植物防疫ニュース                   栃木県農業環境指導センター
   栃木県病害虫発生予察予報 第3号
                            (平成15年6月25日発表)

                            予想期間:6月下旬〜7月下旬
 予報の根拠で、(+)は多発要因、(−)は少発要因を表す。

 1 水稲 いもち病(葉いもち)
 (1)発生予想    発生時期:平年並  発生量:やや少ない
 (2)根  拠  ・本田初発は6月第4半旬と平年並であった。
        ・現在の発生量はやや少ない(−)。
        ・BLASTAMによる感染好適日は少ない(−)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高く(±〜−)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・取り置き苗は発生源になりやすいので早急に処分する。
        ・常発地で箱施用または水面施用していない場合は、早急にオリブライト
         等速効性の粒剤を散布して予防する。
        ・発生が認められたら、予防及び治療効果のあるブラシン、カスラブサイ
         ドなどを散布すると効果的である。
 (4)備  考  ・20℃前後で弱い連続降雨のあるとき感染の好適条件となるため、常発
         地では特に注意する。
        ・感染好適日の情報は逐次、当センターホームページに掲載しています。

 2 水稲 イネドロオイムシ
 (1)発生予想   発生量:平年並
 (2)根  拠  ・現在の発生量は平年並(±)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高く(±〜−)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・発生の多いほ場(成虫密度が株当たり0.3頭以上)では、スミチオン
         乳剤、ベストガード粉剤DLなどを散布する。
        ・昨年発生したほ場は注意する。

 3 いちご(苗) 炭疽病
 (1)発生予想   発生量:やや少ない
 (2)根  拠  ・現在の発生量は少ない(−)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高く(±〜+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・育苗には、雨よけ、ポット、排水対策、チューブ潅水などを行う。
        ・育苗期にキノンドーフロアブル、ベルクート水和剤などをていねいに散
         布する。
        ・バイオトラスト水和剤は予防効果が主体なので、発病前に散布し、他の
         殺菌剤との混用及び近接散布は避ける。

 4 いちご(苗) うどんこ病
 (1)発生予想   発生量:やや少ない
 (2)根  拠  ・現在の発生量はやや少ない(−)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高く(±〜−)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・苗が過湿にならないように管理する。
        ・ポリオキシンAL水溶剤、サンヨールなどを散布し発生を予防する。
        ・発生の多いほ場ではラリー水和剤、ルビゲン水和剤等のEBI剤を散布
         する。(EBI剤は耐性菌防止のため、一作2回以内の使用とする。)

 5 露地野菜・花き アブラムシ類
 (1)発生予想   発生量:やや多い
 (2)根  拠  ・黄色水盤への誘殺数は平年並(±)。
        ・現在の発生量は平年並〜やや多い(+)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高く(±〜+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・発生が見られたら、薬剤を散布する。
         (なす:モスピラン水溶剤など、ねぎ:ジメトエート乳剤など、きく:
          ダントツ水溶剤など)
 (4)備  考  ・アブラムシ類はウイルス病の病原(CMVなど)を伝搬するので早めに
         防除することが重要である。

 6 なし 黒星病
 (1)発生予想   発生量:やや少ない
 (2)根  拠  ・現在、やや少ない発生である(−)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高く(±〜−)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・罹病した葉や果実は伝染源となるので早急に除去し、園外で処分する。
        ・キノンドーフロアブル、サニパーなどを予防散布する。発生が見られた
         ときはラリー水和剤等のEBI剤で防除する。(EBI剤は耐性菌防止のた         め、一作2回以内の使用とする。)
        ・特に、幸水は果実肥大後期の7月上旬から黒星病に対し感受性が高まるので         注意する。

 7 りんご 斑点落葉病
 (1)発生予想   発生量:やや少ない
 (2)根  拠  ・現在、少ない発生である(−)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高く(±〜+)、降水量は平年並(±)。
 (3)対  策  ・パルノックスフロアブル、オーソサイド水和剤80、ベルクートフロアブ
         ルなどを散布する。

 8 果樹(なし・りんご) カメムシ類   (速報第2号 平成15年5月15日発表)
                      (注意報第1号 平成15年6月25日発表)
 (1)発生予想   発生量:多い
 (2)根  拠  ・越冬世代成虫のフェロモントラップへの飛来数は多い(+)。
        ・今後の気象予報は気温が平年並か高い(±〜+)。
 (3)対  策  ・多目的防災網は、網目が4mm以下のものを使用し、すき間がないよう
         にしておく。
        ・園内で発生を認めたらMR.ジョーカー水和剤などを散布する。
        ・有袋栽培でも加害するので注意する。

 ○その他の病害虫の発生予想
  水  稲    縞葉枯病 :少ない
  夏秋トマト  葉かび病 :やや多い
  野菜共通    コナガ  :平年並

 ○水稲紋枯病の防除について
  昨年発生したほ場は、本年も発生する可能性が高いので防除しましょう。
  特に、梅雨明け後、気温が高くなると発生しやすいので注意しましょう。

 ○大豆の播種時の防除について
  紫斑病防除のため種子消毒を徹底しましょう。また、タネバエ・コガネムシ類の防除のた
 め、播溝にダイアジノン粒剤5を施用しましょう。コガネムシ類の防除は、中耕時にダイア
 ジノン粒剤5を株元施用しても効果があります。

 
  6月1日から8月31日まで平成15年度栃木県農薬危害防止運動を実施しています。
  農薬は安全に使用し、確実に管理しましょう。
 
関東甲信地方1ヶ月気象予報(気象庁6月20日発表)
  6月21日から7月20日
   平年と同様に、曇りや雨の日が多いでしょう。
        低い(少ない)確率   平年並の確率   高い(多い)確率
   気  温     20%        40%       40%
   降 水 量     30%        40%       30%
   日照時間     30%        40%       30%

 
 
詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/