栃木県病害虫発生予察予報 栃木県農業環境指導センター
平成12年度第2号(平成12年5月29日発表)
予想期間:5月下旬〜6月下旬
1 いもち病(葉いもち)
(1)発生予想 発生時期:やや早い 発生量:やや多い
(2)根 拠 ・今後の気象予報は発生に適している。
(3)対 策 ・取り置き苗は発生源になりやすいので早急に処分。
・本田初発の1週間頃前までに粒剤を散布(県の初発平年時期
は6月20日頃)。発生の多いほ場ではカスミン、ブラエスなど
治療効果のある薬剤を散布。
(4)備 考 ・20℃前後で弱い連続降雨のあるとき感染の好適条件となるた
め、常発地では特に注意。
・感染好適日の情報は逐次、各農業振興事務所に連絡予定。
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2 イネミズゾウムシ
(1)発生予想 発生量:やや少ない →
(2)根 拠 ・5月1〜4半旬の予察灯への飛来数はやや少なかった。
・定点調査によると、5月3、4半旬の発生量はやや少なかった。
・各地の発生情報。
(3)対 策 ・移植2週間後に成虫が2株に1頭以上発生しているとき(要防除
水準を超えているとき)は、粒剤(トレボン、シクロパック、シ
クロサールUなど)を水面施用。
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3 ニカメイチュウ(越冬世代成虫)
(1)発生予想 発生時期:ややおそい(発蛾最盛日) 発生量:やや少ない →
(2)根 拠 ・5月1〜5半旬に予察灯への飛来は見られなかった。
・越冬量は少なかった。
(3)対 策 ・早植栽培では、発蛾最盛日7〜14日後に粒剤、または同10
〜14日後に乳剤か粉剤を散布(普通植栽培の散布時期は移植日
後の日数)。
(4)備 考 ・発蛾最盛日の平年月日 (宇都宮)6月14日 (栃木)6月
2日
・発蛾最盛日の情報は逐次、各農業振興事務所に連絡予定。
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4 いちご炭疽病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根 拠 ・昨年の発生は平年並。
・今後の気象予報は感染にやや適している。
(3)対 策 ・育苗には、雨よけ、ポット、排水対策、チューブ潅水などを行う。
・育苗期にキノンドーフロアブル、ベルクート水和剤などをていね
いに散布。
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5 露地野菜・花きのアブラムシ類
(1)発生予想 発生量:平年並 ↑
(2)根 拠 ・黄色水盤への誘殺数はやや少ない。
・巡回調査によると、現在、全般に発生量はやや少ない。
・今後の気象予報は発生にやや適している。
(3)対 策 ・定植時の粒剤施用。
・抵抗性の出現を防ぐため、薬剤散布は系統を変えながら行う。
(4)備 考 ・アブラムシ類はウイルス病の病原(CMVなど)を伝搬するので
早めに防除することが大切。
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6 ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:やや多い →
(2)根 拠 ・フェロモントラップへの誘殺数は5月1半旬以降平年より多い。
・前年の発生は多かった。
・今後の気象予報は発生にやや適している。
(3)対 策 ・薬剤は若齢幼虫のうちに散布。
・薬剤抵抗性の発現を防止するため系統の異なる薬剤をローテーシ
ョン散布。
(4)備 考 ・性フェロモン剤による大量誘殺は、発生量の少ない時期に大面積
まとめて実施すると効果的。
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7 なし黒星病
(1)発生予想 発生時期:やや早い 発生量:平年並 ↑
(2)根 拠 ・巡回調査によると、現在、やや少ない発生である。
・今後の気象予想が発生にやや適しており、今後発生が増加すると
思われる。
(3)対 策 ・罹病した葉や果実は除去し、園外で処分する。
・パルノックス水和剤、デランフロアブル、キノンドーフロアブル
などを散布。
(4)備 考 ・降雨が続くときは薬剤の散布間隔を短くする。
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8 りんご斑点落葉病
(1)発生予想 発生時期:やや早い 発生量:平年並 ↑
(2)根 拠 ・現在、一部のほ場で発生が確認されている。
・今後の気象予想が発生に適している。
(3)対 策 ・パルノックス水和剤、オーソサイド水和剤80、ベルクート水和剤
などを散布。
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9 果樹のカメムシ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根 拠 ・5月1〜5半旬の予察灯への飛来は少なかった。
・4月5半旬以降集合フェロモントラップに誘殺されてきている。
(3)対 策 ・発生を認めたら薬剤を散布。
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その他の病害虫 発生予想
○稲縞葉枯病 発生時期:平年並 発生量:少ない
昨年、発生の見られた地域では特に注意する。
○イネドロオイムシ 発生時期:平年並 発生量:やや多い
○施設野菜の灰色かび病 発生量:やや多い ↑
○コナガ 発生量:やや少ない →
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→、↑、↓は、現在の発生からの増減を表す。
──────── 関東甲信地方3ヶ月気象予報(気象庁5月22日発表) ───
6月:平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。
7月:平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。
8月:平年と同様に晴れの日が多いでしょう。
○気 温 6月 高 い、7月 平年並、8月
平年並
○降水量 6月 平年並、7月 多 い、8月
平年並
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マメハモグリバエの防除
マメハモグリバエは、北米原産で我が国では1990年に静岡県ではじめて確認されました。
幼虫は葉に潜り葉肉を食害するので寄生するとキクなどでは商品価値をなくしてしまいます。
各種薬剤に対して高度の抵抗性を示すので、防除には苗による持ち込みの防止、施設の開口部
への目合1mmの寒冷紗の設置、被害植物の処分も大切です。最近では、幼虫寄生蜂であるイサ
エアヒメコバチとハモグリコマユバチを混合した製剤(マイネックス)が利用されてきていま
す。
詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086
Fax(028)626-3012