栃木県病害虫発生予察予報  栃木県農業環境指導センター

平成13年度第8号(平成13年11月29日発表)

予想期間:11月下旬〜12月下旬


 

1 いちご うどんこ病
(1)発生予想    発生量:やや多い     
(2)根  拠   現在の発生は平年並。(±) 
今後の気象予報は感染にやや適している。(+) 
(3)対  策  





 

 
ハウス内が多湿にならないように、換気やかん水に注意し通風をよくする。 

 
薬剤による防除は予防を基本とし、モレスタン水和剤、フルピカフロアブル、サンヨールなどをていねいに散布する。 

 
発生の見られる場合はEBI剤、ポリオキシンAL水溶剤などを、葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。 

 
くん煙剤の使用も効果的である。 
 
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想   発生量:平年並  
(2)根  拠   現在の発生はやや少ない。(−) 
今後の気象予報は発生にやや適している。(+) 
(3)対  策  


 

 
保温開始時に下葉を除去する。また、第1果房収穫終了後に下葉除去を行う場合には、薬剤散布後に行う。 

 
発生が見られる場合は、オサダン水和剤25、ニッソラン水和剤、ピラニカEWなどをローテーション散布する。 
ハダニの発生した場所へのスポット散布でも効果的である。

 

 
第1果房収穫末期まではハダニの密度が1小葉当たり1頭以下になるように防除する。 
(4)備  考

 


 
薬剤散布にあたっては、ミツバチの安全日数を十分考慮する。(他の病害虫も同様)。 
 
3 いちご アブラムシ類
(1)発生予想   発生量:やや少ない  
(2)根  拠 
 
現在、現在の発生は少ない。(−) 
今後の気象予報が発生にやや適している。(+) 
(3)対  策 

 


 
発生がみられたら、葉裏によくかかるように、系統の異なる薬剤をローテーション散布する。 
 
4 トマト 葉かび病
(1)発生予想   発生量:やや少ない 
(2)根  拠   現在の発生は少ない。(−) 
今後の気象予報は発生にやや適している。(+) 
(3)対  策  

 
過度のかん水を避け、高温多湿にならないよう換気を十分行う。 


 
薬剤による防除は予防を基本とし、サンヨール、ベルクート水和剤などを散布する。 
 
5 施設野菜共通 オンシツコナジラミ 
(1)発生予想   発生量:平年並     
(2)根  拠 
 
現在の発生はいちご、トマトでやや少ない。(−) 
今後の気象予報は発生にやや適している。(+) 
(3)対  策




 
ハウス内への鉢物などの持込みに注意し、室内の雑草防除を徹底する。

 
発生が見られたら、いちごではモスピラン水溶剤を、トマトではモスピラン水溶剤、サンマイトフロアブルなどを散布する。 


 
トマトでラノーテープを使用するときは、発生初期から設置するなど基本事項を遵守する。 
 
その他の病害虫 発生予想 注意点


    

 
○ニラ白斑葉枯病   
○きく白さび病    
○施設野菜・花き共通マメハモグリバエ 
○大麦縞萎縮病   
 
発生量:平年並
発生量:平年並
発生量:平年並

発生量:平年並
 
施設内の低温に注意する。  
施設内の多湿に注意する。  
施設内外の雑草、不要作物を除去する。

必ず、排水対策を実施する。 
 
 
☆なぜ、大麦縞萎縮病に対して排水対策なのか?
縞萎縮病ウイルス(BaYMV)は大麦の根に寄生する変形菌門ネコブカビ目に属するPolymyxa graminisにより媒介されます。その伝染方法は、Polymyxa graminisの休眠胞子内で夏を越し、秋に休眠胞子より発芽した遊走子が、大麦の根に寄生することで感染します。長期間必要以上にほ場が湿っていたり、湛水状態になると、この遊走子は移動しやすくなりその生息範囲を広げ、ウイルスの感染を広げることになります。そのため、排水対策を行い、ほ場水分を適切に保つことが有効な防除手段となります。

☆あぜ道等枯れ草焼却について
 枯れ草焼却はイネ縞葉枯病やイネ黄萎病などを媒介するヒメトビウンカ、ツマグロヨコバイの越冬幼虫防除が主目的となっています。しかし、近年、県内全域でのこれら病害の発生は減り、また、その媒介虫の越冬密度(本年調査結果は次項も低く、限られた地域での発生になってきていますので、地域での発生実態を考慮した上で実施することが大切です。なお、ほぼ毎年、何らかの事故が発生しており、人的にも物的にも危険な作業ですので、十分な安全対策を講じた上で実施しましょう。
☆ヒメトビウンカ・ツマグロヨコバイ越冬密度調査結果について
 ヒメトビウンカについては平年に比べ、極めて低い密度となっています。また、ツマグロヨコバイは県南部で他地域よりは多めでしたが、平年に比べ、全般的に低い密度でした。
 
          ヒメトビウンカ        ツマグロヨコバイ
        平成13年 平 年       平成13年  平 年
県北平均     0.0  32.3       8.4  128.6
県中平均      0.3  61.2      24.5  220.3
県南平均      1.2 146.3     144.0  446.3
県 平均        0.5  76.2      50.3  257.1
   ※平年値はH3〜12の平均値 単位は「頭/10u」(11月14・15日調査) 

関東甲信地方3ヶ月気象予報(気象庁11月20日発表)
12月: 平年と同様に晴れる日が多いでしょう。気温、降水量とも平年並でしょう。
 1月: 平年と同様に晴れる日が多いでしょう。気温は高く、降水量は平年並でしょう。
 2月: 平年と同様に晴れる日が多いでしょう。気温、降水量ともに平年並でしょう。
○気 温 12月: 平年並 1月: 高 い 2月: 平年並
○降水量 12月: 平年並 1月: 平年並 2月: 平年並

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