栃木県病害虫発生予察予報     栃木県農業環境指導センター  

平成12年度第3号(平成12年6月28日発表)

予想期間:6月下旬〜7月下旬


1 水稲いもち病(葉いもち)
 (1)発生予想  発生量:平年並 ↑
 (2)根  拠  ・平年並に初発生がみられた。
・現在までの感染好適日の発現は平年並
        ・今後の気象予報は発生にあまり適していない。
 (3)対  策  ・取り置き苗は発生源になりやすいので早急に処分。
        ・常発地で、箱施用を行っていない場合は、発生前に粒剤等の予防
         剤を散布する。
        ・発生の多いほ場ではカスミン、ブラエスなど治療効果のある薬剤
         を散布する。
 (4)備  考  ・20℃前後で弱い連続降雨のあるとき感染の好適条件となるた 
         め、7月の気象に十分注意する。
        ・感染好適日の情報は逐次、各農業振興事務所に連絡予定
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2 いちご炭疽病
 (1)発生予想  発生量:やや多い。↑
 (2)根  拠  ・親株での発生は平年並
        ・今後の気象予報は感染に適している。
 (3)対  策  ・育苗には、雨よけ、ポット、排水対策、チューブ潅水などを行う。
        ・育苗期にキノンドーフロアブル、ベルクート水和剤などをていね
          いに散布する。
・被害株は取り除き、ほ場外で処分する。
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3 野菜・花きのアブラムシ類
 (1)発生予想  発生量:平年並 →
 (2)根  拠  ・黄色水盤への誘殺数はやや少ない。
        ・巡回調査によると、現在、全般に発生量は平年並〜やや少ない。
        ・今後の気象予報は発生にやや適している。
 (3)対  策  ・定植時の粒剤施用
        ・薬剤抵抗性の発現を防止するため系統の異なる薬剤をローテーシ
         ョン散布する。
 (4)備  考  ・アブラムシ類はウイルス病の病原(CMVなど)を伝搬するので
         早めに防除することが大切
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4 ハスモンヨトウ
 (1)発生予想  発生量:やや多い ↑
 (2)根  拠  ・フェロモントラップへの誘殺数は平年並
        ・前年の発生は多かった。
        ・今後の気象予報は発生に適している。
 (3)対  策  ・薬剤は若齢幼虫のうちに散布する。
        ・薬剤抵抗性の発現を防止するため系統の異なる薬剤をローテーシ
         ョン散布する。
 (4)備  考  ・さといもでの発生に注意する。
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5 なし黒星病

 (1)発生予想  発生量:やや少ない →
 (2)根  拠  ・巡回調査によると、現在、やや少ない発生である。
        ・今後の気象予想が発生にあまり適していない。
 (3)対  策  ・罹病した葉や果実は除去し、園外で処分する。
        ・ベルクート水和剤、キノンドーフロアブルなどを散布する。
 (4)備  考  ・降雨が続くときは薬剤の散布間隔を短くする。
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6 りんご斑点落葉病
 (1)発生予想  発生量:やや多い ↑
 (2)根  拠  ・巡回調査によると、現在、平年並の発生がみられる。
        ・今後の気象予想が発生に適している。
 (3)対  策  ・オーソサイド水和剤80、ベルクート水剤和、デランフロアブルな
         どを散布する。
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7 果樹のカメムシ類
 (1)発生予想  発生量:やや多い ↑
 (2)根  拠  ・予察灯への飛来は平年並
・ひのきの毬果数が多く,新成虫の発育に適している。
 (3)対  策  ・発生を認めたら薬剤を散布する。
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その他の病害虫     発生予想
 ○稲縞葉枯病    発生量:少ない →
 ○紋枯病       発生量:平年並
 ○イネドロオイムシ 発生量:平年並 →
 ○トマト葉かび病  発生量:平年並
 ○コナガ      発生量:やや少ない →
 ○きく白さび病    発生量:やや多い →
 ○りんどう葉枯病   発生量:やや多い →
 
 →、↑、↓は、現在の発生からの増減を表す。
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斑点米カメムシ類の現在の状況について
 
 昨年、被害の大きかった地域を中心に越冬地から水田
飛来までの調査を行っていますので、調査結果概要の中
間を報告いたします。
現在までの調査結果概要
 「ホソハリカメムシ」
・5月中旬:杉、檜林周辺のイネ科植物や牧草地で少ないながら越冬世代成虫飛来確認
・5月下旬:ほぼどの地点にも雑草地や水田畦畔イネ科植物、イネ科 牧草地に飛来確認
・6月上〜中旬:交尾、産卵を確認(上記の時期に採取したものを飼育)
ふ化した幼虫は畦畔雑草防除や牧草の収穫などにより、水稲の出穂前にある程度、個体数が減るものと考えられる。しかし、手つかずの雑草地などが、第一世代成虫の飛来源になることも考えられる。
「クモヘリカメムシ」(昨年の斑点米発生の主犯格)
・5月中の調査では確認できなかった。
・6月7日に山間地林道縁のイネ科植物を100回すくい取りで越冬世代成虫を1頭捕獲
・その後、現在まで確認はされていない。
現段階の推測では、他のカメムシと比べ、越冬地から水田地帯への移動時期が遅いものと考えられる。7月以降の気温の上昇とともに、
出穂しているイネ科植物(牧草、エノコログサなど)を渡り歩きながら、水稲の出穂
直後、水田に進入するものと考えられる。
────── 関東甲信地方3ヶ月気象予報(気象庁6月20日発表) ─────
 
  7月:曇りや雨の日が多いですが、晴れてむし暑い時期があるでしょう。梅雨明
    け後は晴れて暑い日が多いでしょう。
  8月:晴れて暑い日が多いでしょう。気温は高く、降水量は少ないでしょう。
  9月:平年と同様に晴れの日が多いですが、その後は曇りや雨の日が多いでしょ
    う。
  ○気 温  7月 高 い、8月 高 い、9月 平年並
  ○降水量  7月 平年並、8月 少ない、9月 平年並
 

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
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