病害虫発生・防除メールサービス(6月)

(平成26年6月17日発信)


大阪府内の6月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 例年、梅雨期に病害が多発しますので、しっかり対策をしましょう。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針も御参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/
なお、6月から8月は農薬危害防止月間です。農薬の安全かつ適正な使用を徹底し、農薬の使用に伴う事故・被害を防止しましょう。

1 水稲
【いもち病】(昨年、穂いもちの発生はやや多かった。)
◇低温や日照不足で発生しやすい。山間部などで、発生が多い。
◇密植や窒素肥料の多用は、発生を助長するので注意する。
◇補植用の苗が発生源になることが多いので、早めに処分する。
◇発生が見られたら、ブラシンフロアブル等を散布する。
◇近隣府県においてQoI剤耐性菌の発生が報告されている。QoI剤(アミスター、オリブライト、嵐等)の使用は1作1回に留める。
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)(ヒメトビウンカの発生はやや少なかったが、
               ウイルスを保毒したヒメトビウンカが確認された)
◇縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、6月下旬〜7月上旬の感染が多い。
◇生育初期に発病すると、葉が「こより状」に巻いて垂れ下がり、その後枯れる。
◇トレボン粒剤やスタークル粒剤等でヒメトビウンカの防除を徹底する。
【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
◇田植え後20日ほど経過し、葉が硬化すると食害を受けにくくなる。
◇水深4cm以下では自由に移動できないので、田植後の浅水管理が有効である。
◇ピンク色の卵塊を発見した場合は、水中に掻き落とす。(卵は水中では生存できない)
◇田植直後にスクミノン等の薬剤を散布する。
 スクミノン使用後は7日間湛水状態にし、かけ流しや落水はしない。
 スクミノンは水田以外(用水路等)には使用しない。

2 ぶどう
【べと病】(巡回では発生は平年よりやや少なかった)
◇気温20〜22度で、雨が多いと発生しやすい。
◇例年梅雨期に発生するので、梅雨の晴れ間にしっかり防除する。
◇梅雨明けが遅れると蔓延しやすい。今後の天候に注意する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっかり防除する。
◇ICボルドー66DやICボルドー48Q等を散布する。
(注)ジベレリン処理とボルドーの近接散布を避ける。
◇発生を確認した場合は、ランマンフロアブル、ドーシャスフロアブル(60日前まで)を散布する。
◇収穫前日数に注意し、収穫期間近の場合は、収穫終了後に散布する。
【ハダニ類】
◇施設栽培で発生しやすい。
◇多発し早期落葉すると、着色障害など果実品質に影響する。
◇除草を行うと、雑草にいたハダニ類がぶどうに移動して、急に被害が増えることがある。
◇発生を確認した場合は、バロックフロアブル、コロマイト水和剤等を散布する。収穫前日数に注意すること。

3 温州みかん
【そうか病】(巡回では、発生はやや少なかった)
◇長雨が続くと発生しやすい。
◇梅雨の晴れ間を利用してトップジンM水和剤等で防除する。
【ミカンハダニ】(巡回では、発生はやや多かった)
◇例年、梅雨明け後に多発する。
◇発生を確認した場合は、ハーベストオイル、バロックフロアブル等を散布する。
◇同一の薬剤を連用すると抵抗性が発達しやすい。
◇ダニトロンフロアブル、ピラニカ水和剤、サンマイト水和剤、マイトクリーンは同一系統薬剤で交差抵抗性があるため、これらの薬剤の連用を避ける。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳して確認する。
◇薬害発生の恐れがあるので、高温時の散布は避ける。

4 もも
【せん孔細菌病】(発生はやや多かった)
◇強風雨で発生が助長される。
◇発生が見込まれる時期にチオノックフロアブルを散布する。
◇収穫期が近づいているので、収穫前日数の制限に気をつける。
◇収穫前に散布できない場合は、収穫終了後に防除する。
【吸汁ヤガ類】
◇夜になると果樹園に飛来して、果実を吸汁するガの総称である。
◇果実袋の上から吸汁することもあるので注意が必要である。
◇収穫間際に飛来する害虫なので、薬剤による防除は難しい。
◇黄色灯を終夜点灯することで成虫の飛来を抑制できる。(文末参照)
【アブラムシ類】(巡回では、発生は平年並であった)
◇直接の吸汁害の他、ウイルス病を媒介することもあるので、防除が必要である。
◇発生を確認した場合はモスピラン顆粒水溶剤、アドマイヤー顆粒水和剤等で防除する。

