予報第3号(7月)


         農推第 1630号
                              平成28年7月1日


 関係各位



                             大阪府環境農林水産部農政室長

             病害虫発生予察情報について

 標記について次のとおり発表したので送付します。

             病害虫発生予報第3号(7月)

                             

農作物名 病害虫名 予想発生量
水稲 いもち病
縞葉枯病
セジロウンカ
ニカメイガ(ニカメイチュウ)
イネアオムシ(フタオビコヤガ) □~△
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ) □~
ぶどう(デラウエア) べと病 □~
灰色かび病
フタテンヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
みかん 黒点病 □~
そうか病
アブラムシ類 □~△
ミカンハダニ
もも せん孔細菌病 □~
いちじく アザミウマ類
果樹類 果樹カメムシ類
なす すすかび病 □~
うどんこ病 □~
褐色腐敗病
褐紋病 □~△
ミナミキイロアザミウマ □~△
非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等) コナガ類
きく 黒斑病・褐斑病
白さび病
野菜類
花き類
アブラムシ類・ウイルス病 □~△
ミカンキイロアザミウマ □~△
シロイチモジヨトウ
ハスモンヨトウ
オオタバコガ
ハダニ類
ハモグリバエ類 □~△
コナジラミ類
▲:少ない △:やや少ない □:並 :やや多い :多い

 

6月気象予報(気象庁6月23日発表。1ヶ月予報)
低い
(少ない)
平年並 高い
(多い)
気温(確率) 20 40 40
降水量 20 40 40
日照時間 40 40 20

A 水稲
【いもち病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)昨年度の葉いもち及び穂いもちの発生は、平年よりやや多かった。
(3)向こう1ヶ月の降水量は平年よりやや多く、気温はやや高いと予報されている。

[防除上考慮すべき事項]
(1)置き苗が発生源になるので、早く処分する。
(2)近年、他府県においてQoI剤耐性菌の発生が報告されている。QoI剤の使用は1作
   1回にとどめる。
  QoI剤成分例:アゾキシストロビン(アミスターエイト)、オリサストロビン(嵐粒剤)、
 メトミノストロビン(イモチエース粒剤、オリブライト250G)、等
[メモ]
(1)低温、多雨、日照不足、密植、窒素過多で発病が多くなる。

【縞葉枯病(ヒメトビウンカ)】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)ヒメトビウンカの予察灯への飛来は平年と同様に見られなかった。
(2)本年は越冬虫の捕獲虫数は少なかった。しかし、近年はウイルス保毒虫率が高い
状況が続いている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生が多いほ場では、ヒメトビウンカの防除を徹底する。
[メモ]
(1)縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介される。6月下旬~7月上旬の感染が多い。
(2)生育初期に発病すると葉が「こより状」に巻いて垂れ下がり、その後枯れる。
(3)近年、西日本で増加傾向にある。

【セジロウンカ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)セジロウンカの予察灯への飛来が、平年とほぼ同じ時期(6月20日頃)に確認された。
また、飛来数は、ほぼ平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)異常飛来があった場合は、急激に密度が高まる恐れがあるので、今後のメールサー ビス等の
病害虫発生予察情報に注意する。

【ニカメイチュウ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)予察灯、フェロモントラップへの飛来は平年と同様に見られなかった。
(2)昨年度の予察ほ場での発生は平年同様ほとんど見られなかった。

【イネアオムシ(フタオビコヤガ)】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度、巡回調査での発生は平年よりやや少なかった。
(2)6月の巡回調査では、発生は平年と同様に認められなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。

【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)植物防疫協力員から、平年並からやや多い発生が見られているとの報告があった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)水深4cm以下の浅水管理をする。
(2)田植後20日以内の苗が食害されるので、この時期の防除を徹底する。
(3)桃色の卵塊を水中へ掻き落とし、成貝は捕殺する。

B 果樹
1 ぶどう(デラウェア) 
【べと病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年同様に発生は確認されなかった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年より多いと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)5月~10月に降雨が続くと発生が多くなる。

【灰色かび病】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年より発生は少なかった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年より多い見込みと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ハウス栽培では換気やマルチを行い、湿度を下げる。

【フタテンヒメヨコバイ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。

【チャノキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は確認されなかった。
(2)黄色粘着トラップによる誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。

2 みかん
【黒点病】
[予報内容] 発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は確認されなかった。
(2)向こう1ヶ月の天候は、平年より降水量が多く、気温が高い見込みと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)伝染源となる枯枝を除去する。

【そうか病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年より多い見込みと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ほ場内の排水、通風を良くする。
(2)発病した葉や果実を取り除き、防除を徹底する。
[メモ]
(1)長雨により発生が多くなる。

【アブラムシ類】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)黄色水盤の誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。

【ミカンハダニ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)同一系統薬剤の連用を避ける。

3 もも
【せん孔細菌病】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年より多い見込みと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉、果実等を除去するとともに、初期防除を徹底する。
(2)風当たりの強い園では、防風ネット等を設置する。
[メモ]
(1)強風、降雨により発生が多くなる。

4 いちじく
【アザミウマ類】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)青色粘着トラップによる誘殺虫数は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生を認めたら、初期防除を徹底する。
(2)同一系統薬剤の連用を避ける。

5 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップによる誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)園地により飛来量は大きく異なる可能性があるので、園内を見回り発生及び
被害状況を確認し、発生が見られる場合は速やかに薬剤防除を行う。

