今年の4月後半の巡回調査では、もものせん孔細菌病の発生が例年より早く、ほ場全般で見られ、一部では多発傾向にあります。今後の天候により、発生がさらに増加する可能性があります。
ほ場をよく見回り、発生が認められる園では防除を行いましょう。
<発生状況>
表1 せん孔細菌病の発生状況(4月22日調査)
発病葉率 | 発病ほ場数/調査ほ場数 | |
河内長野市 小山田町 | 56.7%(2.2%) | 3/3 |
岸和田市 包近町 | 11.3%(−) | 3/3 |
( )内は平成17〜26年の平均値
▲4月22日の発生状況 | ▲もも果実の被害 |
<生態と防除対策>
(1)病原は細菌(バクテリア)でXanthomonas campestris pv. pruni (Smith)Dyeを始めとした3種の病原菌がある。
(2)発病葉や発病枝は伝染源となるので、樹体に影響しない範囲で切除し、ほ場外に持ち出し処分する。
(3)病原菌は葉、枝、果実の開口部(気孔、水孔等)や傷口から侵入する。風当たりの強い園では防風ネット等設置する。
(4)今後、特に5月以降の降雨により、発病枝等から病原細菌が流れ出て、雨滴に混じって分散し、果実に発病する危険性が高まるため、降雨前の予防散布が重要である。
(5)同一薬剤の連用は耐性菌の発現を助長する恐れがあるため、異なる成分のローテーション散布を行う。
(6)薬剤によっては、収穫の60日前までしか使用できないものもある。薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数を十分確認する。
(7)樹高の高い樹に散布する場合は、周囲に薬液が飛散しやすいので、特に注意する。
表2 ももの防除薬剤の例
薬剤名(成分名) | 希釈倍数 | 使用時期 | 使用回数 |
マイコシールド (オキシテトラサイクリン) |
1,500〜3,000倍 | 収穫21日前まで | 5回以内 |
スターナ水和剤 (オキソリニック酸) |
1,000倍 | 収穫7日前まで | 3回以内 |
バリダシン液剤5 (バリダマイシン) |
500倍 | 収穫7日前まで | 4回以内 |
チオノックフロアブル (チウラム) |
500倍 | 収穫7日前まで | 5回以内 |
<防除上の注意事項>
(1)樹勢の衰弱、強風及び暴風は発病を助長する。
(2)品種によって発病に差がある。白鳳、砂子早生に多く、清水白桃は少ない。
(3)例年、発生が多い園では満開から30日後頃までに袋かけを行うと、果実の感染予防に有効である。
(4)多発する園では秋の防除が重要である。
(5)すももにも発病する(すもも黒斑病)。
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府農作物病害虫防除指針
(http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
で確認してください。