あぶらな科野菜(キャベツ、ブロッコリー等)ではコナガの発生に注意しましょう!
   (一部ジアミド系剤の効きが低下していますので、ご注意を!)
                    (平成28年9月7日)


 近年、コナガの発生はやや少なく推移してきましたが、昨秋は、キャベツの一部ほ場で、急速に増加する傾向*1が見られました。
現在のところ、予察灯での誘殺虫数は平年に比べやや少ない*2ですが、充分な注意が必要です。

薬剤による防除は、定植時の粒剤施用や発生初期の散布が効果的です。また、コナガは
同一系統薬剤を連続して散布すると特に抵抗性が発達しやすいため、異なる系統の薬剤によるローテーション散布が必要です
 なお、昨年の薬剤検定試験*3では、従来からの薬剤系統に加え、新系統薬剤のジアミド系殺虫剤の一部でも、
既に抵抗性が確認されています。
このため、ジアミド系剤の使用は、1回にとどめてください

*1 巡回地点の調査平均。表1を参照。  *2 予察灯の誘殺虫数。表2(羽曳野市) *3 表3を参照

表1 予察巡回結果(H27 キャベツ)
    25株調査   寄生株率(%)( )内は、株当り寄生虫数(頭/株)

9月 10月 11月 12月
下旬 上旬 下旬 上旬 下旬 上旬 下旬
泉佐野市(長滝) 0.0
(0.0)
2.0
(0.0)
2.0
(0.0)
4.0
(0.1)
4.0
(0.1)
0.0
(0.0)
0.0
(0.0)
泉佐野市(上之郷) 4.0
(0.1)
10.0
(0.1)
8.0
(0.1)
18.0
(0.2)
30.0
(0.4)
0.0
(0.0)
0.0
(0.0)
泉佐野市(上之郷) 4.0
(0.1)
10.0
(0.1)
8.0
(0.1)
18.0
(0.2)
30.0
(0.4)
0.0
(0.0)
0.0
(0.0)
平均値(H16〜25) 0.8
(0.1)
0.2
(0.0)
0.0
(0.0)
0.3
(0.0)
0.6
(0.1)
0.1
(0.0)
0.1
(0.0)
※上之郷(H26に日根野から地点変更。平均値は長滝と日根野)

  

図1 コナガ(成虫) 図2 コナガ(幼虫)
(原図:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所)


表2 予察灯への飛来成虫数(羽曳野市)    
                     単位:誘殺虫数(頭)

 月・旬   7   8 
 上  中 上   中 下 
 平成28 年   6.0  2.0   2.0  0.0  2.0  0.0
 平均(H14〜H27 )  13.3   9.1 6.5  2.9  1.4  0.7


表3 各種薬剤の検定結果 *4

 供試薬剤  系 統     補正死亡率(%)
 フェニックス顆粒水和剤  ジアミド系  ×
 プレバソンフロアブル5  ジアミド系  ×
 ベネビアOD  ジアミド系  ○
 アファーム乳剤  アベルメクチン系  ◎〜△
 スピノエース顆粒水和剤  スピノシン系  ◎
 ゼンタ−リ顆粒水和剤  BT剤  ◎
 コテツフロアブル  その他  ○
 プレオフロアブル  その他  ○

*4 平成27年12月11、25日、平成28年1月23日実施。泉佐野市ほ場採取。
     但し、アファーム乳剤のみ3回実施。その他、薬剤は1回実施。
  補正死亡率 ◎:90%以上、○:70〜90%、△:50〜70%、×:50%未満

1 発生生態
(1) 成虫は、葉の裏面に1粒ずつ卵を産む。幼虫は、表皮のみを残して葉肉を食害する。
   葉裏に、網状の繭(まゆ)を作って蛹化する。
(2) 幼虫は、7〜8mmの小さな青虫状の虫。さわるとピンピンと激しく動く。
(3) 成長が早く、25℃では約15〜16日で卵から成虫になる。
(4) キャベツ、ブロッコリー、だいこん、かぶなどのあぶらな科野菜の他、ナズナ、イヌガラシなど
あぶらな科雑草を加害する。

2 防除対策
(1)耕種的防除
 ・育苗中の苗は、寒冷しゃ等で被覆し、成虫の侵入を防ぐ。
・定植には健全苗を使用し、本ぽへの幼虫の持ち込みを防ぐ。
(2)薬剤防除
 ・育苗期から定植時にかけてかん注や粒剤を処理する。発生時は水和剤等を散布する。
 ・散布は、薬液が芯葉に届くよう丁寧に散布する。
 ・薬剤抵抗性が発達しやすいので同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。

表4 薬剤例
<キャベツ>

薬 剤 名  希釈倍数
使用量
使 用
方 法 
使 用
 時 期 
本  剤
使用回数 
系統 
 プレバソンフロアブル5*8     100倍  かん注*5  育苗期後半〜
定植当日
 1回    シ゛アミト゛系
  500倍  かん注*6
 2,000倍  散 布  収穫前日まで  3回以内
 ジュリボフロアブル*8*9     200倍   かん注*5  育苗期後半〜
定植当日
 1回   シ゛アミト゛系 +
ネオニコチノイト゛系 
  1,000倍   かん注*6  は種時〜
育苗期後半
  4,000倍  散 布  収穫3日前まで
 3回以内
 プリンスフロアブル   100 倍  かん注*7  定植前まで  1回  フェニルヒ°ラソ゛ール系
 2,000倍   散  布  収穫14日まで  2回以内
 スピノエース顆粒水和剤*10  2,500〜5,000倍   散  布  収穫3日前まで  3回以内  スヒ°ノシン系
 アファーム乳剤  1,000〜2,000倍
 散  布  収穫前日まで  3回以内  アヘ゛ルメクチン系
 コテツフロアブル  2,000倍  散  布  収穫前日まで  2回以内  その他

*5 セル成型育苗トレイ1箱又はヘ°ーハ°ーホ°ット1冊(約30×60cm、使用土壌約1.5〜4L)当り0.5L
*6 苗地床1u当り2L
*7 セル成型育苗トレイ1箱又はヘ°ーハ°ーホ°ット1冊(30×60cm、使用土壌約3〜4L)当り0.5L
*8 クロラントラニリプロールを含む農薬の総使用回数:4回以内
   (定植時までの処理は1回以内、散布は3回以内)
*9 チアメトキサムを含む農薬の総使用回数:4回以内
   (定植時までの処理は1回以内、定植後の散布は3回以内)
*10 スピノサドを含む農薬の総使用回数:4回以内
(定植前は1回以内、本圃では3回以内)
・詳細は、「農作物病害虫防除指針」
  ●Web版大阪府病害虫防除指針(http://www.jppn.ne.jp/osaka/)
  ●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
   (http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm) 
                                                                                       

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