病害虫発生・防除メールサービス(9月)

(平成26年9月16日発信)


 大阪府内の9月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 台風の季節になりました。台風の通過後には病害が広がることが多くあります。しっかり観察して防除を行いましょう。薬剤散布は、風がおさまってから行うようにしましょう。
 農薬を使用する前には、農薬のラベル等で登録内容をよく確認してください。また病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
 病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/

1 水稲
【いもち病(穂いもち)】(巡回では、葉いもちの発生が見られるほ場は平坦部を含め、多かった。中山間部及び一部の平坦部において、穂いもちの発生も見られた。7月31日病害虫発生予察注意報第2号、8月29日防除情報発表。)
◇低温や日照不足で発生しやすい。山間部などで発生が多い。
◇密植や窒素肥料が多い水田では、発生しやすい。
◇発生初期に、ブラシンフロアブル(収穫7日前まで)等で防除を徹底する。
【もみ枯細菌病】
◇今年もみ枯細菌病が発生した水田からの採種は避ける。
◇発病ほ場の稲わらやもみ殻は直接水田に還元せず、堆肥化など病原菌密度を減らしてから利用する。
【内えい褐変病】(巡回では発生はやや多かった。)
◇発生したほ場の稲わらや不稔もみは、堆肥化してから利用する。
【ウンカ類】(発生は平年並であった。)
◇発生を確認した場合は、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤(収穫7日前まで)等で防除する。
◇トビイロウンカは、西日本の一部の県で発生が多いとの情報がある。早期発見と初期防除が重要であるが、ほ場間や同一ほ場内でも発生に偏りがあり、発見が遅れやすいので、注意する。
◇トビイロウンカは、急激に増殖し、坪枯れを起こすことがある。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計3回まで。
【コブノメイガ】(巡回では発生は平年並であった。)
◇発生を確認した場合は、MR.ジョーカーEW(収穫14日前まで)等で防除する。
◇羽化後2週間程度すると被害が目立つようになる。
【斑点米カメムシ類】(ほ場での発生はやや多かった。予察灯ではアカスジカスミカメ、
イネホソミドリカスミカメ(旧名称:アカヒゲホソミドリカスミカメ)の飛来がやや多かった。)
◇出穂後の畦畔の除草は、カメムシ類を水田に追い込むため実施しない。
◇発生を確認した場合は、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤(収穫7日前まで)等で防除する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計3回まで。
◇カメムシ類は、日中はあまり活動しないため、夕方か早朝に薬剤散布を行う。

2 ぶどう
【べと病】(巡回では露地栽培で8月以降、発生量が増えてきている。)
◇秋口になって気温が下がり、雨が多いと再び発生する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっかり防除する。
◇発生が予測される時期に、ボルドー液などを散布し予防する。
◇収穫前日数に注意し、収穫期間近の場合は、収穫終了後に散布する。
【褐斑病】(巡回では発生はやや多かった。)
◇秋期落葉期まで発生し、落葉を早めるので注意する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響する。
◇発生を確認した場合は、収穫終了後にジマンダイセン水和剤等でしっかり防除する。
【ブドウトラカミキリ】
◇成虫発生時期は8月中旬〜10月上旬である。
◇収穫終了後、モスピラン顆粒水溶剤等を散布して防除する。

3 温州みかん
【黒点病】(巡回では、一部のほ場で果実での発生が、やや多かった。)
◇雨によって広がるので、注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、ジマンダイセン水和剤(収穫30日前まで)等で防除する。
【そうか病】(巡回では、発生は平年並であった)
◇長雨が続くと発生しやすい。
◇発生を確認した場合は、ゲッター水和剤等で防除する。
【ミカンハダニ】(巡回では発生はやや多かった。)
◇秋に温暖で雨が少ないと発生が多くなる。
◇発生を確認した場合は、ダニエモンフロアブル、コロマイト水和剤、マイトコーネフロアブル等で防除する。
◇同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
◇ダニトロンフロアブル、ピラニカ水和剤、サンマイト水和剤、マイトクリーンは交差抵抗性があるため、特にこれらの薬剤の連用を避ける。
◇農薬使用基準の使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳し、確認する。
【ミカンサビダニ】(巡回では、一部のほ場で被害果が見られた。)
◇被害果(通称:ちゃんぶくろ)が数多く確認されてからの防除では充分な効果が得にくい。
◇マイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤、ダニエモンフロアブル等で防除する。

4 いちじく
【疫病】
◇雨が続くと発生しやすい。
◇雨水のはね上がりなどで伝染するので、敷きわらやマルチを行う。
◇腐敗果は早めに園外に持ち出して、処分する。
◇ランマンフロアブル等を散布して防除する。

5 果樹類
【果樹カメムシ類】(前月に引き続き、フェロモントラップの誘殺数は多かった。5月30日病害虫発生予察注意報第1号発表)
◇果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギ
 カメムシの3種である。
◇なし、かき、みかんなどで被害を受ける。
◇園によって、発生程度に大きな差ができやすい。
◇飛来を確認したら、かき、かんきつの場合はスタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤、アディオン乳剤、モスピラン顆粒水溶剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため散布は合計3回まで(かき、かんきつ)。
◇成虫の移動能力は高く、次々と飛来するため、こまめな防除が必要となる。
◇収穫期近くでも防除が必要となるため、薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数に十分注意する。

