病害虫発生・防除メールサービス(8月)

(平成26年8月15日発信)


 大阪府内の8月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 暑い日が続いています。作業時に熱中症にならないよう十分ご注意下さい。
 高温時の薬剤散布では薬害が発生しやすいので、朝・夕の涼しい時間帯に行いましょう。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/
 なお、6月から8月は農薬危害防止運動月間です。農薬の安全かつ適正な使用を徹底し、農薬の使用に伴う事故・被害を防止しましょう。

1 水稲
【いもち病】(巡回では中山間部と平坦部の一部で発生が見られ、発生量はやや多かった。7月31日病害虫発生予察注意報第2号発表)
◇低温や日照不足で発生しやすい。中山間部で発生しやすいが、近年平坦部での発生も見られる。
◇密植や窒素肥料が多い水田では、発生しやすい。
◇葉いもちが発生していない地域でも、今後の天候によっては穂いもちが発生することがある。
◇葉いもちの発生が認められるほ場では出穂前に穂いもちの予防散布を行う。
◇発生しやすい水田では、穂ぞろい期や乳熟期にも防除を行う。
◇発生初期に、ブラシンフロアブル等で防除を徹底する。
◇本府においてもQoI剤の効果が低下している菌の発生が確認されている。QoI剤耐性菌にはQoI剤の効果はなくなるため、他の系統薬剤を選択するなど、薬剤の選択に注意する。
 QoI剤の例 アミスター、イモチエース、オリブライト、嵐
【紋枯病】(巡回では発生量は平年同様見られなかった。)
◇高温、多湿で発生しやすい。
◇発生初期に、バリダシン液剤5等で防除を徹底する(収穫前日数に留意)。
【もみ枯細菌病】
◇出穂時に高温多雨になると発生しやすい。
◇出穂直前〜穂ぞろい期にブラシンフロアブル等を散布する。
◇前年に発生した水田では、予防散布する。
【内えい褐変病】
◇出穂時に高温多雨になると発生しやすい。特に台風に注意が必要である。
◇穂ばらみ期にブラシンフロアブル等を散布する。
◇出穂前と出穂後の1回ずつ散布する方が効果が高い。
※穂いもち、もみ枯細菌病、内えい褐変病の同時防除には出穂直前にブラシンフロアブル等を散布する。
【ウンカ類】(ヒメトビウンカ、セジロウンカは巡回ではやや少なかった。)
◇発生を確認した場合はトレボン乳剤、スタークル粒剤、アルバリン粒剤等で防除する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため、本田での使用は合計3回まで。
【コブノメイガ】
◇発生を確認した場合は、トレボン乳剤、パダンSG水溶剤等で防除する。
◇羽化後2週間程度すると被害が目立つようになる。
【斑点米カメムシ類】(ほ場での発生は平年並。予察灯ではイネホソミドリカスミカメ
             (旧名称:アカヒゲホソミドリカスミカメ)の飛来が多い。)
◇水田内に生えたヒエなどのイネ科雑草を抜き取る。
◇出穂前後の畦畔の除草はカメムシ類を水田に追い込むため、実施しない。
◇薬剤防除は、出穂10日後頃にスタークル粒剤、アルバリン粒剤、キラップ粒剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため、本田での使用は合計3回まで。
【コバネイナゴ】
◇1株あたり0.8頭以上になると、収量、品質に影響する。
◇ほ場を見回り、発生が多い場合はトレボン乳剤、MR.ジョーカーEW等を散布する。
【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
◇次年度の発生を減らすため、ピンク色の卵塊を発見した場合は、水中に掻き落とす。
(卵は水中では生存できない)

