病害虫名 べと病
1 発生作物 たまねぎ、ねぎ
2 発生地域 大阪府全域(特に、泉州地域)
3 発生の状況
4月5日のたまねぎの巡回調査(泉州地域)では、べと病の発生が多く、発病ほ場率は平均71.4%、発病株率は平均32.6%と高く(予察巡回地点の過去10年平均2.9%)、多発ほ場も見られる。その他、ねぎでも発生が多く認められる。
大阪管区気象台の大阪府農業気象速報(3月31日発表)では、向こう1ヶ月の平均気温は平年より高い確率が70%、降水量は平年より多い確率が50%であり、べと病が発生しやすい条件と見込まれることから、今後さらに多発する恐れがある。
表1 たまねぎべと病の発生状況 ( )内は、調査ほ場数
調査地点 | 発病ほ場率(%) | 発病株率(%) |
泉佐野市(上之郷) | 25.0 (8ほ場) | 0.3 |
泉佐野市(日根野) | 90.9(11ほ場) | 48.8 |
岸和田市(阿間ヶ滝) | 88.9 (9ほ場) | 40.3 |
平均 | 71.4(28ほ場) | 32.6 |
(参考)平年値(過去10年平均) | − | 2.9 |
但し、発病株率は、ほ場により差が大きい。
4 べと病の生態と被害等
(1)主に葉に発生する。たまねぎの他、ねぎ、わけぎなどに発生する。
(2)越年罹病株で形成された胞子から感染し、春期に発生する2次感染株は、気温が15℃位で、降水量が多いと増加する。特に、4月中下旬から5月上旬にかけて曇雨天が続くと、発生が多くなる。
(3)2次感染株の病斑は、黄色で大型の長卵形から楕円形をした病斑を生じることが多く、病斑上に、白または暗紫色のかびが生えることが多い。他にも種々の形態が見られ、適温(15℃前後)の降雨時には、葉色には変化がなく、突然かびを生じることもある。
5 防除対策
(1)ほ場の状況をよく観察し、適期に防除する。
・発生を認めたら、下記の薬剤を散布する。
・現在、発生のないほ場でも、予防的に下記の薬剤を散布する。
・薬剤により使用時期が違うので、ラベルをよく読んで適期に散布する。
(2)同一薬剤の連用を避ける。特に、QoI殺菌剤、CAA殺菌剤、フェニルアミド系(薬剤名は表2参照)は耐性菌が発生しやすいため連用は避ける。これらの剤を使用したにもかかわらず発生が多いほ場では、耐性菌の発生が疑われるので、他系統の薬剤を使用する。
(3)薬剤を散布する時は、周囲に飛散しないよう注意する。
(4)以下の薬剤を参考とする。
表2 散布薬剤・たまねぎ(例)
系 統 | 薬 剤 名 | 希 釈 倍 数 | 使用時期 /使用回数 |
備 考 |
シ゛チオカーハ゛メート系 | ジマンダイセン水和剤 ペンコゼブ水和剤 |
400〜600倍 | 3日/5回 | 予防 |
フェニルアミト゛系+ シ゛チオカーハ゛メート系 |
リドミルゴールドMZ | 1,000倍 | 7日/3回 | 予防・治療 |
QoI殺菌剤 | アミスター20フロアブル | 2,000倍 | 前日/4回 | 予防 |
QoI殺菌剤+他 | ホライズンドライフロアブル | 2,500倍 | 3日/3回 | 予防・治療 |
QiI殺菌剤 | ランマンフロアブル | 2,000倍 | 7日/4回 | 予防 |
CAA殺菌剤 | レーバスフロアブル | 2,000倍 | 前日/2回 | 予防・治療 |
CAA殺菌剤+他 | ベトファイター顆粒水和剤 | 2,000倍 | 7日/3回 | 予防・治療 |
プロポーズ顆粒水和剤 | 1,000倍 | 7日/3回 |
※ジマンダイセン水和剤、ペンコゼブ水和剤及びリドミルゴールドMZは、同一成分(マンゼブ)を含み、合わせて5回まで
※ホライズンドライフロアブル及びベトファイター顆粒水和剤は同一成分(シモキサニル)を含むので合わせて3回まで
その他の剤も同一成分を含む場合があるので、成分毎の総使用回数に注意する。
写真1 べと病の被害葉 | 写真2 べと病の被害葉 | 写真3 べと病の被害葉 | ||
(黄色で楕円形をした一般的な病斑) | (発生初期の霜状のかび) | (急速に生じ進行した病斑) |
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針
(http://www.jppn.ne.jp/osaka/shishin/shishin.html)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)