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 植物防疫ニュース
       平成14年度病害虫発生予察特殊報第2号
                  栃木県農業環境指導センター 平成14年5月29日発表
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 本県において、ヨーロッパ原産の害虫であるアルファルファタコゾウムシの発生が確認された。本
種は、昭和57年に福岡、沖縄両県で初めて確認され、その後中国、四国、近畿、中部地方と分布を
拡大してきた。関東では平成13年に東京都、平成14年に埼玉県で確認されている。
 

病害虫名:アルファルファタコゾウムシ(Hypera postica GYLLENHAL)

 
1 発生確認までの経過
 平成14年4月に、県南のレンゲ畑においてゾウムシ類による食害症状が確認された。この害虫は
特定独立行政法人畜産草地研究所那須の害虫管理研究室神田健一室長により、アルファルファタコゾ
ウムシと同定された。
 
2 アルファルファタコゾウムシの特徴
 (1)形態             
  成虫:体長は4.0〜6.5mm。地色は褐色〜黒色で、体の表面は灰色がかった鱗片で覆われている。
     背面中央部は濃色紋となっているが、個体変異が大きい。
  幼虫:ふ化直後はほとんど無色透明であるが、成育するにつれて緑色を帯びる。
  蛹:白色、レース状球形(直径約6.5mm)の繭内で前蛹を経て蛹になる。繭はレンゲソウなどの
    茎葉や枯れ葉などに包まれている。








 








 








 
アルファルファタコゾウムシ








 
レンゲの被害の様子
  
 (2)生態と被害
  年1世代であり、5〜6月頃に羽化した新世代成虫は、羽化後しばらくマメ科植物などを摂取し
 た後、樹皮・枯れ葉・段ボールなどの下の比較的乾燥した場所に移動して、夏眠する。11月頃か
 ら徐々に覚醒し、マメ科植物のあるほ場に飛来侵入し、翌年5月頃まで摂取・交尾・産卵を行う。
 産卵は夜間に行われ、一頭の成虫で約1,000個産卵する。
  3月上旬にふ化した幼虫は、寄主植物の茎葉や花を摂取し、4齢を経過して蛹になる。
被害は、幼虫による寄主植物の茎葉や花の食害が主である。
 (3)寄主作物
  主にアルファルファ、レンゲソウ、ウマゴヤシ、シロツメクサ、カラスノエンドウなどのマメ科
 牧草及び雑草に寄生することが知られている。
なお、新成虫が高密度に発生し、レンゲソウやウマゴヤシなどが枯死や耕起され、ハウス内の密
 閉環境に侵入した場合にはソラマメ、ダイズ、インゲンマメ、エンドウ、キュウリ、メロン、ジャ
 ガイモ、アザミ等も食害されるが被害程度は少ない。
 
3 防除対策
 (1)耕種的防除法としては、新成虫が発生する前に寄主植物を完全に収穫するか、耕起・湛水する。
 (2)薬剤防除は幼虫発生期に行う。
   アルファルファタコゾウムシまたはゾウムシ類に登録のある薬剤

   作物名
 

    薬剤名
 

 希釈倍率・使用量
 

 使用時期
 

 使用回数
 
 レンゲ(緑肥用)
 レンゲ(緑肥用)
 イネ科・マメ科牧草
 マメ科牧草
 
 トクチオン細粒剤F
 トクチオン微粒剤F
 スミチオン乳剤
 ディプテレックス乳剤
 
   6kg/10a
   6kg/10a
  1000〜2000倍
     500倍
 
 開花前
 開花前まで
    −
    −
 
  1回
  1回
   −
   −
 
養蜂が行われるレンゲ畑では、ミツバチの影響に配慮し、危害防止に努める。
 

  島島島島 詳しくは、農業環境指導センターまでお問い合わせください。島島島島

             TEL 028-626-3086   FAX 028-626-3012
  ホームページ http://www.jppn.ne.jp/tochigi/