植物防疫ニュース

栃木県病害虫発生予察予報  栃木県農業環境指導センター  

平成13年度第4号(平成13年7月27日発表)

予想期間:7月下旬〜8月下旬

 


                            予報の根拠で、(+)は多発要因、(−)は少発要因を表す。



1 水 稲 いもち病(穂いもち)
 (1)発生予想  発生量:平年並 
 (2)根  拠  ・現在の葉いもちの発生はやや少ない。(−)
          ・穂肥の施用により、感染しやすい条件になる。(+)
                   ・今後の気象予報は気温が高く(−)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策 ・穂ばらみ期と穂ぞろい期に薬剤防除を行う。
                   〇葉いもちの発生が少ないほ場
          →予防効果の高い薬剤を施用(コラトップ、ラブサイドなど)
         ○葉いもちの発生が多いほ場
          →予防効果と治療効果の高い薬剤を施用(ブラシン、カスラブサイドなど)
 (4)備  考 ・穂ぞろい後、夕立が連続し、夜間に低温、多湿が続く場合には、穂ぞろい後7〜10日後にさらに1回薬剤防除を行う。
        ・穂いもちは発生してからでは手遅れになるので、必ず予防的に防除を行う。


2 水 稲 紋枯病
  (1)発生予想  発生量:やや多い 
  (2)根  拠   ・現在の発生は平年並。(±)
        ・今後の気象予報が発生に適している。(+)
  (3)対  策  ・7月末から8月初旬の発生株率が20%以上のほ場では、出穂から穂ぞろい期に1回の薬剤防除を行う。 
  (4)備  考   ・紋枯病は病斑が上位に進展すると減収する恐れがある。


3 水 稲 斑点米カメムシ類    (注意報第3号 平成13年7月19日発表)
 (1)発生予想  発 生 量:多 い 
         発生地域:全 域(特に、昨年の多発地域)
  (2)根  拠   ・7月中旬の牧草地でのすくい取り調査では、平年に比べ多い。(+)
        ・稲の生育が早く、出穂も早いので、水稲での繁殖に適している。(+)
        ・今後の気象予報がカメムシ類の加害、増殖に適している。(+)
  (3)対  策   ・すでに出穂している地域では、飛来が見られた場合には防除を行う。
                  ・斑点米カメムシ類は、出穂期以降に飛来のピークとなるので、飛来時期を的確に把握した防除を行う。
        ・防除時期
         ○出穂期〜穂ぞろい期(越冬成虫の加害産卵時期)
         ○乳熟期(幼虫の加害時期)
         ○糊熟期(終齢〜新成虫の加害時期):多発した場合の追加防除時期
 (4)備  考  ・斑点米の発生は主に幼虫が原因となるので、幼虫密度を下げることに心掛けて防除を行う。


4 大豆 カメムシ類
 (1)発生予想  発生量:多い 
  (2)根  拠   ・昨年の発生も多く、越冬虫数も多かった。(+)
        ・予察灯へのアオクサ・イチモンジカメムシの飛来が多い。(+)
                  ・今後の気象予報がカメムシ類の加害、増殖に適している。(+)
  (3)対  策   ・吸実性カメムシ類は、若莢が着き始める時期に成虫が飛来し、加害し産卵を行うので、発生が見られる場合には、結莢期から
                   子実肥大期に7〜10日間隔で2〜3回の防除を行う。


5 いちご 炭疽病(育苗床)
 (1)発生予想  発生量:平年並 
  (2)根  拠   ・親株での発生はやや少ない(−)。
                  ・今後の気象予報は気温が高く(+)、降水量は平年並(±)。
  (3)対  策   ・育苗には、雨よけやポットを使用し、排水対策、チューブ潅水などを行う。
        ・育苗期にキノンドーフロアブル、ベルクート水和剤等をていねいに散布する。
        ・被害株は取り除き、ほ場外で処分する。
  (4)備  考  ・処分方法は肥料袋等に詰め、口を閉じて日当たりのよい屋外に放置する。


6 いちご ハダニ類(育苗床及び苗)
 (1)発生予想  発生量:やや多い 
  (2)根  拠    ・雨よけ施設での親株での発生はやや多い。(+)
                    ・今後の気象予報は気温が高く(+)、降水量は平年並(±)。
  (3)対  策   ・発生を認めた場合は、早い段階で薬剤により防除を行う。ただし、天敵保護のため合成ピレスロイド系薬剤の使用は極力避ける。
          ・薬剤抵抗性の発現を防止するため、系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
  (4)備  考  ・苗で本ぽへ持ち込むと防除が困難になることがあるので、育苗床での防除を徹底する。


7 大豆・野菜共通 ハスモンヨトウ
  (1)発生予想  発生量:やや多い 
   (2)根  拠     ・県中部のフェロモントラップへの誘殺数は平年並。(±)
          ・今後の気象予報は気温が高く(+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・薬剤は若齢幼虫のうちに散布する。
                    ・薬剤抵抗性の発現を防止するため、系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
  (4)備  考  ・さといもでの発生に注意し、他の作物への被害を防止する。


8 果樹共通 ハダニ類
 (1)発生予想  発生量:やや多い 
  (2)根  拠   ・巡回調査では、現在、平年並の発生である。(±)
         ・今後の気象予報は気温が高く(+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・発生を認めたら、収穫前日数に注意し、適切な薬剤を散布する。
 (4)備  考  ・多発すると防除困難になるので早期発見、早期防除を心がける。


9 果樹共通 カメムシ類   (注意報第2号 平成13年5月24日発表)
 (1)発生予想  発生量:多い 
 (2)根  拠  ・予察灯への飛来は多い。(+)
                    ・スギ、ヒノキの着果数が少なく、増殖しにくい(−)が、吸汁のために果樹園に飛来しやすくなる。(+)
          ・今後の気象予報がカメムシ類の加害、増殖に適している。(+)
 (3)対  策   ・園内で発生を認めたらアグロスリン水和剤などを散布する。
          ・有袋栽培でも加害するので注意する。 
          ・収穫間際での加害もあるので多目的防災網の開口部をふさいでおく。


その他の病害虫    
 ○果菜類・きくアザミウマ類   発生量:やや多い  
 ○ねぎ黒斑病     発生量:やや多い  
  ○なすハダニ類     発生量:やや多い 



関東甲信地方3ヶ月気象予報(気象庁7月23日発表)

   8月:晴れて暑い日が多いでしょう。気温は高く、降水量は平年並でしょう。
  9月:前半は残暑が厳しいですが、後半は天気がぐずつく時期があるでしょう。気温は高く、降水量は平年並でしょう。
  10月:天気が周期的に変わるでしょう。気温は高く、降水量ともに平年並でしょう。
       
        ○気 温  8月 高 い、9月 高 い、10月 高 い 
        ○降水量 8月 平年並、9月 平年並、10月 平年並


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