病害虫発生・防除メールサービス(8月)

(平成28年8月15日発信)


 大阪府内の8月の病害虫発生状況と今後1か月の防除対策についてお知らせします。
 暑い日が続いています。作業時に熱中症にならないよう十分ご注意下さい。
 高温時の薬剤散布では薬害が発生しやすいので、朝・夕の涼しい時間帯に行いましょう。
 
 ●各病害虫の発生状況は、巡回調査や植物防疫協力員の報告等をもとにしています。
 ●農薬使用の際は、病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。
   (病害虫防除グループホームページ http://www.jppn.ne.jp/osaka/)
 ●新たな農薬の評価手法(短期暴露評価)が導入されることに伴い、登録変更(変更申請中のものを含む)によって、
  使用が制限される農薬があり、注意が必要です。
  詳しくは、販売店で提供されるチラシ等や病害虫防除グループホームページ
  「短期暴露評価により変更される農薬の使用方法の周知等について」   
  http://www.jppn.ne.jp/osaka/H27nd/ARfDtuuti/ARfDH27_top.htmlで確認してください。 


1 水稲
【いもち病】(発生は平年並)
 ・密植や窒素肥料が多い水田では、発生しやすい。
 ・葉いもちの発生が認められるほ場では出穂前に穂いもちの予防散布を行う。
 ・発生が見られたら、ブラシンフロアブル等を散布する。
 ・耐性菌の発生が報告されているので、QoI剤の使用は1作1回に留める。
  QoI剤の例 アミスターエイト、イモチエース粒剤、オリブライト250G、嵐粒剤
【紋枯病】
 ・高温、多湿で発生しやすい。
 ・発生初期に、バリダシン液剤5等で防除を徹底。収穫前日数に留意。
【もみ枯細菌病】
 ・出穂時に高温多雨になると発生しやすい。
 ・出穂直前〜穂ぞろい期にブラシンフロアブル等を散布する。
 ・前年に発生した水田では、予防散布する。
【内えい褐変病】
 ・出穂時に高温多雨になると発生しやすい。特に台風に注意。
 ・前年に発生した水田では、穂ばらみ期にブラシンフロアブル等を散布する。
 ・出穂前と出穂後の1回ずつ薬剤散布する方が効果が高い。
 ※穂いもち、もみ枯細菌病、内えい褐変病の同時防除には出穂直前にブラシンフロアブル等を散布する。
【ウンカ類】(セジロウンカの発生がやや多)
 ・発生を確認した場合はスタークル粒剤、アルバリン粒剤、キラップ粒剤等で防除する。
  (注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため、本田での使用は合計3回まで。
 ・セジロウンカは、フィプロニル剤(プリンス)に対する感受性が低下しているとの報告があるので、
  同剤を箱施用しているほ場において、今後発生が多い場合は、他系統の薬剤を使用する。
【斑点米カメムシ類】(発生は平年並)
 ・水田内に生えたヒエなどのイネ科雑草を抜き取る。
 ・出穂前後の畦畔の除草はカメムシ類を水田に追い込むため、実施しない。
 ・薬剤防除は、出穂10日後頃にスタークル粒剤、アルバリン粒剤、キラップ粒剤等を散布する。
 (注)スタークルとアルバリンを含む剤は同一成分を含むため、本田での散布は合計3回まで。
【コブノメイガ】(発生はやや少)
 ・羽化後2週間程度すると被害が目立つようになる。
 ・発生を確認した場合は、トレボン乳剤、パダンSG水溶剤等で防除する。
【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】(発生は平年並)
 ・次年度の発生を減らすため、ピンク色の卵塊を発見した場合は、水中に掻き落とす。
 (卵は水中では生存できない)

2 ぶどう
●SDHI剤、QoI剤、CAA剤は耐性菌が発生しやすいため、同系統薬剤の連用は避ける。
・SDHI剤の例 アフェットフロアブル
・QoI剤の例  ストロビードライフロアブル、ファンタジスタ顆粒水和剤、ホラ イズンドライフロアブル(成分の一つファモキサドンが該当)
・CAA剤の例  レーバスフロアブル、ベトファイター顆粒水和剤(成分の一つベ ンチアバリカルブイソプロピルが該当)
【べと病】(発生は露地栽培で平年よりやや多)
 ・秋口になって気温が下がり、雨が多いと再び発生する。
 ・多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっかり防除する。
 ・ICボルドー66DやICボルドー48Q等を予防的に散布する。
 ・収穫前日数に注意し、収穫期間近の場合は、収穫終了後に散布する。
【褐斑病】 (発生は平年並)
 ・秋期落葉期まで発生し、落葉を早めるので注意。
 ・多発して落葉すると樹勢が低下し、次年度にも影響する。
 ・発生を確認した場合は、収穫終了後にジマンダイセン水和剤等でしっかり防除する。
【晩腐病】(発生は平年並)
 ・収穫期が近づき、糖度が高くなった果実で発生しやすい。
 ・気温20〜25度で、雨が多いと発生しやすい。
 ・被害果房は園外に持ち出して処分する。
【ハダニ類】(発生は平年並)
 ・多発し早期に落葉すると、着色障害など果実品質に影響する。また樹勢が低下し、次年度にも影響する。
 ・収穫が終わった園も定期的に見回って、発生を確認したら防除する。
 ・発生を確認した場合は、バロックフロアブル(7日前まで)、コロマイト水和剤(7日前まで)等を散布する。収穫前日数に注意。
【ブドウトラカミキリ】
 ・成虫発生時期は8月中旬〜10月上旬。
 ・収穫後秋期、モスピラン顆粒水溶剤を散布して防除する。

