農推第1429号
平成26年5月30日
関係各位
大阪府環境農林水産部農政室長
病害虫発生予察情報について
標記について次のとおり発表したので送付します。
病害虫発生予報第2号(6月)
農作物名 | 病害虫名 | 予想発生量 |
水稲 | いもち病 | □~○ |
縞葉枯病 | □~○ | |
イネミズゾウムシ | △ | |
ニカメイガ | △ | |
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ) | □ | |
イネアオムシ(フタオビコヤガ) | □~○ | |
ぶどう(デラウエア) | べと病 | □~△ |
灰色かび病 | □~△ | |
クワゴマダラヒトリ | △ | |
フタテンヒメヨコバイ | □ | |
みかん | 黒点病 | □ |
そうか病 | □ | |
コナジラミ類 | □~○ | |
ミカンハダニ | □~○ | |
もも | せん孔細菌病 | □~○ |
果樹全般 | 果樹カメムシ類 | ● |
なす | 灰色かび病 | △ |
すすかび病 | □~△ | |
うどんこ病 | □~○ | |
ミナミキイロアザミウマ | □~△ | |
トマト |
灰色かび病 | △ |
葉かび病・すすかび病 | □ | |
非結球あぶらな科葉菜類 (大阪しろな、こまつな等) |
コナガ類 | △ |
きく | 黒斑病・褐斑病 | □ |
白さび病 | □ | |
野菜類 花き類 |
アブラムシ類 | □~△ |
ミカンキイロアザミウマ | △ | |
シロイチモジヨトウ | □~○ | |
ハモグリバエ類 | □~△ | |
オオタバコガ | □~○ | |
コナジラミ類 | △ | |
▲:少ない △:やや少ない □:並 ○:やや多い ●:多い |
◎農薬については、大阪府農作物病害虫防除指針を参考にしてください。
6月の気象予報(大阪管区気象台5月22日発表) | |||
低い (少ない) |
平年並 | 高い (多い) |
|
気温 | 20% | 40% | 40% |
降水量 | 40% | 40% | 20% |
日照時間 | 20% | 30% | 50% |
A 水稲
【いもち病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)昨年度は葉いもち及び、穂いもちの発生とも平年よりやや多かった。
(2)向こう1ヶ月の天候は気温はやや高く、日照時間も多いと予想されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)育苗箱において発生した場合、その箱の苗は本田に移植しない。
(2)田植後の余り苗を水田に放置しない。
(3)発生が予想される場合は、田植前に箱施用剤を処理する。
(4)密植をしない。
[メモ]
(1)日照不足、多雨で発病が多くなる。
(2)近隣府県においてQoI剤耐性菌の発生が報告されている。QoI剤の使用は1作1回
にとどめる。
QoI剤成分例:アゾキシストロビン(アミスター)、メトミノストロビン(イモチエース、
オリブライト)、オリサストロビン(嵐)等
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)4月に行ったヒメトビウンカの保毒虫率は府内平均で4.4%で平年よりやや多かった。
(2)5月の予察灯へのヒメトビウンカの飛来は平年同様、見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)前年度発生があった地域あるいはその周辺地域では、田植前に箱施用剤を処理する。
[メモ]
(1)ヒメトビウンカは縞葉枯病を媒介する。
(2)近年、西日本で増加傾向にある。
【イネミズゾウムシ】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度の予察ほ場での発生は平年よりやや少なかった。
(2)1~2月の気温は平年よりやや低かった。越冬虫数は平年よりやや少ないと予想
される。
(3)5月の予察灯への飛来は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)常発地では、田植前に箱施用剤を処理する。さらに発生が多いほ場は、移植後の
防除を行う。
(2)手植田では、苗の活着後に粒剤を施用する。
【ニカメイガ】(第1世代幼虫)
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度の予察ほ場での発生は平年同様ほとんど見られなかった。
(2)5月の予察灯への飛来は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)前年発生の認められた水田では、田植前にフィプロニル、スピノサドを含む箱施用
剤を処理する。
(2)箱施用剤を処理しない場合は、7月上中旬に防除を行う。
【ジャンボタニシ】(スクミリンゴガイ)
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度のほ場での発生量は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)水深4cm以下の浅水管理とする。
(2)桃色の卵塊は水中へ掻き落とし、成貝は拾い取り、処分する。
[メモ]
(1)田植後20日以内の苗が食害されるので、この時期の防除を徹底する。
【イネアオムシ】(フタオビコヤガ)
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)昨年度の予察ほ場での発生は平年並からやや多かった。
(2)近年、府内中山間部を中心に局地的に多発している。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
(2)前年発生の認められた水田では、田植前にスピノサドを含む箱施用剤を処理する。
[メモ]
(1)この虫の生育適温は25~27度。
(2)多肥栽培は発生を助長する。
(3)フィプロニルを含む箱施用剤の効果は低い。
B 果樹
1 ぶどう(デラウェア)
【べと病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(2)6月の気温は平年よりやや高く、降水量はやや少ないと予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)5月~10月にかけて、降雨が続き、気温が低めに経過すると発生が多い。
【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(2)6月の降水量はやや少ないと予測されている。
[メモ]
(1)ハウス栽培では換気やマルチを行い、湿度を下げる。
(2)かん水や薬剤散布は午前中に行い、夜間の湿度が上がらないようにする。
【クワゴマダラヒトリ】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は見られなかった。
【フタテンヒメヨコバイ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
2 みかん
【黒点病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度の発生は平年よりやや多かった。
(2)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(3)6月の降水量は、やや少ないと予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)枯枝が多く残っているところでは伝染源となるので、速やかに枯枝を除去する。
[メモ]
(1)この病気は、枯枝上から雨滴によって広がっていく。
【そうか病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
[メモ]
(1)伝染源となる越冬病斑は除去する。
【コナジラミ類】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は一部のほ場で平年よりやや多かった。
【ミカンハダニ】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は一部のほ場で平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)同一系統薬剤の連用を避ける。
3 もも
【せん孔細菌病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)今年は平年より、早くから発生が見られた。
(2)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多発すると防除が困難となるので、早期防除を心掛ける。
(2)強い風雨後の発生に十分注意する。
4 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容] 発生量:多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生はやや多かった。
(2)フェロモントラップによる誘殺虫数は多かった。
(5月30日病害虫発生予察注意報第1号発表)
[防除上考慮すべき事項]
