予報第2号(6月)


                           農推第 1506号
                              平成27年5月29日


 関係各位



                             大阪府環境農林水産部農政室長

             病害虫発生予察情報について

 標記について次のとおり発表したので送付します。

             病害虫発生予報第2号(6月)

                             

農作物名 病害虫名 予想発生量
水稲 いもち病 □~
縞葉枯病 □~
イネミズゾウムシ
ニカメイガ
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)
イネアオムシ(フタオビコヤガ) □~△
ぶどう(デラウエア) べと病 □~△
灰色かび病
クワゴマダラヒトリ
フタテンヒメヨコバイ
みかん 黒点病
そうか病
コナジラミ類
ミカンハダニ
もも せん孔細菌病 □~
いちじく アザミウマ類
果樹類 果樹カメムシ類
なす すすかび病 □~△
灰色かび病 □~△
うどんこ病 □~○
ミナミキイロアザミウマ □~△
トマト
葉かび病・すすかび病
灰色かび病
非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等) コナガ類
きく 黒斑病・褐斑病
白さび病
野菜類
花き類
アブラムシ類
ミカンキイロアザミウマ
シロイチモジヨトウ
ハモグリバエ類
オオタバコガ
コナジラミ類
▲:少ない △:やや少ない □:並 :やや多い :多い

 

5月気象予報(気象庁5月28日発表。1ヶ月予報)
低い
(少ない)
平年並 高い
(多い)
気温(確率) 20 30 50
降水量 30 40 30
日照時間 20 40 40


A 水稲
【いもち病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)昨年度は葉いもち及び、穂いもちの発生とも平年よりやや多かった。
(2)向こう1ヶ月の天候は気温はやや高く、日照時間もやや多いと予想されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)育苗箱において発生した場合、その箱の苗は本田に移植しない。
(2)田植後の余り苗を水田に放置しない。
(3)発生が予想される場合は、田植前に箱施用剤を処理する。
(4)密植をしない。
[メモ]
(1)日照不足、多雨で発病が多くなる。
(2)近隣府県においてQoI剤耐性菌の発生が報告されている。QoI剤の使用は1作1回  にとどめる。
  QoI剤成分例:アゾキシストロビン(アミスター)、メトミノストロビン(イモチエ   ース、オリブライト)、オリサストロビン(嵐)等

【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)4月に行ったヒメトビウンカの保毒虫率は府内平均6.4%で平年よりやや多かっ
た。
(2)5月の予察灯へのヒメトビウンカの飛来は平年同様、見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)前年度発生があった地域あるいはその周辺地域では、田植前に箱施用剤を処理する。
[メモ]
(1)ヒメトビウンカは縞葉枯病を媒介する。
(2)近年、西日本で増加傾向にある。

【イネミズゾウムシ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度の発生は平年並であった。
(2)1~2月の気温は平年並であったことから、越冬虫数は平年並と予想される。
(3)5月の予察灯への飛来は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)常発地では、田植前に箱施用剤を処理する。さらに発生が多いほ場は、移植後の防
  除を行う。

【ニカメイガ】(第1世代幼虫)
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度のほ場での発生は平年同様ほとんど見られなかった。
(2)5月の予察灯、フェロモントラップへの飛来は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)箱施用剤を処理しない場合は、7月上中旬に防除を行う。

【ジャンボタニシ】(スクミリンゴガイ)
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度のほ場での発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)水深4cm以下の浅水管理とする。
(2)桃色の卵塊は水中へ掻き落とし、成貝は拾い取り、処分する。
[メモ]
(1)田植後20日以内の苗が食害されるので、この時期の防除を徹底する。

【イネアオムシ】(フタオビコヤガ)
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度の発生はやや少なかった。
(2)近年、府内中山間部を中心に局地的に多発している。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
[メモ]
(1)この虫の生育適温は25~27度。
(2)多肥栽培は発生を助長する。
(3)フィプロニルを含む箱施用剤の効果は低い。

B 果樹
1 ぶどう(デラウェア) 
【べと病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(2)6月の気温は平年よりやや高く、降水量は平年並と予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)5月~10月にかけて、降雨が続き、気温が低めに経過すると発生が多い。

【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)6月の降水量は平年並と予測されている。
[メモ]
(1)ハウス栽培では換気やマルチを行い、湿度を下げる。
(2)かん水や薬剤散布は午前中に行い、夜間の湿度が上がらないようにする。

【クワゴマダラヒトリ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。

【フタテンヒメヨコバイ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。

2 みかん
【黒点病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度の発生は平年よりやや多かった。
(2)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(3)6月の降水量は、平年並と予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)枯枝が多く残っているところでは伝染源となるので、速やかに枯枝を除去する。
[メモ]
(1)この病気は、枯枝上から雨滴によって広がっていく。

【そうか病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
[メモ]
(1)伝染源となる越冬病斑は除去する。

【コナジラミ類】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。

【ミカンハダニ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)同一系統薬剤の連用を避ける。

3 もも
【せん孔細菌病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)今年は平年より、早くから発生が見られた。
(2)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多発すると防除が困難となるので、早期防除を心掛ける。
(2)強い風雨後の発生に十分注意する。

4 いちじく
【アザミウマ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)青色粘着トラップによる誘殺虫数は平年並であった。
[メモ]
(1)例年6月上中旬に発生のピークを迎える。

5 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容] 発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップによる誘殺虫数はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果樹をよく加害するカメムシは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサ
  ギカメムシの3種である。
(2)もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを
  加害することもある。
[メモ]
(1)園地によって発生量に大きな差がある。