5 いちじく
【アザミウマ類】(発生は平年並であった)
◇果実開口部から内部へ侵入し加害する。果実は腐敗するなどの被害を受ける。
◇6月中旬から7月中旬は例年アザミウマ類の発生が多くなる時期であり、この時期の防除が果実内の腐敗防止に有効である。
◇発生を確認した場合はスピノエース顆粒水和剤、アディオン乳剤等で防除する。
【イチジクヒトリモドキ】
◇葉や果皮を加害する黒い毛虫である。
◇大阪府内では、平成19年度に初めて発生を確認した害虫である。
◇5月下旬〜6月上旬に第1世代の幼虫が現れ、年に5世代程度発生する。
◇高槻市、柏原市、羽曳野市、堺市など府内各地で発生が確認されている。
◇新梢生育期に食害を受けると被害が大きいので注意が必要である。
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、アディオン乳剤、デルフィン顆粒水和剤等を散布する。

6 果樹類
【果樹カメムシ類】(発生は多かった。5月30日病害虫発生予察注意報第1号発表)
◇果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシの3種である。
◇もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを加害することもある。
◇果実袋を使用した場合でも、果実の肥大に伴って果実袋と果実が密着すると、袋の上から吸汁されることもある。
◇発生した場合は、もも、かき、かんきつの場合はスタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤、アディオン乳剤、モスピラン顆粒水溶剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計3回まで(もも、かき、かんきつ)。
◇成虫の移動能力は高く、次々と飛来するため、こまめな防除が必要となる。
◇収穫期近くでも防除が必要となるため、薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数に十分注意する。
◇園全体を目合4mmのネットで覆い、侵入を防ぐ。
◇黄色灯を終夜点灯することで成虫の飛来を抑制できる。(文末参照)

7 なす(施設栽培・露地栽培とも)
【すすかび病】(巡回では発生はやや少なかった)
◇多湿条件や草勢が低下したときに発生しやすい。
◇下〜中位の葉に発生しやすい。被害葉は早めに除去し、ほ場外で処分する。
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤等を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤、カンタスドライフロアブル、シグナムWDG等を散布する。
◇耐性菌を考慮して、QoI剤(アミスター、ストロビー、シグナム等)の使用は1作1回に留める。
【うどんこ病】(巡回では施設栽培の一部で発生がやや多かった。全体的には平年並であった)
◇うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が低下すると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、パンチョTF顆粒水和剤、モレスタン水和剤等をしっかり散布する。
 モレスタン水和剤は、高温時には薬害が発生しやすいので注意する。
【アブラムシ類】(巡回では発生は平年並であった)
◇定植から1ヶ月後には、定植時に使用した粒剤の効果が切れてくるため、増加し始める。
◇テントウムシや寄生蜂などの天敵による防除効果が期待できるので、アディオン乳剤、アドマイヤー顆粒水和剤など天敵に影響が大きい薬剤の使用は控える。
◇発生量が多い場合は、モスピラン顆粒水溶剤、ウララDF等を散布する。
【ハダニ類】(巡回では発生は平年並であった)
◇苗が小さい時期の方が防除効果が高いので、発見後早めにコロマイト乳剤やダニサラバフロアブル、ピラニカEW等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳して確認する。
【チャノホコリダニ】
◇微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇発生を認めたらコロマイト乳剤、ピラニカEW等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳して確認する。
【アザミウマ類】(巡回ではミナミキイロアザミウマの発生は平年並であった。)
◇近年、ミナミキイロアザミウマが増加している。
◇発生が見られたら、ダントツ水溶剤(ミナミキイロアザミウマのみ)、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマのみ)、アファーム乳剤、ディアナSC等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、使用履歴を確認し、使用回数制限に気をつける。
【ソルゴー囲い込み栽培の注意点】
◇アザミウマ類の天敵であるハナカメムシ類が発生する。
 害虫防除には、天敵に影響の少ない薬剤(プレオフロアブル、BT剤等)を利用する。
◇サンクリスタル乳剤等は、ハダニ類等の天敵であるカブリダニ類に影響が少ない。
◇天敵類に影響が強い合成ピレスロイド系薬剤を使用しない。