6 なす
【うどんこ病】(巡回ではやや多かった。)
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、トリフミン乳剤、アフェットフロアブル等をしっかり散布する。
【褐色腐敗病】
◇発病した枝や果実は、直ちにほ場外へ持ち出して処分する。
◇初期防除が重要なので、発病を認めた場合にはすぐに防除を行う。
◇降雨による泥のはね上がりを防止するために、マルチや敷きわらを行う。
◇発生が見込まれる時期に、ランマンフロアブル等で予防する。
◇発生した場合は、ホライズンドライフロアブル等で防除する。
◇輸送中にも発病するので、選果・箱詰めは病果に注意して行う。
【アザミウマ類】(巡回ではミナミキイロアザミウマの発生が一部のほ場で多かったが、全般的には、やや少なかった。)
◇発生が見られたら、アファーム乳剤、モベントフロアブル、ディアナSC等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、農薬の使用履歴を確認し、使用回数制限に注意する。
◇系統の異なる薬剤を組み合わせて、ローテーション散布する。
【オオタバコガ】(フェロモントラップの誘殺虫数は春以降やや多い状態が続いている。
ほ場での発生もやや多かった。)
◇1頭の幼虫が数個の果実を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、中に幼虫が入っている可能性が高いので、早めに処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、プレオフロアブル、スピノエース顆粒水和剤、アファーム乳剤等で防除する。
【ハダニ類】(一部のほ場で発生がやや多かった。)
◇発生初期の方が防除効果が高いので、発見後早めにマイトコーネフロアブル、スターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用基準の使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳し、確認する。特に購入苗の場合は、育苗期の使用履歴もしっかり確認する。
【チャノホコリダニ】
◇微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇がく片の褐変などの被害が発生したら、コロマイト乳剤、ピラニカEW等を散布する。
◇使用基準の使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳し、確認する。特に購入苗の場合は、育苗期の使用履歴もしっかり確認する。

7 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで農薬の登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種から発芽したり、残さから再生したトマトがあれば、処分する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置し、日頃から破れ等がないか点検する。
◇感染株は直ちにビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入を防ぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤(トマト、ミニトマト)、コロマイト乳剤(トマト、ミニトマト)等を散布する。

8 きゅうり
【うどんこ病】
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉を行い、過繁茂にならないようにする。
◇発生が見込まれる時期にベルクート水和剤、トリフミン乳剤等で防除する。
◇QoI殺菌剤は、耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。
・QoI殺菌剤の例
  アミスター(アゾキシストロビン)、ストロビー(クレソキシムメチル)
【べと病】(巡回では発生はやや多かった。)
◇台風のあと発生することが多い。
◇ハウス内が多湿になると発生しやすいので、排水、換気に注意する。
◇肥切れになると発生しやすいので、追肥をこまめに行う。
◇発生が見込まれる時期にジマンダイセン水和剤やランマンフロアブルで予防する。
◇発生を確認した場合は、リドミルゴールドMZやホライズンドライフロアブル等を散布する。
※ジマンダイセン水和剤、リドミルゴールドMZは同一成分を含むため合計3回まで。
【褐斑病】
◇過湿条件で発生しやすいので、ハウス内の過湿を避ける。
◇窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。
◇べと病や炭そ病に似た病斑を形成するので、正確に診断し、薬剤を選択する。
【ワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ)】
◇ハウス抑制栽培の生育初期に発生が認められることが多い。
◇ハウスの開口部を寒冷紗(目合2mm)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
◇生長点および脇芽の先端を食害するので、幼虫を捕殺する。
◇発生初期にゼンターリ顆粒水和剤、アファーム乳剤等を散布して防除する。

9 キャベツ等あぶらな科野菜
◇作物によって農薬の登録内容が異なるので、農薬の使用時には注意する。
【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。
◇定植時に温度が高いと発生しやすいので、早植えを避ける。
◇土壌pHが低いと発生しやすい。石灰質資材等を施用して、pH6.5〜7に調整する。
◇排水不良のほ場で発生しやすいため、排水を良好にし、過湿を避ける。
◇発生が予測される畑では、キャベツ、はくさい、ブロッコリーでは、定植前に、ネビジン粉剤やオラクル粉剤を施用する。
【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
◇育苗時期から発生が見られるので、苗床も含め、発生していないか注意し、初期の防除を徹底する。
◇被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
◇セル成型育苗トレイにプリンス粒剤(キャベツ)等を施用するか、プレバソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等をかん注する。
◇発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。
【ハスモンヨトウ】(近年発生はやや多い。今年のフェロモントラップの誘殺虫数は平年並であった。)
◇200個程度の卵塊で産卵し、若齢幼虫は集団で食害する。中齢幼虫になると分散する。
◇老齢幼虫になると薬剤は効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇発生を認めたら、アファーム乳剤(キャベツ、なばな類等)やフェニックス顆粒水和剤(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等で防除する。
◇薬剤防除に当たっては適用作物に注意する。

 次の情報は、10月17日頃にお知らせします。

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