病害虫発生・防除メールサービス(8月)

(平成27年8月14日発信)


 大阪府内の8月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 暑い日が続いています。作業時に熱中症にならないよう十分ご注意下さい。
 高温時の薬剤散布では薬害が発生しやすいので、朝・夕の涼しい時間帯に行いましょう。
 農薬使用の際は、病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。(病害虫防除グループホームページhttp://www.jppn.ne.jp/osaka/)
 これまでもお知らせしてきたところですが、新たな農薬の評価手法(短期暴露評価※)が導入されることに伴い、次の農薬は、使用制限となる登録変更(変更申請中のものを含む)が行われています。
 これらを成分に含む農薬は変更後の内容に従って使用してください。変更内容については、販売店で提供されるチラシ等や病害虫防除グループホームページ「短期暴露評価により変更される農薬の使用方法の周知等について」
http://www.jppn.ne.jp/osaka/H27nd/ARfDtuuti/ARfDH27_top.html で確認してください。
◇短期暴露評価が導入されることにより登録内容が変更済み、もしくは変更予定の農薬
 変更登録済みのもの:アセフェート(商品名オルトラン、ジェイエース等)、ジメトエート(商品名ジメトエート等)、フルバリネート(商品名マブリック等)、フェナリモル(商品名ルビゲン等)、NAC(商品名デナポン、ミクロデナポン)、カルボスルファン(商品名アドバンテージ、ガゼット等)、ベンフラカルブ(商品名オンコル等) 
 変更登録申請中のもの:シハロトリン(商品名サイハロン等)、メタフルミゾン(商品名アクセル)、ピリダベン(商品名サンマイト)
※短期暴露評価:農薬の急性毒性の指標として、24時間又はそれより短い時間に経口摂取した場合に、健康に悪影響を示さないと推定される1日当たりの摂取量(=急性参照用量(ARfD))を用いた評価

1 水稲
【いもち病】(巡回では中山間部と平坦部の一部で発生が見られた。発生量は中山間部でやや多く、一部のほ場では止め葉にも発生が見られた。平坦部は平年並であった。)
◇低温や日照不足で発生しやすい。中山間部で発生しやすいが、近年平坦部での発生も見られる。
◇密植や窒素肥料が多い水田では、発生しやすい。
◇葉いもちの発生が認められるほ場では出穂前に穂いもちの予防散布を行う。
◇発生が見られたら、ブラシンフロアブル等を散布する。
◇近隣府県においてQoI剤耐性菌の発生が報告されている。QoI剤の使用は1作1回に留める。
 QoI剤の例 アミスター、イモチエース、オリブライト、嵐
【紋枯病】(巡回では発生は平年同様見られなかった。)
◇高温、多湿で発生しやすい。
◇発生初期に、バリダシン液剤5等で防除を徹底する(収穫前日数に留意)。
【もみ枯細菌病】
◇出穂時に高温多雨になると発生しやすい。
◇出穂直前〜穂ぞろい期にブラシンフロアブル等を散布する。
◇前年に発生した水田では、予防散布する。
【内えい褐変病】(昨年、発生はやや多かった。)
◇出穂時に高温多雨になると発生しやすい。特に台風に注意する。
◇前年に発生した水田では、穂ばらみ期にブラシンフロアブル等を散布する。
◇出穂前と出穂後の1回ずつ薬剤散布する方が効果が高い。
※穂いもち、もみ枯細菌病、内えい褐変病の同時防除には出穂直前にブラシンフロアブル等を散布する。
【ウンカ類】(ヒメトビウンカ、セジロウンカの発生は巡回ではやや少なかった。)
◇発生を確認した場合はスタークル粒剤、アルバリン粒剤、キラップ粒剤等で防除する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため、本田での使用は合計3回まで。
【斑点米カメムシ類】(ほ場での発生は平年並。予察灯ではイネホソミドリカスミカメ、
          アカスジカスミカメ等の飛来が見られる。飛来量は平年並。)
◇水田内に生えたヒエなどのイネ科雑草を抜き取る。
◇出穂前後の畦畔の除草はカメムシ類を水田に追い込むため、実施しない。
◇薬剤防除は、出穂10日後頃にスタークル粒剤、アルバリン粒剤、キラップ粒剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンを含む剤は、同一成分を含むため、本田での散布は合計3回まで。
【コブノメイガ】(一部のほ場で見られたが、発生はやや少なかった。)
◇発生を確認した場合は、トレボン乳剤、パダンSG水溶剤等で防除する。
◇羽化後2週間程度すると被害が目立つようになる。
【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
◇次年度の発生を減らすため、ピンク色の卵塊を発見した場合は、水中に掻き落とす。
(卵は水中では生存できない)

