農推第 1413 号
平成28年6月1日
関係各位
大阪府環境農林水産部農政室長
病害虫発生予察情報について
標記について次のとおり発表したので送付します。
病害虫発生予報第2号(6月)
農作物名 | 病害虫名 | 予想発生量 |
水稲 | いもち病 | □~○ |
縞葉枯病 | □ | |
イネミズゾウムシ | □ | |
ニカメイガ | △ | |
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ) | □ | |
イネアオムシ(フタオビコヤガ) | □~△ | |
ぶどう(デラウエア) | べと病 | □~○ |
灰色かび病 | □ | |
フタテンヒメヨコバイ | □ | |
みかん | 黒点病 | □~○ |
そうか病 | □ | |
ミカンハダニ | □ | |
もも | せん孔細菌病 | □~○ |
いちじく | アザミウマ類 | ○ |
果樹類 | 果樹カメムシ類 | □ |
なす | 灰色かび病 | △ |
すすかび病 | □ | |
うどんこ病 | □~○ | |
ミナミキイロアザミウマ | □~△ | |
ミカンキイロアザミウマ | □ | |
トマト |
灰色かび病 | □ |
葉かび病・すすかび病 | □~△ | |
非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等) | コナガ類 | □ |
きく | 黒斑病・褐斑病 | □ |
白さび病 | □ | |
アザミウマ類 | ○ | |
野菜類 花き類 |
アブラムシ類・ウイルス病 | □~△ |
シロイチモジヨトウ | □ | |
ハモグリバエ類 | □ | |
オオタバコガ | □~○ | |
コナジラミ類 | □~△ | |
▲:少ない △:やや少ない □:並 ○:やや多い ●:多い |
5月気象予報(気象庁5月26日発表。1ヶ月予報) | |||
低い (少ない) |
平年並 | 高い (多い) |
|
気温(確率) | 20 | 30 | 50 |
降水量 | 20 | 30 | 50 |
日照時間 | 40 | 40 | 20 |
A 水稲
【いもち病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)昨年度は葉いもち及び、穂いもちの発生とも平年よりやや多かった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は多く、日照時間はやや短いと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)育苗箱において発生した場合、その箱の苗は本田に移植しない。
(2)田植後の余り苗を水田に放置しない。
(3)発生が予想される場合は、田植前に箱施用剤を処理する。
(4)密植をしない。
[メモ]
(1)日照不足、多雨で発病が多くなる。
(2)近隣府県においてQoI剤耐性菌の発生が報告されている。
QoI剤の使用は1作1回にとどめる。
QoI剤成分例:アゾキシストロビン(アミスターエイト)、メトミノストロビン(イモチエース粒剤、オリブライト250G)、オリサストロビン(嵐箱粒剤)等
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)本年は越冬虫の捕獲虫数は少なかった。
(2)近年はウイルス保毒虫率が高い状況が続いている。
(3)5月の予察灯へのヒメトビウンカの飛来は平年同様、見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)前年度発生があった地域あるいはその周辺地域では、田植前に箱施用剤を処理する。
[メモ]
(1)ヒメトビウンカは縞葉枯病を媒介する。
(2)近年、西日本で増加傾向にある。
【イネミズゾウムシ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度の発生は平年並であった。
(2)5月の予察灯への飛来は、平年と同様見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)常発地では、田植前に箱施用剤を処理する。さらに発生が多いほ場は、移植後の防除を行う。
[メモ]
(1)山間の水田は、越冬場所に恵まれて多発生しやすい。
(2)気温が高くなると、越冬地周辺から水田に移動する。
【ニカメイガ】(第1世代幼虫)
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度のほ場での発生は平年同様ほとんど見られなかった。
(2)5月の予察灯、フェロモントラップへの飛来は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)箱施用剤を処理しない場合は、7月上中旬に防除を行う。
【ジャンボタニシ】(スクミリンゴガイ)
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)昨年度のほ場での発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)水深4cm以下の浅水管理とする。
(2)桃色の卵塊は水中へ掻き落とし、成貝は拾い取り、処分する。
[メモ]
(1)田植後20日以内の苗が食害されるので、この時期の防除を徹底する。
【イネアオムシ】(フタオビコヤガ)
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度の発生はやや少なかった。
(2)近年、府内中山間部を中心に局地的に発生が多い。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
[メモ]
(1)この虫の生育適温は25~27度。
(2)多肥栽培は発生を助長する。
(3)フィプロニルを含む箱施用剤の効果は低い。
B 果樹
1 ぶどう(デラウェア)
【べと病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年同様に発生は確認されなかった。
(2)向こう1ヶ月の天候は、平年より降水量が多いと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)5月~10月に降雨が続くと発生が多くなる。
【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年同様に発生は確認されなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ハウス栽培では換気やマルチを行い、湿度を下げる。
【フタテンヒメヨコバイ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
2 みかん
【黒点病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は確認されなかった。
(2)向こう1ヶ月の天候は、平年より降水量が多く、気温が高い見込みと予報されてい る。
[防除上考慮すべき事項]
(1)枯枝が多く残っているところでは伝染源となるので、速やかに枯枝を除去する。
【そうか病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は確認されなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)伝染源となる越冬病斑は除去する。
【ミカンハダニ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)同一系統薬剤の連用を避ける。
3 もも
【せん孔細菌病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)向こう1ヶ月の天候は、平年より降水量が多い見込みと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉、果実を除去するとともに、初期防除を徹底する。
(2)風当たりの強い園では、防風ネット等を設置する。
[メモ]
(1)強風、降雨により発生が多くなる。
4 いちじく
【アザミウマ類】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)青色粘着トラップによる誘殺虫数は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生を認めたら、初期防除を徹底する。
(2)同一系統薬剤の連用を避ける。
5 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップによる誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)園地により飛来量は大きく異なる可能性があるので、園内を見回り発生及び被害状況を確認し、発生が見られる場合は速やかに薬剤防除を実施する。
C 野菜
1 なす
【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月のなすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂にならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。
【すすかび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月のなすの巡回調査では、発生は平年並だった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)病葉は早めに摘除し、ハウス外に持ち出し処分する。
(2)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には、葉の裏にもかかるようにていねいに薬剤散布を行う。
