病害虫防除グループの4月の巡回調査では、トマト、なす、ぶどうの灰色かび病が平年と比べ、多く発生しています。今後1か月間は、平年に比べ晴れの日が多いと予報(※)されていますが、曇天や降雨が続いた場合は、発生が増加する恐れがあります。
ほ場をよく見回り、発生に気をつけ、発病が認められた園では早めに防除を行いましょう。
※大阪管区気象台による近畿地方1か月予報(平成27年4月23日発表)
<発生状況>
表1 灰色かび病の発生状況(4月巡回調査結果)
施設ぶどう(調査日:4月17日)
調査地点 | 発病果房率 |
柏原市安堂 | 0.0% |
柏原市青谷 | 6.0% |
羽曳野市駒ヶ谷 | 5.0% |
平均値 | 3.7%(0.1%) |
調査地点 | 発病株率 |
富田林市西板持町T | 24.0% |
富田林市西板持町U | 4.0% |
貝塚市海塚 | 4.0% |
泉佐野市日根野 | 0.0% |
平均値 | 8.0%(0.9%) |
施設トマト(調査日:4月23日、9日)
調査地点 | 発病株率 | |
4月23日 | 4月9日 | |
泉佐野市上之郷 | 4.0% | 4.0% |
泉佐野市日根野 | 0.0% | 56.0% |
平均値 | 2.0%(2.6%) | 30.0%(4.6%) |
※( )内の数値は過去10年の平均値
▲ぶどうの被害 | ▲なすの被害 | ▲トマトの被害 |
<生態と防除対策>
(1)灰色かび病の病原菌(Botrytis cinerea Persoon)は糸状菌(カビ)の一種でトマト、なす、きゅうり、レタス、ぶどうなど多くの野菜類、花き類、果樹類に感染し、発病する。20℃くらいで多湿時に発生しやすい。
(2)なすやトマトでは、果実や花弁、ガク、葉などに多く発生する他、茎に発生することもある。ぶどうでは開花前後の花穂と成熟期の果実に主に発生する。
(3)病原菌は生きた植物を侵すだけでなく、咲き終わった花がらや、葉の傷んだ部分等でよく繁殖し、次の伝染源となる。
(4)果実に付着した花がらは、早めに取り除く。
(5)ハウス栽培では雨水の流入を防ぎ、過湿にならないよう、換気に努める。朝夕の急激な冷え込みは発生を助長する。
(6)薬剤散布は日中を避け、散布後は十分に薬液が乾く時間を考慮して換気を行い、ハウス内の湿度が上がらないようにする。
(7)同一薬剤の連用は耐性菌の発現を助長する恐れがあるため、異なる成分のローテーション散布を行う。
(8)薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数を十分確認する。
(9)防除薬剤については、Web版大阪府農作物病害虫防除指針(http://www.jppn.ne.jp/osaka/)を参照する。
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府農作物病害虫防除指針
(http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
で確認してください。