(1)果樹をよく加害するカメムシは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、
クサギカメムシの3種である。
(2)もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを
加害することもある。
[メモ]
(1)園地によって発生量に大きな差がある。
C 野菜
1 なす
【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂に
ならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。
【すすかび病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)病葉は早めに摘除し、ハウス外に持ち出し処分する。
(2)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には、葉の裏にもかかるように
ていねいに薬剤散布を行う。
(3)QoI殺菌剤は、薬剤耐性菌の発生を抑えるため、1作1回程度の使用にとどめる方
が望ましい。
QoI剤成分例:アゾキシストロビン(アミスター)、クレソキシムメチル(ストロビー)、
ピラクロストロビン(混合剤シグナムの一成分)
(4)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)すすかび病は多湿条件下や草勢が低下したときに発生が多くなる。
【うどんこ病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、泉州地域の一部ほ場で、発生は平年よりやや
多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生は平年並からやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実や葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する。
2 トマト
【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)ハウストマトの5月下旬の巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂に
ならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。
【葉かび病・すすかび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)ハウストマトの5月下旬の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)施設栽培においては換気に努め、マルチを行う等、湿度を低く保つ。
(2)下~中位葉に発生しやすいので、発病を認めたら早めに摘葉し、病葉はハウス外に
持ち出し処分する。
(3)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には直ちに防除を行う。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
3 非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等)
【コナガ】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月のフェロモントラップ、予察灯への誘殺虫数は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期に防除を行う。
D 花き
1 きく
【黒斑病・褐斑病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年よりやや少ないと予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)降雨が多いと発生が多い。
【白さび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年と同様ほとんど見られなかった。
E 野菜・花き類
【アブラムシ類】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬の巡回調査では、発生は一部ほ場では平年よりやや少なかったが、全般的
には平年並であった。
(2)黄色水盤での5月の誘殺虫数は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)少発生時の防除を徹底する。
(2)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)アブラムシ類は多種類のウイルス病を媒介する。
【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬の露地水なすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)収穫後の残さは、他作物等への発生源となるので、速やかにほ場から持ち出し
処分する。
(2)きくでは膜割れ(蕾から着色した花弁が見える前)前後の防除を徹底する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどは、作物を加害するだけで
なくウイルス病(TSWV)を媒介する。
【シロイチモジヨトウ】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップでの5月下旬の誘殺虫数は、平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)の防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハモグリバエ類】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬の巡回調査では、一部のほ場で発生が認められたが、全般的にはほとんど
見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害葉、残さはほ場から持ち出し処分する。
(2)しゅんぎくや大阪しろな等の軟弱野菜では、収穫後に地表面をビニール被覆し、
太陽熱により土中の蛹を殺すことで、次作の被害を軽減できる(4~10月の間可能)。
【オオタバコガ】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、平年よりやや早く産卵が認められた。
(2)フェロモントラップでの5月の誘殺虫数は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害のあった果実や新芽は早急に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(2)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合以下)で被覆し、成虫の侵入を防止する。
(3)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【コナジラミ類】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなす巡回調査ではハウス、露地ともに発生は平年よりやや少なかった。
トマトハウスの黄色粘着トラップの誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除に努める。
(2)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ほ場周辺の除草にも努める。
[メモ]
(1)タバココナジラミは、作物を加害するだけでなくウイルス病(TYLCV)を媒介する。
●大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・ホームページ
(平成23年4月1日より大阪府病害虫防除所から組織名変更)
http://www.jppn.ne.jp/osaka/
防除指針を掲載しています。
●病害虫発生情報メールサービス
申込先 大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・メールサービス担当
TEL 072-957-0520
http://www.jppn.ne.jp/osaka/mailservice/mailservicemousikomi.html
<情報料無料、受信に要する通信費は自己負担です>
年間約20件の病害虫情報を電子メールで送付します。
●おおさかアグリメール
申込先 大阪府立環境農林水産総合研究所 経営企画室推進グループ
おおさかアグリメール受付担当
TEL 072-979-7070
http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/nourin/agrimail/
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(受信に要する通信費は自己負担です)