(3)QoI剤(アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル、シグナムWDG)、SDHI剤 (アフェットフロアブル、カンタスドライフロアブル、シグナムWDG)は、薬剤耐性菌を生じやすいので、1作1回程度の使用にとどめる。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)すすかび病は多湿条件下や草勢が低下したときに発生が多くなる。
【うどんこ病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)5月のなすの巡回調査では、泉州地域の一部ほ場で、発生は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
(4)QoI剤(アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル)、SDHI剤(アフェット フロアブル)は、薬剤耐性菌を生じやすいので、1作1回程度の使用にとどめる。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月のなすの巡回調査では、発生は平年並からやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実や葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する。
(2)薬剤抵抗性が生じやすいので、同一系統薬剤の連用を避け、ロ-テ-ション散布を行う。
[メモ]
(1)同一系統薬剤として、ネオニコチイド系(スタークル顆粒水溶剤・アルバリン顆粒水溶剤、ダントツ水溶剤など)、マクロライド系(アファーム乳剤、アグリメック)、スピノシン系(スピノエース顆粒水和剤、ディアナSCなど)、その他(モベントフロアブル)などがある。
【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の水なすの巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)収穫後の残さは、他作物等への発生源となるので、速やかにほ場から持ち出し処分
する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどは、作物を加害するだけでなくウイルス病(TSWV)を、きく、なす、トマト、ピーマンなどの作物に媒介する。
2 トマト
【灰色かび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)ハウストマトの5月の巡回調査では、発生は平年並だった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂にならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一系統薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。
【葉かび病・すすかび病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)ハウストマトの5月の巡回調査では、発生は平年より並からやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)施設栽培においては換気に努め、マルチを行う等、湿度を低く保つ。
(2)下~中位葉に発生しやすいので、発病を認めたら早めに摘葉し、病葉はハウス外に持ち出し処分する。
(3)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には直ちに防除を行う。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
3 非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等)
【コナガ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップ、予察灯での誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期に防除を行う。
D 花き
1 きく
【黒斑病・褐斑病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年よりやや多いと予測されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)降雨が多いと発生が多い。
【白さび病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年と同様ほとんど見られなかった。
【アザミウマ類】
[予報内容] 発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)5月のきくの巡回調査では、発生は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)膜割れ(蕾から着色した花弁が見える前)前後の防除を徹底する。
E 野菜・花き類
【アブラムシ類】【ウイルス病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並からやや少なかった。
(2)黄色水盤での誘殺数は、平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ウイルス病を媒介するアブラムシ類は、少発生時の防除を徹底する。
(2)施設栽培では、開口部をネットで被覆し、成虫の飛来を防止する。
(3)ほ場周辺の除草に努める。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ウイルス病に感染していない無病苗を確保する。
(6)ウイルス病が発病した株は、蔓延防止のため、抜き取りまたは株元から切り取って、ほ場外に持ち出し処分する。
[メモ]
(1)アブラムシ類が媒介するウイルス病には、キュウリモザイクウイルス(CMV)などがある。
【シロイチモジヨトウ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップでの5月の誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)の防除を徹底する。
(2)黄色灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハモグリバエ類】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害葉、残さはほ場から持ち出し処分する。
(2)しゅんぎくや大阪しろな等の軟弱野菜では、収穫後に地表面をビニール被覆し、太陽熱により土中の蛹を殺すことで、次作の被害を軽減できる(4~10月の間可能)。
【オオタバコガ】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップでの5月の誘殺虫数は、平年並からやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害のあった果実や新芽は早急に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(2)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合以下)で被覆し、成虫の侵入を防止する。
(3)黄色灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【コナジラミ類】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月のなす巡回調査ではハウス、露地ともに発生は平年よりやや少なかった。
(2)トマトハウスの黄色粘着トラップの誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除に努める。
(2)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を防止する。
(4)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ほ場周辺の除草にも努める。
[メモ]
(1)タバココナジラミは、作物を加害するだけでなくウイルス病(TYLCV)を媒介する。
●大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・ホームページ
(平成23年4月1日より大阪府病害虫防除所から組織名変更)
http://www.jppn.ne.jp/osaka/
防除指針を掲載しています。
●病害虫発生情報メールサービス
申込先 大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・メールサービス担当
TEL 072-957-0520
http://www.jppn.ne.jp/osaka/mailservice/mailservicemousikomi.html
<情報料無料、受信に要する通信費は自己負担です>
年間約15件の病害虫情報を電子メールで送付します。
●おおさかアグリメール
申込先 大阪府立環境農林水産総合研究所
経営企画室推進グループ
おおさかアグリメール受付担当
TEL 072-979-7070
http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/nourin/agrimail/
最新の農業情報をあなたの携帯電話にお届けします。
(受信に要する通信費は自己負担です)
●Web版大阪府園芸植物病害虫図鑑
「ひと目でわかる花と野菜の病害虫」
http://osaka-ppa.jp/zukan/index.php
(大阪府植物防疫協会)