[参考]2 毒物、劇物の判定基準について
毒物劇物の判定基準の改定について 平成29年6月13日
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知より抜粋
1)毒物劇物の判定基準
毒物劇物の判定は、動物における知見、ヒトにおける知見、又はその他の知見に基づき、当該物質の物性、化学製品としての特質等をも勘案して行うものとし、その基準は原則として次のとおりとする。
(1)動物における知見
@ 急性毒性
原則として、得られる限り多様な暴露経路の急性毒性情報を評価し、どれか一つの暴露経路でも毒物と判定される場合には毒物に、一つも毒物と判定される暴露経路がなく、どれか一つの暴露経路で劇物と判定される場合には劇物と判定する。
(a)経口 毒物:LD50 が50mg/kg以下のもの
劇物:LD50 が50mg/kgを越え300mg/kg以下のもの
(b)経皮 毒物:LD50 が200mg/kg以下のもの
劇物:LD50 が200mg/kgを越え1,000mg/kg以下のもの
(c)吸入 毒物:LC50 が500ppm(4hr)以下のもの
(ガス) 劇物:LC50 が500ppm(4hr)を越え2,500ppm(4hr)以下のもの
吸入 毒物:LC50 が2.0mg/L(4hr)以下のもの
(蒸気) 劇物:LC50 が2.0mg/L(4hr)を越え10mg/L(4hr)以下のもの
吸入 毒物:LC50 が0.5mg/L(4hr)以下のもの
(ダスト、ミスト) 劇物:LC50 が0.5mg/L(4hr)を越え1.0mg/L(4hr)以下のもの
(d)その他
A皮膚に対する腐食性
劇物:最高4時間までの暴露の後試験動物3匹中1匹以上に皮膚組織の破壊、すなわち、表皮を貫通して真皮に至るような明らかに認められる壊死を生じる場合
B眼等の粘膜に対する重篤な損傷
眼の場合
劇物:ウサギを用いたDraize試験において、少なくとも1匹の動物で角膜、虹彩又は結膜に対する、可逆的であると予測されない作用が認められる、または、通常21日間の観察期間中に完全には回復しない作用が認められる
または試験動物3匹中少なくとも2匹で、被験物質滴下後24 、48 及び72 時間における評価の平均スコア計算値が角膜混濁≧3または虹彩炎>1.5で陽性応答が見られる場合。
なお、上記のほか次に掲げる項目に関して知見が得られている場合は、当該項目をも参考にして判定を行う。
イ 中毒徴候の発現時間、重篤度並びに器官、組織における障害の性質と程度
ロ 吸収・分布・代謝・排泄動態・蓄積性及び生物学的半減期
ハ 生体内代謝物の毒性と他の物質との相互作用
ニ 感作の程度
ホ その他
(2)ヒトにおける知見
ヒトの事故例等を基礎として毒性の検討を行い、判定を行う。
(3)その他の知見
化学物質の反応性等の物理化学的性質、有効なin vitro試験等における知見により、毒性、刺激性の検討を行い、判定を行う。
(4)上記(1)、(2)又は(3)の判定に際しては次に掲げる項目に関する知見を考慮し、例えば、物性や製品形態から投与経路が限定されるものについては、想定しがたい暴露経路については判定を省略するなど現実的かつ効率的に判定するものとする。
イ 物性(蒸気圧、溶解度等)
ロ 解毒法の有無
ハ 通常の使用頻度
ニ 製品形態
(5)毒物のうちで毒性が極めて強く、当該物質が広く一般に使用されるか又は使用されると考えられるものなどで、危害発生の恐れが著しいものは特定毒物とする。
2)毒物劇物の製剤の除外に関する考え方
以下略
9 混合剤の使用について
混合剤を使用する場合には、使用単剤と同一成分の総使用回数に注意する。
10 農薬の系統について
農薬は、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、植物成長調整剤等の大きな分類に加え、化学構造や作用の特徴から複数の系統に分類される。同一作用点・作用機構(RACコードにて区分される)の薬剤を続けて使用すると、病害虫に農薬耐性がついて効果が低下する傾向があり、系統によっては顕著に現れる場合がある。薬剤効果の低下を回避する点からも、RACコードの異なる農薬を輪番(ローテーション)散布する必要がある。
次項から別表「農薬の系統について(RACコードによる分類)」を掲載しているので、参考にすること。