たまねぎ・べと病の発生に引き続き注意しましょう!
(平成28年5月11日)


 たまねぎでは、べと病の発生が引き続き見られます。本年は早期からべと病の発生が多く、病害虫発生予察注意報第1号(平成28年4月6日付け農推第1077号)を発表し、発生状況と防除対策等について、お知らせしてきましたが、防除が遅れたり、不十分なほ場では被害が目立っています(5月9日調査)。
 大阪管区気象台の大阪府農業気象速報(5月6日発表)では、向こう1ヶ月の平均気温は平年より高い確率が60%、降水量は平年より多い確率が40%と予報されています。この時期の高い気温は発生を抑える要因となりますが、本年は既に被害株が多いことから、感染が拡がりやすい条件にあります。
 今後、気温がやや低く、降水量が多い日が続く場合は、べと病の発生や被害が更に増える可能性がありますので、引き続き注意が必要です。

 表1 たまねぎべと病の発生状況   5月9日調査  ( )内は、調査ほ場数

調査地点 発病ほ場率(%) 発病株率(%)*1 被害株率(%)*2
  泉佐野市(上之郷)
   貝塚市(木積)
   岸和田市(阿間ヶ滝)
86.7(15ほ場)
80.0(5ほ場)
100.0(4ほ場)
     8.0
    5.0
    3.0
    40.0
     25.0
    95.0
平均 87.5(24ほ場)     6.5     46.0
(参考)平年値(過去10年平均)     −     2.9      −

  *1 現在、べと病の感染・被害が拡大中の株。
 *2 発生被害が認められたが、薬剤散布等により現在、病気の進展が停止又は治癒している株。

1 べと病の生態と被害等
(1)主に葉に発生する。たまねぎの他、ねぎ、わけぎなどに発生する。
(2)越年罹病株で形成された胞子から感染し、春期に発生する2次感染株は、気温が15℃位で、降水量が多いと増加する。特に、4月中下旬から5月上旬にかけて曇雨天が続くと、発生が多くなる。
(3)2次感染株の病斑は、黄色で大型の長卵形から楕円形をした病斑を生じることが多く、病斑上に、白または暗紫色のかびが生えることが多い。他にも種々の形態が見られ、適温(15℃前後)の降雨時には、葉色には変化がなく、突然かびを生じることもある。

2 防除対策
(1)ほ場の状況をよく観察し、適期に防除する。
  ・発生を認めたら、下記の薬剤を散布する。
  ・現在、発生のないほ場でも、予防的に下記の薬剤を散布する。
  ・薬剤により使用時期が違うので、ラベルをよく読んで適期に散布する。
(2)同一薬剤の連用を避ける。特に、QoI殺菌剤、CAA殺菌剤、フェニルアミド系(薬剤名は表2参照)は耐性菌が発生しやすいため連用は避ける。これらの剤を使用したにもかかわらず 発生が多いほ場では、耐性菌の発生が疑われるので、他系統の薬剤を使用する。
(3)薬剤を散布する時は、周囲に飛散しないよう注意する。
(4)以下の薬剤を参考とする。


表2 散布薬剤・たまねぎ(例)

系 統 薬 剤 名 希 釈 倍 数 使用時期
/使用回数
備 考
シ゛チオカーハ゛メート系 ジマンダイセン水和剤
ペンコゼブ水和剤
400〜600倍 3日/5回 予防
フェニルアミト゛系+
シ゛チオカーハ゛メート系
リドミルゴールドMZ 1,000倍 7日/3回 予防・治療
QoI殺菌剤 アミスター20フロアブル 2,000倍 前日/4回 予防
QoI殺菌剤+他 ホライズンドライフロアブル 2,500倍 3日/3回 予防・治療
QiI殺菌剤 ランマンフロアブル 2,000倍 7日/4回 予防
CAA殺菌剤 レーバスフロアブル 2,000倍 前日/2回 予防・治療
CAA殺菌剤+他 ベトファイター顆粒水和剤 2,000倍 7日/3回 予防・治療
プロポーズ顆粒水和剤 1,000倍 7日/3回

※ジマンダイセン水和剤、ペンコゼブ水和剤及びリドミルゴールドMZは、同一成分(マンゼブ)を含み、合わせて5回まで
※ホライズンドライフロアブル及びベトファイター顆粒水和剤は同一成分(シモキサニル)を含むので合わせて3回まで
その他の剤も同一成分を含む場合があるので、成分毎の総使用回数に注意する。

     写真1 べと病の被害葉
  (黄色で楕円形をした一般的な病斑)
  写真2 べと病の被害葉
 (発生初期の霜状のかび)
       写真3 べと病の被害葉
      (急速に生じ進行した病斑)


 (注意)上記の1,2は、病害虫発生予察注意報第1号(平成28年4月6日付け農推第1077号)と同じ内容です。

◎防除薬剤については、
 ●Web版大阪府病害虫防除指針
  (http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
 ●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
  (http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)

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