病害虫発生予察注意報第1号
(平成27年7月15日)


 病害虫名  べと病
        
1 発生作物     ぶどう

2 発生地域    大阪府全域

3 発生の状況
 7月10日のぶどう巡回調査(中部・南河内地域)では、べと病の発生が多く見られ、露地栽培デラウエアでは発病葉率が平均25.3%(過去10年間平均6.3% 表1参照)で、多発ほ場も認められた。
 着色改善等のためビニル被覆を外しているデラウエアの施設栽培ほ場や大粒系品種(巨峰、マスカット・ベーリーA)の露地栽培ほ場でも、発生が確認されている。
 大阪管区気象台の近畿地方1か月予報(7月9日発表)では、向こう1ヶ月の降水量は平年より多い確立が60%、日照時間は平年並または少ない確率ともに40%とべと病が発生しやすい条件と見込まれていることから、今後多発する恐れがある。

表1 べと病の発生状況(露地栽培 デラウエア)

調査地点 発病葉率%
柏原市 青谷※1
太子町 太子
羽曳野市 尺度

62 
14 
平均  25.3
平年値(過去10年平均)   6.3

※1 柏原市安堂の露地栽培デラウエアでは発生を確認している。

4 べと病の生態等
(1)べと病の病原菌は被害葉内で越冬する。5〜7月の雨水や水滴によって葉、幼果の気孔から侵入、感染し、数日から2週間の潜伏期間を経て発病する。
(2)べと病の発生適温は20〜22℃、適度に雨があり、気温が低めに経過すると発生が多くなる。 
(3)ぶどうの組織が柔らかい5〜6月に発生しやすく、また窒素肥料の多い園、若木などで、遅伸びした場合に被害が多い。 
(4)収穫終了後のほ場でも発生する。
(5)品種により、耐病性が異なる。米国系のデラウエア、キャンベル・アーリー、キングデラは耐病性が強く、欧州系のネオマスカット、甲斐路などは弱い。巨峰、ピオーネ、甲州、マスカット・ベーリーAなどはその中間である。
(6)べと病がまん延し、早期落葉すると樹勢が著しく低下し、翌年以降の結実にも影響する。

5 防除対策
(1)病害が発生しやすい時期にボルドー液(4−4式)を予防的に棚上散布する(果房の汚れに注意)。
(2)発生が多い場合は、収穫終了後にリドミルMZ水和剤を散布する。
(3)QoI剤、CAA系薬剤(薬剤名は表2参照)は耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。これらの剤を使用したにもかかわらず発生が多いほ場では、耐性菌の発生が疑われるので、他系統の薬剤を使用する。
(4)発病葉及び果実は二次伝染源となるので、園外に持ち出して処分する。

表2 散布薬剤の例

系統 薬 剤 名 希 釈 倍 数 使用時期
/使用回数
 
無機銅剤 ICボルドー48Q 25〜50倍 −/− 果房の汚れに注意
ムッシュボルドーDF 500倍 −/−
フェニルアミト゛系+
シ゛チオカーハ゛メート系
リドミルゴールドMZ 1,000倍 45日/2回 果房の汚れに注意
QoI剤 ストロビードライフロアブル 2,000〜3,000倍 14日/3回  
QoI剤+他 ホライズンドライフロアブル 2,500〜5,000倍 21日/3回  
QiI剤 ライメイフロアブル 3,000〜4,000倍 14日/3回  
ランマンフロアブル 1,000〜2,000倍 14日/3回  
CAA系薬剤 レーバスフロアブル 2,000〜3,000倍 7日/3回  
CAA系薬剤+他 ベトファイター顆粒水和剤 2,000〜3,000倍 30日/3回  

 ※ホライズンドライフロアブル及びベトファイター顆粒水和剤は同一成分(シモキサニル)を含むので合わせて3回まで
   その他の剤も同一成分を含む場合があるので、成分毎の総使用回数に注意する。                    

▲べと病の病斑(葉表) ▲べと病の病斑(葉裏)


◎防除薬剤については、
 ●Web版大阪府病害虫防除指針
  (http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
 ●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
  (http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
  で確認してください。
                                                              

発生予察情報に戻る

トップに戻る