斑点米カメムシ類が、6月中旬以降、杉、桧林近縁のイネ科の牧草地や雑草地で多数見受けられています。
今後、水田への飛来が激増し、玄米品質が低下するおそれがありますので十分注意して下さい。
作 物 名:水 稲
病害虫名:斑点米カメムシ類(クモヘリカメムシ・ホソハリカメムシ)
1 発生予想 発生量 多 い
発生地域 全 域(昨年多発した塩谷、南那須、芳賀、上都賀地域は特に注意)
2 根 拠
(1)7月上旬:昨年多発した地域のイネ科牧草地や雑草地で、多数見受けられた。
(2)7月中旬:山間地域等における牧草地での20回振りすくい取り調査では、1カ所当たりの平
均すくい取り頭数がクモヘリカメムシ140.1頭、ホソハリカメムシ4.9頭で平年に比べ多かった。
※ 平年:クモヘリカメムシ16.3頭、ホソハリカメムシ2.0頭。
(3)7月中旬:通常、この時期に水田で採集されることはほとんどないが、本年は78ほ場中4
ほ場で確認された。
(4)昨年、斑点米カメムシ類の発生は平年より多く、本年の冬期間は暖冬傾向で経過したことから、
越冬虫の減少量は少なかったと推察される。
(5)7月14日発表の気象予報によると、向こう1ヶ月の平均気温は平年より高く、降水量が少ない
とのことであり、加害並びに増殖に好適な条件になると予想される。
表1 7月上旬における斑点米カメムシ類の牧草地・雑草地での生息状況
(頭)
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月日
|
調査地点
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調査地点の概要
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クモへリ |
ホソハリ |
調査方法
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成虫 |
幼虫 |
成虫 |
幼虫 |
7/3
7/4
7/5
7/5
7/6
7/6
7/7
7/7
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矢板市山田
小川町恩田
烏山町興野
小川町白久
茂木町小山
茂木町小山
黒羽町寒井
塩谷町田所
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牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
雑草地(休耕田)
雑草地(休耕田)
牧草地(イタリアンライグラス)
雑草地(エノコログサ)
|
10
35
57
4
9
1
1
306
|
0
0
0
0
0
0
0
0
|
0
5
4
18
2
1
5
0
|
0
0
0
0
0
0
0
0
|
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
10回振り |
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表2 7月中旬における斑点米カメムシ類の牧草地・雑草地及び水田での生息状況
(頭)
月日
|
調査地点
|
調査地点の概要
|
クモヘリ |
ホソハリ |
調査方法
|
成虫 |
幼虫 |
成虫 |
幼虫 |
7/13
7/17
7/18
|
益子町塙
那須町沼野井
黒磯市前弥六
黒羽町寒井
矢板市山田
塩谷町玉生
塩谷町田所
氏家町蒲須坂
高根沢町太田1
高根沢町太田2
今市市小林
粟野町下粕尾1
粟野町下粕尾2
粟野町下粕尾3
喜連川町上河戸南那須町岩子
南那須町岩子
茂木町小山
茂木町小山 |
雑草地(イヌビエ)
水田
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
雑草地(エノコログサ・イヌビエ
雑草地(エノコログサ)
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
雑草地
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
牧草地(イタリアンライグラス)
水田
水田畦畔(エノコログサ)
水田
雑草地
水田 |
200
0
0
0
67
0
100
42
0
3
1
162
378
609
7
5
1
516
1 |
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0 |
40
1
1
2
2
4
20
7
5
5
0
3
3
16
1
0
3
0
36 |
5
0
0
1
0
0
−
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7 |
達観
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
達観
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り
20回振り |
3 対 策
(1)出穂の早い水稲は被害が集中しやすいので、飛来が認められた場合は防除を徹底する。また、
晩生品種は8月下旬の乳熟期以降に新成虫の飛び込みも考えられるので注意する。
(2)出穂前後の畦畔雑草の除草は、水田ほ場内へカメムシ類の移動を促し逆効果となる場合がある
ので、カメムシが多数確認された場合は薬剤防除を行った後に除草を行う。
(3)斑点米カメムシ類は出穂期以降に水田への飛来のピークを迎えるので、その時期を的確に捉え
て防除を行う。また、斑点米の発生は主に幼虫が原因となるので、幼虫密度を下げることを最大
目標に防除を行う。
[防除時期]
@出穂期〜穂ぞろい期
(越冬成虫の加害産卵) : 飛来が見られた場合は、この2回の防除が必要
A乳熟期(幼虫の加害)
B糊熟期(傾穂期) :多発した場合は、この時期の追加防除が必要。
(終齢〜新成虫の加害)
上記の時期に以下の薬剤等で10a当たり、粉剤は3s、液剤は100〜150リットル
散布する。発生の多い場合は追加散布を行う。
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薬 剤 |
濃 度 |
適正使用基準 |
スミチオン粉剤2DL |
− |
14/4 |
スミバッサ粉剤(魚) |
− |
14/4 |
スミチオン乳剤 |
1,000倍 |
21/4 |
ディプティレクス乳剤(劇) |
500〜1,000倍 |
14/4 |
ディップバッサ乳剤(劇・魚) |
700〜1,000倍 |
14/4 |
トレボンEW(蚕) |
1,000倍 |
21/3 |
MR.ジョーカーEW(蚕) |
2,000倍 |
14/2 |
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※適正使用基準:使用可能収穫前日数/使用可能時期までの散布可能回数