薬登録における適用作物名http://www.acis.famic.go.jp/shinsei/3986/3986beppyou1.pdf)
◇特に、「非結球あぶらな科葉菜類」「なばな類」などは、そのグループに含まれる作物名、品種名等が決まっており、類似の作物でも含まれない場合があるので注意が必要である。

7 ぶどう(施設栽培)
【灰色かび病】(巡回では発生は平年同様、少なかった)
◇開花期〜幼果期に発生すると被害が大きい。
◇巨峰などでは、花流れの原因となる場合がある。
◇花かすが発生源となることが多いので、開花後に刷毛やブロワーで花かすを取り除く。
◇換気を適切に行って、湿度を下げるようにする。
◇発生が見られたら、スイッチ顆粒水和剤、ゲッター水和剤等を散布する。
◇暖房機ダクトが設置されている施設では、ボトキラー水和剤のダクト内投入による散布も効果的である。
【コガネムシ類】
◇萌芽期に食害を受けると被害が大きい。
◇発生が見られたら、ダントツ水溶剤、アディオン水和剤等を散布する。

8 みかん
【アブラムシ類】
◇発生が見られたら、アルバリン顆粒水溶剤、モスピラン水溶剤(劇)等を散布する。

9 もも
【縮葉病】(昨年は、発生の見られたほ場がやや多かった。)
◇翌年の伝染源になるため、症状が見られる葉は取り除き、土中に埋めるか、畑から持ち出して処分する。

10 いちじく
【霜対策】
◇霜除けは、遅霜の心配がなくなってから除去する。
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。

次の情報は、5月15日頃にお知らせします。

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