8 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
【葉かび病】(巡回では発生は平年並であった)
◇多湿条件や草勢が低下したときに発生しやすい。
◇下〜中位葉で発生が多い。被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、シグナムWDG、アフェットフロアブル等を散布する。
◇トリフミン乳剤はトマトのみに適用があり、ミニトマトには使用できない。
【ウイルス病】
◇府内でトマト黄化葉巻病やトマト黄化えそ病等の発生が確認されている。
◇アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類などがウイルスを媒介する。
◇罹病してからでは対策がないので、媒介昆虫の防除を徹底する。
◇感染株は見つけ次第、株元から切り取り、ビニル袋等に入れて完全に枯死させる。
◇ほ場周辺に、こぼれ種から発芽した苗があれば処分する。
◇開口部に防虫網を設置し、日頃から破れ等がないか点検する。
【コナジラミ類】
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入を防ぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。

9 きく
【黒斑病、褐斑病】(巡回では発生は平年並であった)
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇雨滴によって感染が拡大するので、梅雨前にしっかり防除する。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ダコニール1000、ストロビーフロアブル等を散布して予防する。
【白さび病】(巡回では発生は平年並であった)
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ストロビーフロアブル、ステンレス等を散布し、予防に努める。
【ハモグリバエ類】
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇発生がみられたら、トリガード液剤(マメハモグリバエ)、スピノエース顆粒水和剤等を散布する。
【アザミウマ類】
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。
◇発生を確認したらディアナSC、ハチハチ乳剤等を散布する。
【アブラムシ類】(巡回では発生は平年並であった)
◇吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
◇発生を確認したらアドマイヤーフロアブル、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計5回まで。

10 野菜類・花き類
【シロイチモジヨトウ】(フェロモントラップの誘殺虫数はやや多かった)
◇数十から数百個程度の卵塊で産卵し、若齢幼虫は集団で食害する。中齢幼虫になると分散する。
◇老齢幼虫になると薬剤は効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇発生を認めたら、アファーム乳剤(ねぎ、しゅんぎく、花き類等)やフェニックス顆粒水和剤(ねぎ)等で防除する。
◇薬剤防除に当たっては適用作物に注意する。
◇黄色灯を終夜点灯することで成虫の飛来を抑制できる。(文末参照)
【オオタバコガ】(発生は例年より早く、やや多かった)
◇1頭の幼虫が数個の果実を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、果実内に幼虫が入っている可能性が高いので、早めに処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、スピノエース顆粒水和剤(なす、トマト、きく)、プレオフロアブル(なす、トマト、花き類)等で防除する。
◇黄色灯を終夜点灯することで成虫の飛来を抑制できる。(文末参照)

11 黄色灯によるヤガ類、チャバネアオカメムシの防除
[対象害虫]
◇もも、みかんの果実を吸汁するアカエグリバ等の吸汁ヤガ類、チャバネアオカメムシ。
◇野菜・花き類を食害するハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ等。
◇成虫の飛来を抑制するもので、幼虫に対して防除効果はない。
◇もも、みかんの果実を吸汁するクサギカメムシ、ツヤアオカメムシに対して防除効果はない。
[設置方法]
◇ほ場内の照度が1ルクス以上になるように、設置する。
◇ほ場の上方や外側にも光が行き届く方が効果が高い。
◇日没1時間前から、日の出1時間後まで点灯すると効果が高い。
◇水稲やきくは夜間に強い光を受けると開花しない。周辺にこのような作物がある場合は黄色灯の設置方向に注意すること。

 次の情報は、7月15日頃にお知らせします。

トップに戻る