栃木県病害虫発生予察注意報  栃木県農業環境指導センター  

平成13年度第3号(平成13年7月19日発表)


 

 6月下旬以降、斑点米の原因となるクモヘリカメムシが、昨年、多発した中山間地域を中心に、牧草地やイネ科雑草地で多数見受けられています。今後、水田への飛来が激増し、玄米の品質が低下するおそれがありますので十分注意して下さい。

 

   作 物 名:水 稲

   

病害虫名:斑点米カメムシ類(クモヘリカメムシ・ホソハリカメムシ)

 
1 発生予想  発生量   多 い
       発生地域  全 域(昨年多発した塩谷、南那須、芳賀、上都賀地域は特に注意)
 
2 根  拠
 (1)7月上旬:昨年多発した地域のイネ科牧草地や雑草地で、多数見られた(表−1)。
 (2)7月中旬:牧草地での20回振りすくい取り調査では、1ほ場当たりの平均すくい取り虫数がクモヘリカメムシ69.8頭、ホソハリカメムシ7.2頭で平年に比べ多かった(表−1)。
  ※ 平年:クモヘリカメムシ16.3頭、ホソハリカメムシ2.0頭(平成5年〜平成11年の平均値)。
 (3)7月中旬:通常、この時期に水田で採集されることはほとんどないが、本年は78ほ場中3ほ場で確認された。
 (4)昨年、夏期の高温により、クモヘリカメムシの成育が進み、第2世代の発生量が増えたため、越冬虫数が多かったと推察される。
 (5)7月13日発表の気象予報によると、向こう1か月の平均気温は平年より高く、降水量が少ないとのことであり、増殖及び加害に好適な条件になると予想される。
  表−1 牧草地等での20回降りすくい取り調査結果(頭)
月日 調査地点 クモヘリ ホソヘリ 月日 調査地点 クモヘリ ホソヘリ 備考
7/9









7/10





 
矢板市山田1
矢板市山田2
矢板市山田3
矢板市山田4
小川町小川1
小川町小川2
小川町小川3
小川町小川4
南那須町岩子1
南那須町岩子2
高根沢町太田
茂木町小山1
茂木町小山2
鹿沼市下日向
粟野町下粕尾1
粟野町下粕尾2
粟野町下粕尾3
@@@@@@@@AA@AA@@@A 42.5
 5.5
17.0
44.0
 0.0
 0.0
 0.0
 6.3
47.0
23.0
 0.0
 2.0
166.0
74.0
65.0
42.0
47.0
 1.0
 2.0
 6.0
 3.0
 0.0
 5.0
 0.0
 3.7
 6.0
 4.0
 0.5
 4.0
 1.0
 3.5
 4.0
 4.0
 6.0
7/16







7/17






7/18


 
黒羽町寒井
矢板市山田1
矢板市山田2
氏家町長久保1
氏家町長久保2
高根沢町太田
今市市小林
小川町小川1
小川町小川2
小川町小川3
小川町小川4
南那須町岩子1
南那須町岩子2
茂木町小山1
茂木町小山2
鹿沼市下日向
粟野町下粕尾1
粟野町下粕尾2
粟野町下粕尾3
@@@@@@A@@@@AAAA@@@A  0.0
 0.0
 1.5
 3.5
 0.0
 5.0
856.0
 0.0
 1.0
 0.0
 1.0
30.0
40.0
83.0
134.0
367.0
276.0
77.0
168.0
 2.0
 2.5
 3.5
 3.5
 1.0
 2.5
10.0
 4.0
 7.0
 6.0
15.0
 6.0
17.0
19.0
 1.0
10.0
 9.5
 9.5
 5.0






  17ほ場   34.1  3.2
    17ほ場   69.8  7.2
  注1:※印はほ場面積が極めて小さいため、平均値に含めていない。
  注2:*印の欄は調査地の概要で@は牧草地(イタリアンライグラス)、Aは雑草地(主にエノコログサ、イヌビエなど)を表す。
 
3 対 策
 1.水田飛来前対策(畦畔雑草、休耕田、牧草地等)
 (1)水田畦畔や休耕田などで出穂しているイネ科雑草は、斑点米カメムシ類が水田に侵入するまでのつなぎの餌場や繁殖地になるので、除草対策は以下のように注意して行う。
  ・斑点米カメムシ類(クモヘリカメムシ)がみられない場合
   出穂の2週間前まで草刈りを行う。 ただし、出穂直前の草刈りは、水田ほ場内へカメムシ類(クモヘリカメムシ以外)の移動を促し、逆効果となることがある。
  ・すでに飛来のみられている場合
  殺虫剤散布を行った後に草刈りを行うと効果的である。
 
 2.本田での防除対策
 (1)出穂の早い水稲は被害が集中しやすいので、飛来が認められた場合は防除を徹底する。また、晩生品種は8月下旬の乳熟期以降に新成虫の飛び込みも考えられるので注意する。
 (2)斑点米カメムシ類は出穂期以降に水田への飛来のピークを迎えるので、その時期を的確に捉え、防除を行う。また、斑点米の発生は、主に幼虫よる加害が原因となるので、幼虫密度を下げることを目標に  防除を行う。
[防除時期]
  @出穂期〜穂ぞろい期
    越冬成虫の加害産卵  : 飛来が見られる場合は、この2回の防除が必要。
  A乳熟期〔幼虫の加害
  B糊熟期(傾穂期)      :多発した場合は、この時期の追加防除が必要。
   終齢〜新成虫の加害
   上記の時期に表−2の薬剤等で防除する。                   
 
  表−2 斑点米カメムシ類に登録のある主な薬剤一覧(本田施用剤)
薬剤名(商品名)  散布量・濃度 適正使用基準      備     考 
スミチオン粉剤2DL・3DL* 3〜4s 14/5 休耕田雑草地に登録あり
スミチオン乳剤* 1,000倍 21/5 休耕田雑草地に登録あり
スミバッサ粉剤(魚) 3〜4s 14/4              
ディプテレックス乳剤(劇) 500〜1,000倍 14/4 イタリアンライグラスのアワヨトウに登録あり
ディプバッサ乳剤(劇・魚) 700〜1,000倍 14/4  
バイジット乳剤(劇) 1,000倍 30/2  
バイバッサ粉剤DL(魚) 3〜4s 21/2  
トレボン粉剤DL(蚕) 3〜4s 7/3 休耕田雑草地に登録あり
トレボン乳剤(蚕) 2,000倍 21/3 休耕田雑草地に登録あり
トレボンEW(蚕) 1,000倍 21/3  
トレボンMC(蚕) 2,000倍 21/3  
MR.ジョーカーEW(蚕) 2,000倍 14/2  
ベストガード粉剤DL 4s 14/4  
  ※適正使用基準:収穫前日数/回以内 *印は本田期4回以内
  ※液剤は10aあたり100〜150リットル散布する。
 

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086
Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/