水稲のセジロウンカについては、西日本から東日本にかけての多くの地域で、発生が平年より多いと予想されています。府内においても、7月上旬の巡回調査(北部地域、泉州地域)では、一部のほ場において、セジロウンカの発生が多く確認されています。今後1ヶ月の気温はやや高いと予報されており、発生に適した条件となっています。
ほ場を見回るなど発生に注意し、早期防除を心がけましょう。
1 発生状況(巡回調査)
7月の巡回調査では、一部地域でセジロウンカの発生が平年より多く確認された(表1)。
表1. 巡回調査地点におけるセジロウンカの発生状況(水稲25株当たり虫数)
調査地点 | ||||||
茨木市 | 能勢町 | 和泉市 | 岬町 | 富田林市 | 羽曳野市 | 八尾市 |
(下音羽) | (倉垣) | (国分町) | (谷川) | (西板持) | (尺度) | (水越) |
3.3 | 47.7 | 43.7 | 37.7 | 13.3 | 7.7 | 2.3 |
(5.2) | (3.5) | (19.7) | (12.2) | (11.1) | (15.9) | (0.6) |
注)( )内は、H18〜H27年度調査平均。ただし羽曳野はH14〜H20,H27年度の平均。
2 発生及び生態
(1)幼虫はほとんど白地のものから黒化の強いものまであり、変異が大きい(写真1)。
(2)成虫は4〜4.5 mm。灰褐色あるいは黒褐色で、胸部背面に白斑が目立つ(写真2)。
(3)7月末〜8月に多発するため夏ウンカと呼ばれる。
(4)被害田は円形の坪枯れにならず、多発すると一面が黄変枯死する。
写真1 セジロウンカ(幼虫) | 写真2 セジロウンカ(成虫) | |
(原図 環農水研) | (原図 環農水研) |
3 防除対策
(1)ほ場の状況をよく観察し、早期発見に努める。
(2)薬剤散布は株元まで十分に薬剤が行き渡るように行う。
(3)薬剤抵抗性の出現を防ぐため、同一系統の薬剤を連用しない。
(4)セジロウンカは、フィプロニル剤(プリンス)に対する感受性が低下しているとの報告があるので、
同剤を箱施用しているほ場において、今後発生が多い場合は、下記薬剤(参照表2)を使用する。
表2. セジロウンカ防除薬剤の例(薬剤使用にあたっては収穫前日数に注意する)
薬剤名 | 希釈倍数 | 使用時期/使用回数 | 系統 |
---|---|---|---|
トレボン粒剤 | 2〜3kg/10a | 21日/3回 | ピレスロイド系 |
トレボン乳剤 | 1,000〜2,000倍 | 14日/3回 | ピレスロイド系 |
スタークル顆粒水溶剤 | 3,000倍 | 7日/3回 ※1 | ネオニコチノイド系 |
アルバリン顆粒水溶剤 | |||
アプロード水和剤 ※2 | 1,000〜2,000倍 | 7日/4回 | IGR系 |
※1. スタークル顆粒水溶剤とアルバリン顆粒水溶剤は、同一成分(ジノテフラン)を含むため、 使用回数に注意する。
(ジノテフランを含む農薬の総使用回数は4回以内(育苗箱への処理 及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人ヘリ散布は合計3回以内))
※2.「ウンカ類幼虫」に登録。
◎防除薬剤については、以下にて確認してください。
●Web版大阪府病害虫防除指針(http://www.jppn.ne.jp/osaka/)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報検索システム
(http://www.acis.famic.go.jp/searchF/vtllm001.html)