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植物防疫ニュース
         平成15年度病害虫発生予察注意報第3号
                          栃木県農業環境指導センター 平成15年7月24日発表
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  7月中旬以降、斑点米の原因となるクモヘリカメムシ・ホソハリカメムシ・イネホソミドリカスミカメが、
昨年多発した中山間地域を中心に、牧草地やイネ科雑草地で多数見受けられています。今後、水田
への飛来が増加し、玄米の品質が低下するおそれがありますので十分注意してください。

 
   作 物 名:水 稲
   病害虫名:斑点米カメムシ類(クモヘリカメムシ・ホソハリカメムシ・イネホ
                       ソミドリカスミカメ)


1 発生予想  発生量   多 い
           発生地域  県全域(南那須、芳賀、上都賀、塩谷地域等中山間地は特に注意)
 
2 根  拠
(1)7月中・下旬の牧草地等での20回振りすくい取り調査では、1ほ場当たりの平均すくい取り虫
  数が、クモヘリカメムシ83.7頭、ホソハリカメムシ2.8頭、イネホソミドリカスミカメ222.9頭であっ
  た(表−1)。なお、7月中旬の平年値は、クモヘリカメムシ37.1頭、ホソハリカメムシ2.7頭(平
  成5〜14年の平均)、イネホソミドリカスミカメ29.5頭(平成9〜14年の平均)である。
(2)7月中旬の本田におけるすくい取りでも、斑点米カメムシ類が確認された。
(3)昨年、夏期の高温により、斑点米カメムシ類の成育が進み、第2世代の発生量が増えたため、
  越冬虫数が多かったと推察される。
 
 表−1 牧草地等での20回降りすくい取り調査結果(頭)






















 
調査月日
 
調査地点
 
  クモヘリ
  カメムシ
  ホソハリ
  カメムシ
イネホソミドリ
カスミカメ
採取地
 
7月14日





 
矢板市 山田        0        0        0 牧草地
今市市 小林        1        0        0 雑草地
鹿沼市 酒野谷       46        4    1,913 牧草地
粟野町 下粕尾       33        3      198 牧草地
7月15日





 
小川町 小川        0        2       61 牧草地
南那須町 鴻野山        0        1       45  牧草地
益子町 北中       14        0        0 牧草地
茂木町 小山      257        4        0 雑草地
7月22日

 
烏山町 大木須      348        1        2 雑草地
馬頭町 富山      138       13       10 牧草地
      平     均     83.7      2.8     222.9  
    平成5〜14年平均      37.1       2.7  ※   29.5   






















      ※ 平成9〜14年の平均

3 対 策
  (1)畦畔・休耕田等での防除対策(水田飛来前対策)
   水田畦畔や休耕田などで出穂しているイネ科雑草は、斑点米カメムシ類が水田に侵入するま
  での餌場や繁殖地になるので、以下のことに注意して除草対策を行う。
   ・斑点米カメムシ類(クモヘリカメムシ)が見られない場合
    出穂の2週間前までに草刈りを行う。 ただし、出穂直前の草刈りは、水田ほ場内へカメム
    シ類(クモヘリカメムシ以外)の移動を促し、逆効果となるので注意する。
   ・すでに飛来の見られている場合
    殺虫剤を散布した後に草刈りを行うと効果的である。
 
 (2)本田での防除対策
   ・クモヘリカメムシ、ホソハリカメムシは出穂期以降に水田への飛来のピークを迎えるので、そ
    の時期を的確に捉え、防除を行う。なお、斑点米の発生は主に幼虫よる加害が原因となるの
   で、幼虫密度を下げることを目標に、下記防除時期に表−2の薬剤等で防除する。
   ・出穂の早い水稲は被害が集中しやすいので、防除を徹底する。また、晩生品種は8月下旬
    の乳熟期以降に新成虫の飛び込みも懸念されるので注意する。
  [防除時期]
   ★粉剤・乳剤等で防除する場合
     @出穂期〜穂ぞろい期   
     越冬成虫の加害・産卵時期    飛来が見られる場合は、@・Aの2回の防除が必要
     A乳熟期幼虫の加害時期
     B糊熟期(傾穂期)            多発した場合は、Bの時期の追加防除が必要
     終齢〜新成虫の加害時期
   ★粒剤で防除する場合
      出穂期〜穂ぞろい期に散布する。(湛水状態で散布し、3日間は入水やかけ流しはしな
                             い。)
 
 表−2 斑点米カメムシ類に登録のある主な薬剤一覧(本田施用剤)









 
  薬剤名(商品名) 散布量・濃度 使用基準    備    考
スミチオン粉剤2DL 3〜4s 14/* 休耕田雑草地に登録あり
スミバッサ粉剤20DL(魚) 3〜4s 14/*            
スミチオン乳剤 1,000倍 21/3 休耕田雑草地に登録あり
トレボンEW(蚕) 1,000倍 21/3 休耕田雑草地に登録あり
トレボンMC(蚕) 2,000倍 21/3 休耕田雑草地に登録あり
MR.ジョーカーEW(蚕) 2,000倍 14/2 休耕田雑草地に登録あり
ダントツ水溶剤(蚕) 4,000倍 14/3  
スタークル粒剤・アルバリン粒剤 3s 7/3  
ダントツ粒剤 4s 14/3  









 
    ※使用基準:収穫前日数/使用回数(○回以内)   *印は3回(出穂前は1回)
 
     島島島島棟レしくは、農業環境指導センターまでお問い合わせください島島島島
                         TEL 028-626-3086
                         FAX 028-626-3012
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