病害虫発生予察特殊報第1号
(平成27年7月17日)


農推第1839号
平成27年7月17日

関係各位

病害虫発生予察情報について

標記について下記のとおり発表したので送付します。


病害虫発生予察特殊報第1号

 病害虫名  キク茎えそ病
         Chrysanthemum stem necrosis virus (CSNV)

        
1 発生作物     きく

2 発生地域    岸和田市

3 発見の経緯
(1) 平成27年6月に、岸和田市の露地栽培のきくにおいて、葉の退緑及びえそ症状と茎のえそ症状が確認された。   
(2) TSWVによるキクえそ病及び、CSNVによるキク茎えそ病が疑われたため、地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所において遺伝子診断法(RT−PCR法)及び塩基配列の解析を実施した。
  その結果、キク茎えそウイルス(Chrysanthemum stem necrosis virus:CSNV)によるキク茎えそ病であることが確認された。
(3) 本病は、国内では平成18年に広島県で初めて確認され、平成27年7月現在、27県(本府を含む)で発生が確認されている。なお、大阪府で確認されたのは、今回が初めてである。

4 病原ウイルスの特徴
(1) 本ウイルスはトマト黄化えそウイルス(TSWV)と同じトスポウイルス属に分類される。
(2) 感染植物
  きく、トマト、ピーマン、アスター、トルコギキョウ等への感染が報告されている。
(3) 伝染方法
  感染した株を親株にすると、挿し穂による栄養繁殖で、伝染する。
  主にミカンキイロアザミウマによって媒介される。幼虫が、罹病植物を吸汁することでウイルスを獲得し、永続的に伝搬する。
  なお、ウイルスを獲得した雌成虫から次世代への伝搬(経卵伝染)はしない。
  また、種子伝染や土壌伝染、管理作業時におけるハサミや手指等に付着した汁液を介しての伝染はしないと考えられている。

5 病徴(被害)
(1) 病徴
  きくでは茎に激しいえそ条斑を生じる。葉には退緑・えそ症状を生じる。葉脈のえそにより、葉が奇形になることもある。葉柄の基部にえそ症状が生じると、葉が垂れ下がる。本病はトマト黄化えそウイルス(TSWV)によるキクえそ病とよく似ているが、茎のえそ症状が激しく、葉の退緑症状は軽い傾向がある。品種により、発病程度が異なることが報告されている。  

7 防除対策
(1) 感染株は早めに取り除き、ほ場外へ持ち出し処分する。
(2) 親株にはウイルスが感染していない健全な株を使用し、ミカンキイロアザミウマの防除も行う。
(3) 施設ではウイルスを媒介するミカンキイロアザミウマの侵入を防ぐため、開口部にネットを被覆する。また露地栽培では、ネットハウスも効果がある。
(4) ビニール等のマルチにより土中でミカンキイロアザミウマが蛹化するのを防ぐ。
(5) ほ場内及びほ場周辺の雑草は、ミカンキイロアザミウマの増殖源となるので除去する。
(6) ミカンキイロアザミウマの薬剤抵抗性発達を防ぐため、同一系統薬剤を連続して使用することは避ける。

  ◎防除薬剤については、
 ●Web版大阪府農作物病害虫防除指針
  (http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
 ●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
  (http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
  で確認してください。  

               

図1 葉及び茎のえそ症状 図2 葉の退緑えそ症状


                                                              

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