水稲の「いもち病」に注意しましょう(中山間地域等)
(平成27年8月20日)


 今年の8月の巡回調査では、北部の中山間地域を中心に葉いもちの発生が平年よりやや多く認められ、止め葉に発生している水田も一部で見られました。
 全般的には発生が少ない場合でも、止め葉等上位の葉にいもち病が発生している場合は、穂いもちに感染する危険性が十分にあります。水田を良く見回るなどして、発生している場合は早急に防除を行いましょう。
  

         表1 発生状況                             

         
調査地点 発病ほ場数/調査ほ場数 発病株率% 備考(調査日)
 茨木市下音羽 3/ 3 48.0 8月14日
能勢町倉垣 3/ 3 32.0 8月14日
八尾市水越 1/ 3 17.3 8月 4日
河南町平石 4/ 4 35.0 8月19日
富田林市西板持町 3/ 3 5.3 8月 4日
和泉市国分町 0/ 3 0.0 8月11日
泉佐野市上之郷 1/ 3 1.3 8月20日
貝塚市蕎原 1/ 4 1.0 8月20日
岬町谷川 0/ 3 0.0 8月18日
       計16/29(発病ほ場率55.2%)  

         発病ほ場率及び発病株率は葉いもちに関する数値
         発病株率については、1ほ場あたり25株調査

 <いもち病の発生しやすい条件>
 野菜栽培跡地等、窒素肥料が効きすぎた、葉色の濃い水田。
 周囲に山がある、川沿いにあるなど、朝露が乾きにくい水田。
 昨年、いもち病の発生が多かった水田。
 上記のような条件で、田植時の箱施用剤にいもち病の薬剤を使用しなかった水田。


▲いもち病の病斑

 <いもち病の生態等>
 いもち病菌は25〜28度ぐらいの湿気の多いときに増殖しやすい。
 いもち病菌が侵入するには、葉上等に露などの水滴が必要である。
 胞子は一般的に夜中に飛散するので曇雨天でイネの露が乾きにくい状態が続くと多くの胞子が侵入する。
 日照の多いときはイネ体内の可溶性窒素が少なくなり、抵抗性が強まるが、葉色が濃く可溶性窒素が多い場合には抵抗性が弱まる。      
 いもち病菌は種籾や被害わらなどで越冬する。いもち病に感染した種籾を使用すると来年のいもち病の発生源となる。

 
▲穂首いもち

<防除対策>
 穂いもちの発生は上位3葉の葉いもち病斑と相関が高いので、葉いもち(特に進行性病斑)が上位葉に発生している場合は、直ちに防除を実施する。
 枝梗の部分に発生するいもち病は、遅くまで発生することがあるので、発生が多い場合は穂ぞろい期〜乳熟期にも防除する。
 薬剤により使用時期が違うので、ラベルをよく読んで適期に散布する。
 薬剤耐性菌の出現を防ぐため、同一グループの薬剤を連用しない。
 薬剤を散布する時は、周囲に飛散しないよう注意する。
 以下の防除薬剤を参考とする。
 ・ブラシンフロアブル(いもち病 1,000倍 7日前まで/2回以内)
 ・アチーブフロアブル(いもち病 2,000倍 14日前まで/3回以内)

<防除上の注意事項>
近隣府県においてQoI剤耐性いもち病菌が確認されている。QoI剤耐性菌には、表2に示した薬剤の効果は著しく劣る恐れがあり、他系統の薬剤による防除が必要である。いもち病の発生状況に注意し、既にQoI剤を使用し、その効果が低いと思われる場合は、必要に応じて他の系統の薬剤で追加防除を行う。

           表2 いもち病対象のQoI剤(ストロビルリン系剤)の例

     成分名       商品名の一例
 アゾキシストロビン   アミスター
 オリサストロビン  嵐
 メトミノストロビン  イモチエース、オリブライト 


◎防除薬剤については、
 ●Web版大阪府農作物病害虫防除指針
  (http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
 ●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
  (http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
  で確認してください。

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