薬剤耐性灰色かび病菌は1979年に初めてほ場で出現し現在に至っている。耐性菌に有効な薬剤が登録されても、数年でその薬剤に耐性菌が発達し、防除上困難を極めている。なお、最近開発されたフルピカフロアブル、セイビアーフロアブル20、ベルクート水和剤、パスワード顆粒水和剤は現時点で耐性菌の発生は確認されていない。
○系統 | 主な登録薬剤 | 予防治療* | 耐性菌の種類** | |||||
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SSR | SRR | RSS | RRS | RSR | RRR | |||
有機塩素系 (保護殺菌剤) |
ダコニール1000 | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ベンゾイミダゾール系 | トップジンM水和剤 | 予・治 | ○ | ○ | × | × | × | × |
ベンレート水和剤 | ||||||||
ジカルボキシイミド系 | スミレックス水和剤 | 予・治 | ○ | × | ○ | × | ○ | × |
ロブラール水和剤 | ||||||||
ジエトフェンカルブ系 +ベンゾイミダゾール系 | ゲッター水和剤 | 予・治 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
ジエトフェンカルブ系 +ジカルボキシイミド系 | スミブレンド水和剤 | 予・治 | ○ | × | ○ | ○ | ○ | × |
抗生物質系 | ポリオキシンAL乳剤 | 予・治 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
抗生物質系+グアニジン系 | ポリベリン水和剤 | 予・治 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ダイアメリットDF | ||||||||
グアニジン系 | ベルクート水和剤 | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
フェニルピロール系 | セイビアーフロアブル20 | 予・治 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
アニリノピリミジン系 | フルピカフロアブル | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
スカーラフロアブル | ||||||||
ストロビルリン系 | アミスター20フロアブル | 予・治 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ストロビードライフロアブル | ||||||||
ヒドロキシアニリド系 | パスワード顆粒水和剤 | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ヒドロキシアニリド系+フェニルピロール系 | ジャストミート顆粒水和剤 | 予・治 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ヒドロキシアニリド系+グアニジン系 | ダイマジン | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
トリアジン系 | トリアジン水和剤50 | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
生物農薬 | ボトキラー水和剤 | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エコショット | ||||||||
ボトピカ水和剤 | ||||||||
アニリド系 | カンタスドライフロアブル | 予・治 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
* 予防治療: 予:予防効果を持つ剤、 治:治療効果を持つ剤、 予・治:予防と治療効果を持つ剤
** 耐性菌の種類:左から順にベンズイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、ジエトフェンカルブ系に対する感受性、耐性を示す。
例)RSR:ベンズイミダゾール系に耐性、ジカルボキシイミド系に感受性、ジエトフェンカルブ系に耐性すなわち、ゲッター水和剤は効かないが、スミレックス水和剤やスミブレンド水和剤、フルピカフロアブル、セイビアーフロアブル20等は有効であることを示す。
*** 作物・灰色かび病に登録のある薬剤の中から、異なる系統の薬剤を輪番使用し、耐性の発達を防ぐ。
上記の表を参考に異なる系統の薬剤でローテーション散布を行う。