2 ぶどう
【べと病】(巡回では発生は平年よりやや少なかったが、一部で発生が見られた。)
◇秋口になって気温が下がり、雨が多いと再び発生する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっかり防除する。
◇発生が予測される時期に、ボルドー液等を散布する。
◇発生を確認した場合は、ランマンフロアブル等を散布する。
◇収穫前日数に注意し、収穫期間近の場合は、収穫終了後に散布する。
【褐斑病】(巡回では発生はやや多かった。)
◇秋期落葉期まで発生し、落葉を早めるので注意する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響する。
◇発生を確認した場合は、収穫終了後にジマンダイセン水和剤等でしっかり防除する。
【晩腐病】(巡回では発生はやや多かった。)
◇これから収穫を迎える大粒系品種等で注意が必要である。
◇収穫期が近づき、糖度が高くなった果実で発生しやすい。
◇気温20〜25度で、収穫期に雨が続くと、多発する。
◇鳥獣害や裂果等で傷ついた果房から発生することが多い。
◇被害果房は園外に持ち出して処分する。
【ブドウトラカミキリ】
◇成虫発生時期は8月中旬〜10月上旬である。
◇収穫終了後、モスピラン顆粒水溶剤等を散布して防除する。
【アメリカシロヒトリ】
◇ぶどう以外にも多種類の果樹類、街路樹等を食害する。
◇収穫終了後の園も定期的に見回って、発生状況を確認する。
◇発生を確認した場合は、デルフィン顆粒水和剤(果樹類・ケムシ類)やフェニックスフロアブル(ケムシ類・14日前まで)を散布する。
【トビイロトラガ】
◇収穫が終わった園も定期的に巡回し、発生が多い場合はデルフィン顆粒水和剤等で防除する。

3 温州みかん
【そうか病】(巡回では、発生は平年並であった。)
◇長雨が続くと発生しやすい。
◇発生を確認した場合は、トップジンM水和剤等で防除する。
【ミカンハダニ】(巡回では発生はやや多かった。)
◇発生を確認した場合は、コロマイト水和剤、ダニエモンフロアブル、マイトコーネフロアブル等で防除する。
◇合成ピレスロイド系の殺虫剤は、天敵を減らすため、多用するとハダニ類の増加を招く恐れがある。
◇同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳し、確認する。
◇薬害発生の恐れがあるので、高温時の散布は避ける。
※コロマイト水和剤、ダニエモンフロアブル、マイトコーネフロアブルはミカンサビダニにも登録がある。

4 いちじく
【疫病】
◇雨が続くと発生しやすい。
◇雨水の跳ね上がりなどで伝染するので、敷きわらやマルチを行う。
◇腐敗果は早めに園外に持ち出して、処分する。
◇ランマンフロアブル等を散布して防除する。
【イチジクヒトリモドキ】
◇葉や果皮を加害する黒い毛虫である。
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、アディオン乳剤、デルフィン顆粒水和剤(果樹類・ケムシ類)等を散布する。

5 果樹類
【果樹カメムシ類】(前月に引き続き、フェロモントラップの誘殺数は多かった。5月30日病害虫発生予察注意報第1号発表)
◇果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギ
 カメムシの3種である。
◇なし、かき、みかんなどで被害を受ける可能性がある。
◇園によって、発生程度に大きな差ができやすい。
◇飛来を確認したら、かき、かんきつの場合はスタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤、アディオン乳剤、モスピラン顆粒水溶剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため散布は合計3回まで(かき、かんきつ)。
◇成虫の移動能力は高く、次々と飛来するため、こまめな防除が必要となる。
◇収穫期近くでも防除が必要となるため、薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数に十分注意する。