3 温州みかん
【そうか病】(発生はやや少)
 ・雨が続くと発生しやすい。
 ・発生を確認した場合は、トップジンM水和剤等で防除する。
【黒点病】(発生は平年並)
 ・雨で広がるので、注意が必要。
 ・発生を確認した場合は、ジマンダイセン水和剤(30日前まで)等で防除する。
 (注意)ジマンダイセン水和剤は、かんきつ(みかんを除く)では収穫90日前まで。
【ミカンハダニ】(発生は平年並)
 ・発生を確認した場合は、コロマイト水和剤、ダニエモンフロアブル、マイトコーネフロアブル等を散布する。
 ・同一系統薬剤を連用すると抵抗性が発達しやすい。
 ・ダニトロンフロアブル、ピラニカ水和剤、サンマイト水和剤、マイトクリーンは同一系統薬剤で交差抵抗性があるため、
  これらの薬剤の連用を避ける。

4 もも
【せん孔細菌病】(発生は平年より多)
 ・秋期に風を伴った降雨が多くなると、越冬病原細菌の量が多くなる。
 ・収穫が終了した園地では、9月〜10月にICボルドー412を散布する。台風等の影響により、
  落葉が多くなると、落葉痕からの感染が多くなるため、台風等の通過前に散布する。

5 いちじく
【疫病】
 ・雨が続くと発生しやすい。
 ・雨水の跳ね上がりなどで伝染するので、敷きわらやマルチを行う。
 ・腐敗果は早めに園外に持ち出して、処分する。
 ・ランマンフロアブル等を散布して防除する。
【イチジクモンサビダニ】
 ・微小なダニのため、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
 ・葉に斑紋症状などの被害が見られたら、ダニトロンフロアブル等を散布する。
【イチジクヒトリモドキ】
 ・若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的。
 ・発生を確認した場合は、アディオン乳剤等を散布する。

6 なす(露地栽培)
●QoI剤、SDHI剤は耐性菌が発生しやすいため、同一薬剤の連用は避け、1作1回 程度の使用に留める。
 ・QoI剤の例 アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル、シグナムWDG(成分の一つピラクロストロビンが該当)
 ・SDHI剤の例 アフェットフロアブル、カンタスドライフロアブル、シグナムWDG(成分の一つボスカリドが該当)
【うどんこ病】(発生は並からやや少)
 ・日照不足、乾燥条件下で多発。
 ・過繁茂で発生が増加する。こまめに摘葉、摘芯する。
 ・草勢が弱ると多発しやすい。肥切れに注意。
 ・発生初期に、トリフミン乳剤、モレスタン水和剤等を散布する。
 (注)モレスタン水和剤は、高温時には薬害が発生しやすいので注意。
【褐紋病】(水なすほ場で発生は並からやや少)
 ・発病した葉や果実、枝はほ場外へ持ち出して処分する。
 ・種子伝染する。自家採種を行う場合は健全果から採種する。
【アザミウマ類】(ミナミキイロアザミウマの発生はやや少)
 ・ミナミキイロアザミウマの他、ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマが発生。
 ・発生が見られたら、アファーム乳剤、モベントフロアブル、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマのみ)等を散布する。
【ハダニ類】
 ・発生初期の防除効果が高い。早めにコロマイト乳剤やスターマイトフロアブル等を散布する。
 ・使用回数が1回の薬剤が多い。農薬の使用履歴を記帳し、確認すること。
【チャノホコリダニ】
 ・微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
 ・がく片が褐変するなどの被害が発生する。コロマイト乳剤、スターマイトフロアブル等を散布する。
 ・使用回数が1回の薬剤が多い。農薬の使用履歴を記帳し、確認する。

7 トマト・ミニトマト(施設栽培)
●トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合がある。農薬使用時には注意する。
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
 ・感染してからは対策がない。ウイルスを媒介するコナジラミ類の防除を徹底する。
 ・感染株は、ビニル袋等に入れて口を縛り、完全枯死させて処分。
【コナジラミ類】
 ・タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほか、トマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
 ・開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置し侵入を防ぐ。
 ・発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤(トマト、ミニトマト)、コロマイト乳剤  (トマト、ミニトマト)等を散布する。