2 ぶどう
◇農薬の使用にあたっては、SDHI剤、QoI剤、CAA系薬剤は耐性菌が発生しやすいため、連用は避ける。
・SDHI剤の例 アフェット
・QoI剤の例  ストロビー、ファンタジスタ、ホライズン(成分の一つファモキサドンが該当)
・CAA系薬剤  レーバス、ベトファイター(成分の一つベンチアバリカルブイソプロピルが該当)
【べと病】(巡回では発生が多かった。7月15日病害虫発生予察注意報第1号発表)
◇秋口になって気温が下がり、雨が多いと再び発生する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっかり防除する。
◇ICボルドー66DやICボルドー48Q等を予防的に散布する。
◇収穫前日数に注意し、収穫期間近の場合は、収穫終了後に散布する。
◇発生が多い場合は、収穫終了後にリドミルゴールドMZを散布する。
【褐斑病】 (巡回では発生はやや多かった。)
◇秋期落葉期まで発生し、落葉を早めるので注意する。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響する。
◇発生を確認した場合は、収穫終了後にジマンダイセン水和剤等でしっかり防除する。
【晩腐病】(巡回では発生はやや多かった。)
◇収穫期が近づき、糖度が高くなった果実で発生しやすい。
◇気温20〜25度で、雨が多いと発生しやすい。
◇鳥獣害や裂果等で傷ついた果房から発生することが多い。
◇被害果房は園外に持ち出して処分する。
【ハダニ類】(巡回では施設栽培での発生がやや多かった。)
◇施設栽培で発生しやすい。
◇多発し早期に落葉すると、着色障害など果実品質に影響する。また樹勢が低下し、次年度にも影響する。
◇除草を行うと、雑草にいたハダニ類がぶどうに移動して、急に被害が増えることがある。
◇収穫が終わった園も定期的に見回って、発生を確認したら防除する。
◇発生を確認した場合は、バロックフロアブル(7日前まで)、コロマイト水和剤(7日前まで)等を散布する。収穫前日数に注意すること。
【ブドウトラカミキリ】
◇成虫発生時期は8月中旬〜10月上旬である。
◇収穫終了後、モスピラン顆粒水溶剤等を散布して防除する。
【トビイロトラガ】
◇収穫が終わった園も定期的に巡回し、発生が多い場合はデルフィン顆粒水和剤(果樹類・ケムシ類)等で防除する。

3 温州みかん
【そうか病】(巡回では発生はやや少なかった。)
◇雨が続くと発生しやすい。
◇発生を確認した場合は、トップジンM水和剤等で防除する。
【黒点病】(巡回では発生は平年並であった。)
◇雨によって広がるので、注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、ジマンダイセン水和剤(30日前まで)等で防除する。
(注意)ジマンダイセン水和剤は、かんきつ(みかんを除く)では収穫90日前まで
【ミカンハダニ】(巡回では発生は平年並であった。)
◇例年、梅雨明け後に多発する。
◇発生を確認した場合は、コロマイト水和剤、ダニエモンフロアブル、マイトコーネフロアブル等を散布する。
◇同一系統薬剤を連用すると抵抗性が発達しやすい。
◇ダニトロンフロアブル、ピラニカ水和剤、サンマイト水和剤、マイトクリーンは同一系統薬剤で交差抵抗性があるため、これらの薬剤の連用を避ける。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳して確認する。
◇薬害発生の恐れがあるので、高温時の散布は避ける。
※コロマイト水和剤、ダニエモンフロアブル、マイトコーネフロアブルはミカンサビダニにも登録がある。

4 いちじく
【疫病】
◇雨が続くと発生しやすい。
◇雨水の跳ね上がりなどで伝染するので、敷きわらやマルチを行う。
◇腐敗果は早めに園外に持ち出して、処分する。
◇ランマンフロアブル等を散布して防除する。
【イチジクモンサビダニ】(巡回ではイチジクモンサビダニによる葉の斑紋症状がやや多く見られた。)
◇微小なダニのため、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇葉に斑紋症状などの被害が見られたら、ダニトロンフロアブル、ピラニカ水和剤を散布する。
【イチジクヒトリモドキ】
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、アディオン乳剤、デルフィン顆粒水和剤(果樹類・ケムシ類)等を散布する。

5 なす(露地栽培)
◇農薬の使用にあたっては、QoI剤、SDHI剤は耐性菌が発生しやすいため、連用は避け、1作1回程度の使用に留める。
・QoI剤の例 アミスター、ストロビー、シグナム(成分の一つピラクロストロビンが該当)
・SDHI剤の例 アフェット、カンタス、シグナム(成分の一つボスカリドが該当)
【うどんこ病】(巡回では発生はやや少なかった。)
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、トリフミン乳剤、モレスタン水和剤等を丁寧に散布する。
(注)モレスタン水和剤は、高温時には薬害が発生しやすいので注意する。
【褐紋病】(巡回では水なすほ場で発生はやや多かった。)
◇発病した葉や果実、枝は直ちにほ場外へ持ち出して処分する。
◇種子伝染するので、自家採種を行う場合は健全果から採種する。
【アザミウマ類】(巡回ではミナミキイロアザミウマの発生はやや少なかった。)
◇巡回調査ではミナミキイロアザミウマの他、ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマが見られる。
◇発生が見られたら、アファーム乳剤、モベントフロアブル、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマのみ)等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、使用履歴を確認し、使用回数制限に気をつける。
【ハダニ類】
◇発生初期の防除効果が高いので、発見後早めにコロマイト乳剤やスターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳して確認する。
【チャノホコリダニ】
◇微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇がく片が褐変するなどの被害が発生したら、コロマイト乳剤、スターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳して確認する。