C 野菜類
1 なす
【すすかび病】   
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、施設の一部で発生は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)病葉は早めに摘除し、ほ場外に持ち出し処分する。
(2)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には、葉の裏にもかかるように丁寧
  に薬剤散布を行う。
(3)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(4)QoI剤(アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル、シグナムWDG)、SDHI剤  (アフェットフロアブル、
カンタスドライフロアブル、シグナムWDG)は、薬剤耐性菌を生じやすいので、1作1回程度の使用にとどめる。
[メモ]
(1)多湿条件下や草勢が低下したときに発生が多くなる。

【うどんこ病】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、施設の一部で発生は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
(4)QoI剤(アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル、シグナムWDG)、
SDHI剤 (アフェットフロアブル)は、薬剤耐性菌を生じやすいので、1作1回程度の使用にとどめる。
[メモ]
(1)日照不足、乾燥条件下で多発する。

【褐色腐敗病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]            
(1)6月の巡回調査では、発生は平年と同様に見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病した枝や果実は、直ちにほ場外へ持ち出して処分する。
(2)初期防除が重要なので、発病を認めた場合にはすぐに防除を行う。
(3)降雨による泥のはね上がりを防止するために、マルチや敷きわらを行う。

【褐紋病】
[予報内容] 発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]            
(1)6月の露地なす巡回調査では、発生はここ数年の平均よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ほ場内の排水を良好にし、密植を避け、チッソ肥料が過剰にならないよう注意する。
(2)胞子の飛散により発生が拡大するので、発病した葉や果実、枝は直ちにほ場外へ
持ち出して処分する。
[メモ]
(1)種子伝染するので、自家採種を行う場合は十分に注意する。

【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実や葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する。
(2)薬剤抵抗性が生じやすいので、同一系統薬剤の連用を避け、ロ-テ-ション散布を行う。
(3)葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する。
[メモ]
(1)同一系統薬剤として、ネオニコチイド系(スタークル顆粒水溶剤・アルバリン顆粒
水溶剤、ダントツ水溶剤など)、マクロライド系(アファーム乳剤、アグリメック)、
スピノシン系(スピノエース顆粒水和剤、ディアナSCなど)、その他(モベントフロアブル)
などがある。

2 非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等)
【コナガ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]                     
(1)フェロモントラップ、予察灯での誘殺虫数はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。

D 野菜・花き類
【アブラムシ類】【ウイルス病】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月のなす、きく、さといもの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
(2)6月の黄色水盤による誘殺虫数は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)少発生時の防除を徹底する。
(2)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)アブラムシ類は多種類のウイルス病を媒介する。

【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の露地水なすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)収穫後の残さは、他作物等への感染源となるので、速やかにほ場から持ち出し処分する。
(2)同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(3)薬剤散布は葉の裏にまでかかるように丁寧に行う。
(4)ビニル等で畝をマルチングし、アザミウマが土中で蛹化するのを防ぐ。
(5)きくでは膜割れ(蕾から着色した花弁が見える前)前後の防除を徹底する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどは、作物を加害するだけでなく
ウイルス病(TSWV)を、きく、なす、トマト、ピーマンなどの作物に媒介する。

【シロイチモジヨトウ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。

【ハスモンヨトウ】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は、平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。

【オオタバコガ】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップへの誘殺虫数は、6月は平年よりやや多かった。
(2)6月の巡回調査では露地なすでは、発生は平年よりやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害のあった新芽や果実は早期に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(2)施設では、開口部を寒冷しゃ等(5mm目合で可)で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(3)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。

【ハダニ類】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の露地なす、さといもの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
(2)同一系統薬剤の連用をしない。
[メモ]
(1)高温、乾燥条件で多発する。

【ハモグリバエ類】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査の露地なすでは、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害葉や残さは、ほ場から持ち出し、ビニルで覆い、寄生幼虫を太陽熱で蒸し殺す。
(2)しゅんぎくや大阪しろな等の軟弱野菜のハウス栽培では、収穫後に地表面をビニル
被覆し、太陽熱により土中の蛹を殺すことで、次作の被害を軽減できる(4~10月の間可能)。

【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生はやや少なかった。
トマトハウスの黄色粘着トラップの誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除に努める。
(2)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(4)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ほ場周辺の除草にも努める。
[メモ]
(1)タバココナジラミは、作物を加害するだけでなくウイルス病(TYLCV)を媒介する。

E 花き類
1 きく
【黒斑病・褐斑病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年よりやや多く、曇りや雨の日が多いと予測されている。
[メモ]
(1)降雨が多いと発生が多い。

【白さび病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年同様見られなかった。
(2)向こう1ヶ月の降水量は、平年よりやや多く、曇りや雨の日が多いと予測されている。


●大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・ホームページ
(平成23年4月1日より大阪府病害虫防除所から組織名変更)
  http://www.jppn.ne.jp/osaka/
  防除指針を掲載しています。
●病害虫発生情報メールサービス
 申込先 大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ・メールサービス担当
 TEL 072-957-0520       
http://www.jppn.ne.jp/osaka/mailservice/mailservicemousikomi.html
<情報料無料、受信に要する通信費は自己負担です>
 年間約15件の病害虫情報を電子メールで送付します。
●おおさかアグリメール
 申込先 大阪府立環境農林水産総合研究所
     経営企画室推進グループ
     おおさかアグリメール受付担当
 TEL 072-979-7070 
 http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/nourin/agrimail/
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 (受信に要する通信費は自己負担です)
●Web版大阪府園芸植物病害虫図鑑
「ひと目でわかる花と野菜の病害虫」
http://osaka-ppa.jp/zukan/index.php
  (大阪府植物防疫協会)

                        

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