8 キャベツ等あぶらな科野菜
●作物によって農薬の登録内容が異なるので、注意する。
【根こぶ病】
 ・あぶらな科野菜の連作を避ける。
 ・定植時に温度が高いと発生しやすい。早植えを避ける。
 ・土壌pHが低い(酸性)と発生しやすい。石灰質資材等を施用しpH6.5〜7に調整。
 ・前年発生した畑では、キャベツ、はくさい、ブロッコリーでは、定植前に、ネビジン粉剤やオラクル粉剤を土壌混和する。
【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
 ・育苗時期の防除が重要。苗床も含め、初期防除を徹底する。
 ・被覆資材によるべたがけ、トンネルがけを行う。
 ・セル成型育苗トレイにプレバソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等を
  かん注するか、プリンス粒剤(キャベツ、ブロッコリー)等を施用する。
 ・発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。
【ハスモンヨトウ】
 ・卵塊で産卵。若齢幼虫は集団で食害。
 ・老齢幼虫になると薬剤は効きにくい。若齢幼虫の防除に重点をおく。
 ・発生を認めたら、アファーム乳剤(キャベツ、なばな類等)やフェニックス顆粒水和  剤(キャベツ、はくさい、ブロッコリー)等で防除する。
【コナガ】
 ・発生初期の防除を徹底する。
 ・被覆資材によるべたがけ、トンネルがけを行う。
 ・セル成型育苗トレイに、ジュリボフロアブル、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤(キャベツ、ブロッコリー)等をかん注する。
※一部のジアミド系剤の抵抗性が府内でも確認されている。ジアミド系剤の使用は1作1回程度に留める。
   ジアミド系剤の例 プレバソンフロアブル5、ジュリボフロアブル、フェニックス顆粒水和剤等

9 きゅうり
●QoI剤、SDHI剤は耐性菌が発生しやすいため、同一薬剤の連用は避け、1作1回 程度の使用に留める。
 ・QoI剤の例 アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル、フリントフロアブル25
 ・SDHI剤の例 アフェットフロアブル
【うどんこ病】
 ・草勢が弱ると多発しやすい。肥切れにならないよう注意。
 ・日照不足、乾燥条件下で多発。
 ・過繁茂にならないよう、摘葉を行う。
 ・ベルクート水和剤、トリフミン乳剤等を予防散布する。
【炭そ病】・【褐斑病】
 ・過湿条件で発生しやすい。
 ・窒素過多は発生を助長。窒素肥料のやりすぎに注意。
【ウイルス病】
 ・キュウリモザイクウイルス(CMV)、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)、カボチャモザイクウイルス(WMV)の
  重複感染により急性萎ちょう症を起こすことがある。
 ・無病苗を確保する。
 ・発病した株は、抜き取りまたは株元から切り取って、ほ場外に持ち出し処分。
 ・CMV、ZYMVを媒介するアブラムシ類の防除を徹底する。
【アブラムシ類】
 ・施設栽培では、開口部を防虫ネットで被覆。成虫の飛来を防止。
 ・ほ場周辺の除草に努める。
 ・発生を認めたらモスピラン顆粒水溶剤、トレボン乳剤で防除する。
【ワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ)】
 ・ハウス抑制栽培の生育初期に発生が認められることが多い。
 ・ハウスの開口部を寒冷紗(目合2mm)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
 ・生長点および脇芽の先端を食害するので、幼虫を捕殺する。
 ・発生初期にゼンターリ顆粒水和剤、アファーム乳剤等を散布して防除する。

10 野菜類・花き類
【オオタバコガ】(発生は平年並)
 ・1頭の幼虫が数個の果実や蕾、新芽を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
 ・被害を受けた果実は、果実内に幼虫が入っている可能性が高いので、ほ場外へ持ち出し処分する。
 ・老齢幼虫は薬剤が効きにくい。果実内にいるため幼虫は、薬剤がかかりにくい。
 ・発生を確認した場合は、フェニックス顆粒水和剤(なす、トマト、花き類)、プレオフロアブル(なす、トマト、花き類)等で防除する。
 ・園全体を防除網(目合4 mm)を設置して侵入を防ぐ。

11 きく
●QoI剤は耐性菌が発生しやすいため、同一薬剤の連用は避け、1作1回程度の使用に留める。
 ・QoI剤の例 ストロビーフロアブル
【黒斑病、褐斑病】(発生は平年並)
 ・品種により発生に差があるので、注意が必要。
 ・被害葉は取り除いて処分する。
 ・ダコニール1000等を散布して予防する。
【白さび病】(発生は平年並)
 ・品種により発生に差があるので、注意が必要。
 ・被害葉は取り除いて処分する。
 ・ストロビーフロアブル、トリフミン乳剤等を散布し、予防に努める。
 ・ストロビーフロアブルは他剤との混用は薬害を生じる場合があるので注意。

【アザミウマ類】
 ・吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
 ・品種により、被害の現れ方に差がある。
 ・発生源となる周辺の除草を行う。
 ・発生を確認したらディアナSC、ハチハチ乳剤等を散布する。
【アブラムシ類】(発生は平年並)
 ・吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
 ・発生を確認したらスタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤、チェス顆粒水和剤等を散布する。
  (注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計5回まで。


 次の情報は、9月15日頃にお知らせします。
 

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