6 トマト・ミニトマト(施設栽培)
◇トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので、農薬の使用時には注意する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇感染してからは対策がないので、ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種から発芽したり、残さから再生したトマトがあれば、処分する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置し、日頃から破れ等がないか点検する。
◇感染株は、直ちにビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてから処分する。
【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入を防ぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤(トマト、ミニトマト)、コロマイト乳剤(トマト、ミニトマト)等を散布する。

7 キャベツ等あぶらな科野菜
(作物によって農薬の登録内容が異なるので、注意する。)
【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。
◇定植時に温度が高いと発生しやすいので、早植えを避ける。
◇土壌pHが低いと発生しやすい。石灰質資材等を施用して、pH6.5〜7に調整する。
◇発生が予測される畑では、キャベツ、はくさい、ブロッコリーでは、定植前に、ネビジン粉剤やオラクル粉剤を土壌混和する。
【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
◇育苗時期から発生が見られるので、苗床も含め、発生に注意し、初期の防除を徹底する。
◇被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
◇セル成型育苗トレイにプレバソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等をかん注するか、プリンス粒剤(キャベツ、ブロッコリー)等を施用する。
◇発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。
【ハスモンヨトウ】
◇200個程度の卵塊で産卵され、若齢幼虫は集団で食害する。
◇老齢幼虫になると薬剤は効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇発生を認めたら、アファーム乳剤(キャベツ、なばな類等)やフェニックス顆粒水和剤(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等で防除する。

8 きゅうり
◇農薬の使用にあたっては、QoI剤、SDHI剤は耐性菌が発生しやすいため、連用は避け、1作1回程度の使用に留める。
・QoI剤の例 アミスター、ストロビー、フリント
・SDHI剤の例 アフェット
【うどんこ病】
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉を行い、過繁茂にならないようにする。
◇発生が見込まれる時期にベルクート水和剤、トリフミン乳剤等を予防散布する。
◇QoI剤は耐性菌が発生しやすいため、1作1回の使用にとどめる。
【炭そ病】
◇過湿条件で発生しやすいので、ハウス内の過湿を避ける。
◇窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。
【ウイルス病】
◇キュウリモザイクウイルス(CMV)、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)の重複感染により急性萎ちょう症を起こすことがある。
◇ウイルス病に感染していない無病苗を確保する。
◇発病した株は、蔓延防止のため、抜き取りまたは株元から切り取って、ほ場外に持ち出し処分する。
◇CMV、ZYMVを媒介するアブラムシ類の防除を徹底する。
【アブラムシ類】
◇施設栽培では、開口部を防虫ネットで被覆し、成虫の飛来を防止する。
◇ほ場周辺の除草に努める。
◇発生を認めたらモスピラン顆粒水溶剤、トレボン乳剤で防除する。
【ワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ)】
◇ハウス抑制栽培の生育初期に発生が認められることが多い。
◇ハウスの開口部を寒冷紗(目合2mm)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
◇生長点および脇芽の先端を食害するので、幼虫を捕殺する。
◇発生初期にゼンターリ顆粒水和剤、アファーム乳剤等を散布して防除する。

9 きく
【黒斑病、褐斑病】(巡回では発生は平年並であった。)
◇品種により発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ダコニール1000等を散布して予防する。
【白さび病】(巡回では発生はやや多かった。)
◇品種により発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ストロビーフロアブル、トリフミン乳剤等を散布し、予防に努める。
◇ストロビーフロアブルは他剤との混用は薬害を生じる場合があるので注意する。
【アザミウマ類】
◇吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。
◇発生を確認したらディアナSC、ハチハチ乳剤等を散布する。
【アブラムシ類】(巡回では発生は平年並であった。)
◇吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
◇発生を確認したらスタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤、チェス顆粒水和剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計5回まで。

10 野菜類・花き類
【オオタバコガ】(フェロモントラップの誘殺虫数はやや多かった。なすでの産卵数が平年よりやや多かった。7月31日防除情報発表)
◇1頭の幼虫が数個の果実や蕾、新芽を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、果実内に幼虫が入っている可能性が高いので、被害果はほ場外へ持ち出し処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、フェニックス顆粒水和剤(なす、トマト、花き類)、プレオフロアブル(なす、トマト、花き類)等で防除する。
◇園全体を防除網(目合4mm)を設置して侵入を防ぐ。

 次の情報は、9月16日頃にお知らせします。

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