6 なす
【うどんこ病】(ほ場での発生はやや少なかった。)
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、トリフミン乳剤、アフェットフロアブル等をしっかり散布する。
※モレスタン水和剤は、高温時には薬害が発生しやすいので注意する。
【アザミウマ類】(ミナミキイロアザミウマはやや少なかった。)
◇発生が見られたら、アファーム乳剤、ディアナSC、モベントフロアブル等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、農薬の使用履歴を確認し、使用回数制限に注意する。
◇系統の異なる薬剤を組み合わせて、ローテーション散布する。
【ハダニ類】(一部のほ場で発生が多かった。)
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると、天敵が減少し、ハダニ類が増えやすい。
◇発生初期の方が防除効果が高いので、発見後早めにコロマイト乳剤、スターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用基準の使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳し、確認する。特に購入苗の場合は、育苗期の使用履歴もしっかり確認する。
【チャノホコリダニ】
◇微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇がく片の褐変などの被害が発生したら、コロマイト乳剤、スターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用基準の使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳し、確認する。

7 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種から発芽したり、残さから再生したトマトがあれば、処分する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置し、日頃から破れ等がないか点検する。
◇感染株は、直ちにビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入を防ぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤(トマト、ミニトマト)、コロマイト乳剤(トマト、ミニトマト)等を散布する。

8 キャベツ等あぶらな科野菜
(作物によって農薬の登録内容が異なるので、注意する。)
【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。
◇定植時に温度が高いと発生しやすいので、早植えを避ける。
◇土壌pHが低いと発生しやすい。石灰質資材等を施用して、pH6.5〜7に調整する。
◇発生が予測される畑では、キャベツ、はくさい、ブロッコリーでは、定植前に、ネビジン粉剤やオラクル粉剤を散布する。
【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
◇育苗時期から発生が見られるので、苗床も含め、発生に注意し、初期の防除を徹底する。
◇被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
◇セル成型育苗トレイにプレバソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等をかん注するか、プリンス粒剤(キャベツ、ブロッコリー)等を施用する。
◇発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。
【ハスモンヨトウ】
◇200個程度の卵塊で産卵され、若齢幼虫は集団で食害する。
◇老齢幼虫になると薬剤は効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇発生を認めたら、アファーム乳剤(キャベツ、なばな類等)やフェニックス顆粒水和剤(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等で防除する。
◇薬剤防除に当たっては適用作物に注意する。

9 きゅうり
【うどんこ病】
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉を行い、過繁茂にならないようにする。
◇発生が見込まれる時期にベルクート水和剤、トリフミン乳剤等を予防散布する。
◇QoI剤は耐性菌が発生しやすいため、1作1回の使用にとどめる。
・QoI剤の例 アミスター、ストロビー
【炭そ病】
◇過湿条件で発生しやすいので、ハウス内の過湿を避ける。
◇窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。
【ワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ)】
◇ハウス抑制栽培の生育初期に発生が認められることが多い。
◇ハウスの開口部を寒冷紗(2mm目合)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
◇生長点および脇芽の先端を食害するので、幼虫を捕殺する。
◇発生初期にゼンターリ顆粒水和剤、アファーム乳剤等を散布して防除する。

10 きく
【黒斑病、褐斑病】(巡回ではやや多かった。)
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ダコニール1000等を散布して予防する。
【白さび病】(巡回ではやや多かった。)
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ストロビーフロアブル、ステンレス等を散布し、予防に努める。
【ハモグリバエ類】(巡回では発生はやや少なかった。)
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇発生がみられたら、トリガード液剤(花き類・マメハモグリバエ)等を散布する。
【アザミウマ類】(巡回では発生は平年並であった。)
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。
◇発生を確認したらディアナSC(花き類)、ハチハチ乳剤等を散布する。
【アブラムシ類】(巡回では発生は平年並であった。)
◇吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
◇発生を確認したらアドマイヤーフロアブル、コルト顆粒水和剤(花き類)等を散布する。

11 野菜類・花き類
【オオタバコガ】(フェロモントラップの誘殺数は多かった。巡回でも、やや多かった。)
◇1頭の幼虫が数個の果実や蕾、新芽を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、果実内に幼虫が入っている可能性が高いので、早めに処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、フェニックス顆粒水和剤(なす、トマト、花き類)、プレオフロアブル(なす、トマト、花き類)等で防除する。

 次の情報は、9月17日頃にお知らせします。

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