栃木県病害虫発生予察予報  栃木県農業環境指導センター  

平成13年度第5号(平成13年8月29日発表)

予想期間:8月下旬〜9月下旬


 予報の根拠で、(+)は多発要因、(−)は少発要因を表す。
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1 水 稲 いもち病(穂いもち)  普通植栽培
 (1)発生予想  発生量:やや少ない 
 (2)根  拠  ・現在、普通植地域での葉いもちの発生は少ない。(−)
           ・今後の気象予報は気温が高く(+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・穂ばらみ期と穂ぞろい期に薬剤防除を行う。
         ◇予防効果の高い薬剤 → ラブサイドなど
         ◇予防効果・治療効果の高い薬剤 → ブラシン、カスラブサイドなど
 (4)備  考  ・穂ぞろい後、夜間に高温、多湿が続く場合には、穂ぞろい後7〜10日後にさらに1回薬剤防除を行う。
           ・穂いもちは発生してからでは手遅れになるので、予防的に防除を行う。
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2 大豆 カメムシ類              (速報第4号 8月2日発表)
 (1)発生予想  発生量:多い 
 (2)根  拠  ・予察灯へのイチモンジカメムシ、アオクサカメムシの飛来時期はやや早く、やや多かった。(+)
           ・各地のほ場でホソヘリカメムシ、イチモンジカメムシ、アオクサカメムシの発生が見られている。(+)
           ・今後の気象予報は気温が高く(+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・子実肥大期に薬剤による防除を行う。
 (4)備  考  ・発生が見られる場合にはまず防除を行い、発生の推移を見ながら9月中旬まで、さらに1〜2回の防除を行う。
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3 大豆・野菜共通 ハスモンヨトウ     
 (1)発生予想  発生量: やや多い
 (2)根  拠  ・県中部のフェロモントラップへの誘殺数は平年並である。(±)
           ・県南部のフェロモントラップへの誘殺数は昨年よりやや多く、大豆やさといもなどで、食害がみられるほ場がある。(+)
           ・今後の気象予報は発生・食害活動に適している。(+)
 (3)対  策  ・幼虫が集団でいるうちに、寄生葉を摘み取り、処分する。
           ・薬剤は若齢幼虫のうちに散布する。
           ・薬剤抵抗性の発現を防止するため、連用を避けて系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
           ・いちごなどの施設栽培の場合は、施設開口部に寒冷紗を張って、内部への侵入を防ぐ。
           ・雑草などにも生息するので、ほ場周辺の草刈などを行う。
            ・現在の初期発生に注意し、幼虫がみられたら防除する。
           ・大豆では初期の白変葉がみられたら、防除を徹底する。
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4 いちご 炭疽病
 (1)発生予想  発生量:平年並 
 (2)根  拠  ・現在の育苗床での発生はやや少ない。(−)
           ・今後の気象予報は気温は高く(+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・排水対策、チューブ潅水などを行う。
           ・キノンドーフロアブル、ベルクート水和剤、デランフロアブル等をていねいに葉を洗浄するように散布する。
           ・被害株は見つけしだい取り除き肥料袋等に詰め、口を閉じて日当たりのよい屋外に放置して処分する。
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5 あぶらな科野菜 コナガ
 (1)発生予想  発生量:平年並 
 (2)根  拠  ・県中部のフェロモントラップへの誘殺数は現在やや少ない。(−)
           ・これからの気象予報は発生に適している。(+)
 (3)対  策  ・定植時に粒剤(ガゼット、オルトラン、オンコルなど)を施用する。
           ・発生初期に薬剤を散布する。
           ・薬剤抵抗性の発現を防止するため、連用を避けて系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
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6 野菜共通 アブラムシ類
 (1)発生予想  発生量:やや多い 
 (2)根  拠  ・黄色水盤への有翅虫の飛来数は平年並。(±)
           ・今後の気象予報が発生に適している。(+)
 (3)対  策  ・定植前に粒剤(ジメトエート、アドマイヤー、オンコルなど)を施用する。
           ・発生がみられたら、薬剤を散布する。
           ・いちご、トマトなどの施設栽培ではハウスに持ち込まないよう、定植前に丁寧に薬剤で防除する。
 (4)備  考  ・モザイク病を媒介するので、初期発生に注意し防除を徹底する。
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○その他の病害虫          発生予想
  野菜 軟腐病        発生量:平年並  
  きく アザミウマ類     発生量:やや多い
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○なしは収穫終了後に、黒星病とハダニ、シンクイムシ類等の越冬害虫の防除を行いましょう。
─────── 関東甲信地方3ヶ月気象予報(気象庁8月20日発表)───────
  9月:平年と同様に晴れる日が多いでしょう。前半を中心に残暑が厳しいでしょう。 気温は高く、降水量は平年並でしょう。
 10月:天気は数日の周期で変わるでしょう。気温は高く、降水量は平年並でしょう。
 11月:天気は数日の周期で変わるでしょう。気温、降水量ともに平年並でしょう。
  ○気 温  9月 高 い、10月 高 い、11月 平年並
  ○降水量  9月 平年並、10月 平年並、11月 平年並
 

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
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