病害虫発生・防除メールサービス(11月)

(平成27年11月17日発信)


 大阪府内の11月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 昼夜の気温差が大きいので、施設栽培では結露による病害の発生に注意しましょう。
 落葉果樹の剪定時期です。病害虫対策も同時に行いましょう。
 農薬使用の際は、病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。(病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/)
 また、最新の農薬の登録内容は農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm で確認できます。
 これまでもお知らせしてきたところですが、新たな農薬の評価手法(短期暴露評価)が導入されることに伴い、使用制限となる登録変更(変更申請中のものを含む)が行われている農薬があり、注意が必要です。詳しくは、販売店で提供されるチラシ等や病害虫防除グループホームページ「短期暴露評価により変更される農薬の使用方法の周知等について」 http://www.jppn.ne.jp/osaka/H27nd/ARfDtuuti/ARfDH27_top.html で確認してください。

1 水稲
 今年発生した病害虫を次年度に持ち越さないように注意する。
 収穫後に耕うんすることで、翌年の病害虫や鳥獣害の被害を軽減できる。
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)(縞葉枯病の発生は平年並であった。)
◇ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病である。
◇ヒメトビウンカの幼虫が雑草中で越冬するので、冬から春に雑草を刈り取って密度を下げる。
◇発病したひこばえを介して、保毒虫が増える可能性があるため、早めに刈り株をすき込み、ひこばえを処分する。
【いもち病・もみ枯細菌病・ばか苗病・内えい褐変病・イネシンガレセンチュウ】
◇上記の病害虫は、種子、もみ殻、被害わらを通じて伝染する恐れがある。
◇自家採種する場合は、上記の病害虫が発生した水田のもみは種もみとして使用しない。
◇上記の病害虫が発生した水田で、もみ殻や生わらをすき込む場合は、早め(年内)にすき込みを行い、完全に腐熟させる。
◇特にもみ枯細菌病が発生した水田では、稲わらやもみ殻は水田に直接還元せず、堆肥化などにより病原菌を減らしてから利用する。
【ミナミアオカメムシ】
◇斑点米カメムシ類の一種である。
◇収穫後のひこばえの稲穂が餌となって越冬虫が増える可能性があるため、早めに刈り株をすき込む。
【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されると越冬できず死滅する。
◇刈り取り後、耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、移動の際はしっかり土を落とす。
◇水田や水路に水があると越冬貝が増えるので、水を溜めないようにする。
【鳥獣害対策】
◇収穫後のひこばえが、イノシシやシカの餌となることがある。
◇ひこばえを放置すると、来年以降の鳥獣害を増やすことになる。
◇刈り取り後、早めに刈り株をすき込むなどの対策を行う。

2 温州みかん
【貯蔵病害】
◇収穫時、果実に傷をつけないように注意する。また、降雨直後など果実が濡れている場合は収穫しない。
◇貯蔵中も果実を点検し、腐敗果は見つけ次第取り除き、伝染を防ぐ。
◇貯蔵みかんには、収穫前に下記の薬剤を散布する。
 ・トップジンM水和剤(青かび病・緑かび病・軸腐病)
 ・ベンレート水和剤(青かび病・緑かび病・軸腐病・炭そ病・黒斑病)
 ・ベフラン液剤25(青かび病・緑かび病・白かび病・黒腐病)
◇ベフラン液剤25と石灰硫黄合剤との混用は、沈殿を生じるのでベフラン液剤25の希釈液を調製した後、その中にかき混ぜながら石灰硫黄合剤を入れる。
◇みかん以外のかんきつでは使用時期が異なるので、ドリフト等に注意する。

3 ぶどう
【休眠期防除】
◇黒とう病や晩腐病が発生した園では、粗皮削りのあと、ベフラン液剤25等を散布する。
◇ハダニ類・カイガラムシ類対策に石灰硫黄合剤等を散布する。 
◇石灰硫黄合剤は、メーカーによって登録内容が異なるので注意する。
◇ベフラン液剤25と石灰硫黄合剤との混用は、沈殿を生じるのでベフラン液剤25の希釈液を調製した後、その中にかき混ぜながら石灰硫黄合剤を入れる。
【黒とう病】
◇被害を受けた枝は剪定時に取り除く。
◇巻きひげなどでも病原菌が越冬することがあるので、できる限り取り除く。
【コナカイガラムシ類】
◇粗皮削りを行うことで越冬虫を減らすことができる。
【ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバ】
◇被害枝や剪定枝を細かく切断するか、園外に持ち出して処分する。
◇剪定前に枝を引っ張って簡単に折れた場合は、中に幼虫が入っていることが多い。

