植物防疫ニュース(速報)  

平成13年度No.5  (平成13年8月2日発表)

                                           栃木県農業環境指導センター   


               果樹カメムシ類の発生依然として多い

 

 今年は夏以降、果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、アオクサカメムシ等)の果樹
園への飛来が多くなると予想されますので、防除には細心の注意をはらいましょう。

1 発生の現況
 (1)主要3種とも予察灯への誘殺数が平年より多い。
    農業試験場(宇都宮市)における7月第1〜第5半旬誘殺数累計(頭)

 種 類  平成13年   平   年          備        考
チャバネアオカメムシ      373     224.7 13年7月第3半旬に誘殺ピーク
クサギカメムシ      154      85.0 13年7月第5半旬現在誘殺増加中
アオクサカメムシ      219      17.9 13年7月第5半旬現在誘殺増加中


 
(2)チャバネアオカメムシでは、集合フェロモントラップへの誘殺数が前年より非常に多い。
    各地の7月第1〜第5半旬におけるチャバネアオカメムシ誘殺数累計(頭)

 調査地点    平成13年    平成12年           備       考
農業試験場
(宇都宮市)
      564      60  
芳賀町稲毛田      3295       79 13年7月第5半旬現在誘殺増加中


 参考:病害虫防除員からの情報によると、7月3日〜7月23日におけるチャバネアオ カメムシ誘殺数累
   計は、矢板市272頭、宇都宮市1135頭、佐野市312頭であった。

2 発生・誘殺の根拠と今後の発生予想
 (1)チャバネアオカメムシでは、越冬世代成虫が多く、4〜5月のトラップへの誘殺が多かった(5月24
  日付で注意報発表)。
     第一世代と思われる個体は5月下旬以降に発生し、山林樹木の果実等を吸汁して発育し、個体
  数が多くなった。そして、成虫が7月以降にトラップに誘殺され、急増した。
    これは、5〜7月は、平年より気温が高く、降水量は概ね平年並に推移したので、カメムシ類の発
  育には好適であったためと考えられる。
 (2)今後、8月は、気温が高く、降水量は平年並と予想されているので、カメムシ類の発育には適してい
  る。
 (3)チャバネアオカメムシは、主要な寄主植物であるスギ・ヒノキの結実量が少ないため、果樹園への多
  数の飛来が懸念される。
 (4)卵−成虫の発育期間は、チャバネアオカメムシでは夏期に30日前後、クサギカメムシでは24℃で
    45日であるので、第二世代成虫が8月下旬〜9月上旬に多発し、果樹園などへの飛来を経て越冬に
    入ると考えられる。

3 防除対策
 (1)早期発見・早期防除に努める。山林に隣接した果樹園では、発生が多い傾向があるので注意する。
 (2)気温が高い日は、カメムシ類の活動が活発になるので注意する。
 (3)多目的防災網は、すき間がないようにしておく。
 (4)アオクサカメムシは、大豆、野菜類など広範な作物に寄生するので、果樹園に隣接するほ場での発
   生にも注意する。
 (5)果樹園で発生が認められたら、下表のいずれかの薬剤を散布する。
  ・夜行性のため、夕方か早朝に散布するのが望ましい。
  ・収穫期に入ったら合成ピレスロイド系薬剤(MR.ジョーカー水和剤を除く)を散布するようにする。ただ
      し、合成ピレスロイド系薬剤は、天敵類の密度を下げハダニ類などの発生を促進するおそれがある
      ので、使用回数をできるだけ抑える。

対 象       薬剤名 希釈倍率                         適正使用基準
な し MR.ジョーカー水和剤(ピ)  2000倍 収穫14日前まで/2回以内(蚕)
  アグロスリン水和剤(ピ)  2000倍 収穫前日まで/3回以内(蚕)
  スカウトフロアブル(ピ)  1500倍 収穫前日まで/5回以内(蚕)
  ロディー水和剤(ピ)  1000倍 収穫前日まで/2回以内(蚕)
  スミチオン水和剤40  1000倍 収穫21日前まで/6回以内
りんご MR.ジョーカー水和剤(ピ)  2000倍 収穫14日前まで/2回以内(蚕)
  スミチオン水和剤40  1000倍 収穫30日前まで/3回以内


 (ピ)は、合成ピレスロイド系薬剤。
 (蚕)の薬剤は、桑にかからないように特に注意する。

 (6)交信攪乱剤(コンフューザーPなど)は、カメムシ類に対する防除効果がないので注意する。



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