C 野菜
1 なす
【灰色かび病】 
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]  
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂に
  ならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。

【すすかび病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]    
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)病葉は早めに摘除し、ハウス外に持ち出し処分する。
(2)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には、葉の裏にもかかるように
ていねいに薬剤散布を行う。
(3)QoI剤(アミスター、ストロビー、シグナム)、SDHI剤(アフェット、カンタス、   
シグナム)は、薬剤耐性菌を生じやすいので、1作1回程度の使用にとどめる。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。 
[メモ]
(1)すすかび病は多湿条件下や草勢が低下したときに発生が多くなる。

【うどんこ病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、泉州地域の一部ほ場で、発生は平年よりやや多か
った。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
(4)QoI剤(アミスター、ストロビー)、SDHI剤(アフェット)は、薬剤耐性菌を生じ   
やすいので、1作1回程度の使用にとどめる。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。

【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生は平年並からやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実や葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する。
(2)薬剤抵抗性が生じやすいので、同一系統薬剤の連用を避け、ロ-テ-ション散布を  
行う。
(3)葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する。
[メモ]
(1)同一系統薬剤として、ネオニコチイド系(スタークル・アルバリン、アクタラ、ダ   
ントツなど)、マクロライド系(アファーム、アグリメック)、スピノシン系(スピノエース、
ディアナなど)、その他(モベント)などがある。

2 トマト
【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]  
(1)ハウストマトの5月下旬の巡回調査では、発生は一部ほ場でやや目立ったが、全般
的には平年並だった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂に
  ならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。

【葉かび病・すすかび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]   
(1)ハウストマトの5月下旬の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]    
(1)施設栽培においては換気に努め、マルチを行う等、湿度を低く保つ。
(2)下~中位葉に発生しやすいので、発病を認めたら早めに摘葉し、病葉はハウス外に
  持ち出し処分する。
(3)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には直ちに防除を行う。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。

3 非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等)
【コナガ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]    
(1)フェロモントラップ、予察灯へは、本年は平年より早く4月中旬から連続して誘殺 されて
いる。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期に防除を行う。

D 花き
1 きく
【黒斑病・褐斑病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並からやや多かった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年並と予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)降雨が多いと発生が多い。

【白さび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年と同様ほとんど見られなかった。

E 野菜・花き類
【アブラムシ類】【ウイルス病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月下旬の巡回調査では、発生は全般的には平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ウイルス病を媒介するアブラムシ類は、少発生時の防除を徹底する。
(2)施設栽培では、開口部をネットで被覆し、成虫の飛来を防止する。
(3)ほ場周辺の除草に努める。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ウイルス病に感染していない無病苗を確保する。
(6)ウイルス病が発病した株は、蔓延防止のため、抜き取りまたは株元から切り取って、
ほ場外に持ち出し処分する。
[メモ]
(1)アブラムシ類が媒介するウイルス病には、キュウリモザイクウイルス(CMV)など
がある。

【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]    
(1)5月下旬の露地水なすの巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]   
(1)収穫後の残さは、他作物等への発生源となるので、速やかにほ場から持ち出し処分
する。
(2)きくでは膜割れ(蕾から着色した花弁が見える前)前後の防除を徹底する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどは、作物を加害するだけで
なくウイルス病(TSWV)を、きく、なす、トマト、ピーマンなどの作物に媒介する。

【シロイチモジヨトウ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]    
(1)フェロモントラップでの5月下旬の誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)の防除を徹底する。
(2)黄色灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
  
【ハモグリバエ類】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]    
(1)5月下旬の巡回調査では、一部のほ場でわずかに見られたが、全般的にはほとんど
見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害葉、残さはほ場から持ち出し処分する。
(2)しゅんぎくや大阪しろな等の軟弱野菜では、収穫後に地表面をビニール被覆し、
太陽熱により土中の蛹を殺すことで、次作の被害を軽減できる(4~10月の間可能)。

【オオタバコガ】
[予報内容] 発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップでの5月の誘殺虫数は、各地で平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害のあった果実や新芽は早急に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(2)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合以下)で被覆し、成虫の侵入を防止する。
(3)黄色灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。

【コナジラミ類】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなす巡回調査ではハウス、露地ともに発生は平年よりやや少なかった。
トマトハウスの黄色粘着トラップの誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除に努める。
(2)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を防止する。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ほ場周辺の除草にも努める。
[メモ]
(1)タバココナジラミは、作物を加害するだけでなくウイルス病(TYLCV)を媒介する。

●大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・ホームページ
(平成23年4月1日より大阪府病害虫防除所から組織名変更)
  http://www.jppn.ne.jp/osaka/
  防除指針を掲載しています。
●病害虫発生情報メールサービス
 申込先 大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・メールサービス担当
 TEL 072-957-0520       
http://www.jppn.ne.jp/osaka/mailservice/mailservicemousikomi.html
<情報料無料、受信に要する通信費は自己負担です>
 年間約30件の病害虫情報を電子メールで送付します。
●おおさかアグリメール
 申込先 大阪府立環境農林水産総合研究所
     経営企画室推進グループ
     おおさかアグリメール受付担当
 TEL 072-979-7070 
 http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/nourin/agrimail/
 最新の農業情報をあなたの携帯電話にお届けします。
 (受信に要する通信費は自己負担です)
●Web版大阪府園芸植物病害虫図鑑(現在、工事中)
「ひと目でわかる花と野菜の病害虫」
 http://osaka-ppa.or.jp/zukan/index.php
 (大阪府植物防疫協会)

                        

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