4 いちじく
【霜対策】
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。
◇一文字整枝の場合、主枝が霜害を受けやすいので、必ず霜よけ対策を施す。
◇マルチや敷きわらを残したままだと、霜害が出やすいので、片付けておく。
◇わらなどで霜よけをするときは、冬早めに設置するより、春遅くまで設置する方が効果が高い。

5 果樹類全般
【間伐・整枝・剪定】
◇落葉果樹では、落葉がはじまると剪定作業の時期になる。
◇密植園や過繁茂状態、樹高が高すぎる樹では、日照・通風条件が悪く、病害虫の発生が増え、薬剤散布も行いにくい。
◇適切な樹間距離になるよう樹を間伐する。
◇防除しやすい樹高になるよう剪定する。
◇枯死したり衰弱した枝は、病害虫の発生源となるので、取り除く。
◇大きな切り口には、トップジンMペーストなどをぬり保護する。
【鳥獣害対策】
◇放任樹や、収穫残りの果実などが、鳥やサル、アライグマなどの餌になる。
◇農地周辺から餌になるものを取り除いて、農地に接近する習性をつけさせない。

6 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
◇QoI殺菌剤(シグナムの1成分)、SDHI殺菌剤(アフェット、シグナムの1成分)は、耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。(1作1回程度の使用にとどめる。)
【葉かび病】(発生は平年並であった)
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生が予測される場合は、ベルクート水和剤等を散布する。
◇発生した場合は、ポリオキシンAL乳剤(トマトのみ)、トリフミン乳剤(トマトのみ)、トリフミン水和剤、アフェットフロアブル等を散布する。
【すすかび病】
◇多湿条件で発生しやすい。
◇発生が予測される場合は、ベルクートフロアブル等を散布する。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤、シグナムWDG等を散布する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】(タバココナジラミ)(発生は平年並であった。)
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するタバココナジラミの防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種から発芽したり、残さから再生したトマトがあれば、処分する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置し、日頃から破れ等がないか点検する。
◇感染株は、直ちにビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
◇コナジラミ類の発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

7 キャベツ等あぶらな科野菜および葉ぼたん
◇作物によって農薬の登録内容が異なるので、農薬の使用時には注意する。
【黒腐病】
◇長雨や強い風雨のあと発生することが多い。
◇害虫の食害による傷口からも病原菌が侵入するので、害虫防除を徹底する。
◇発生が予測される場合は、キャベツではベジキーパー水和剤やZボルドー等を散布する。
(Zボルドーは野菜類に適用あり)
【白さび病】
◇平均気温が15度前後で、降雨が多いと発生しやすい。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇非結球あぶらな科葉菜類では、発生が見込まれる時期にライメイフロアブル等を散布する。
【菌核病】
◇被害株は早めに抜き取って処分する。
◇菌核が土中に残って伝染源となるので、発病した株は放置せず、ほ場外へ持ち出して処分する。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ロブラール水和剤、セイビアーフロアブル20等を散布する。
【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。本病害は、あぶらな科野菜にのみ発生する。
◇根こぶ病が発生し収穫が見込めない畑では、根こぶが崩壊する前に作物を根こぶごとほ場から持ち出して処分する。
【コナガ】(近年発生は少なかったが、今年の発生はやや多かった。)
◇発生を認めたら、コテツフロアブル(キャベツ、はくさい、かぶ)、プリンスフロアブル(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)、トルネードフロアブル(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等で防除する。
◇薬剤抵抗性を生じやすいので同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
◇幼虫による被害が多いのは秋と春である。

8 施設野菜全般
【過湿注意】
◇施設内の湿度が高いと、灰色かび病や菌核病等の病害が発生しやすい。
◇適切な換気を行い、湿度を調整する。

 次の情報は、12月15日頃にお知らせします。

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