栃木県病害虫発生予察予報 第5号
                          栃木県農業環境指導センター
                         (平成15年8月28日発表)

                         予想期間:8月下旬〜9月下旬
 予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。

1 水稲 いもち病(穂いもち)   普通植栽培
              (注意報第4号〔水稲いもち病第2報〕8月20日発表)
 (1)発生予想  発生量多い
 (2)根  拠  ・現在、葉いもちの発生は多い。(+)
        ・8月中旬の調査において県南、県中の早植コシヒカリ等ですでに穂い
         もちが発生している。(+)
        ・水稲の生育は低温、日照不足により軟弱に生育しており、いもち病に
         罹りやすい体質となっている。(+)
 (3)対  策  ・穂ばらみ期と穂ぞろい期の2回薬剤防除を行う。特に葉いもちの発生
         が多いほ場では、予防効果と治療効果の高いブラシン、カスラブサイ
         ドなどを散布する。
        ・穂揃い後、夜間20℃以上で多湿が続く場合には、穂揃い後7〜10日
         後にさらに1回薬剤防除を行う。
        ・穂いもちは発生してからでは手遅れになるので、必ず予防的に防除を
         行う。

2 大豆 カメムシ類
 (1)発生予想  発生量:平年並
 (2)根  拠  ・現在の発生はやや少ない。(−)
        ・今後の気象予報は、気温、降水量ともに平年並で、カメムシ類の成育
         にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・稚莢期から子実肥大期に薬剤による防除を行う。
        ・カメムシ類は連続して発生するので、発生が見られる場合にはまず稚
         莢期に防除し、9月中旬まで、さらに1〜2回の防除を行う。

3 大豆・野菜共通  ハスモンヨトウ
 (1)発生予想  発生量:やや少
 (2)根  拠  ・フェロモントラップへの誘殺数は少ない。(−)
        ・今後の気象予報は、気温、降水量ともに平年並で、ハスモンヨトウの
         成育にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・幼虫が集団でいるうちに、寄生葉を摘み取り処分する。
        ・薬剤は若齢幼虫のうちに散布する。特に、IGR剤、BT剤は中齢以
         降の死虫率が低いので注意する。
        ・薬剤抵抗性の発現を防止するため、系統の異なる薬剤をローテーショ
         ン散布する。
        ・いちごなどの施設栽培の場合は、施設開口部に寒冷紗を張って、内部
         への侵入を防ぐ。
        ・雑草などにも生息するので、ほ場周辺の草刈を行う。

4 いちご 炭疽病
 (1)発生予想  発生量:平年並
 (2)根  拠  ・現在の発生は少ない。(−)
         ・8月中旬は降水量が多く、低温と日照不足であった。(+)
        ・今後の気象予報は、気温、降水量ともに平年並で発生にやや適してい
         る。(+)
 (3)対  策  ・排水対策、チューブ潅水などを行う。
        ・育苗期にキノンドー、ベルクートなどをていねいに散布する。
        ・バイオトラストは予防効果が主体なので発病前に散布し、他の殺菌剤
         との混用及び近接散布は避ける。
        ・被害株は見つけ次第取り除き肥料袋等に詰め、口を閉じて日当りの良
         い野外に置いてから処分する。
        ・健全な苗を定植するようにし、発病の疑わしい苗は使用しない。

5 あぶらな科野菜 コナガ
 (1)発生予想  発生量やや多
 (2)根  拠  ・県中部のフェロモントラップへの有殺数は平年並。(±)
        ・今後の気象予報が発生にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・定植時に粒剤を施用する。
        ・発生初期に薬剤を散布する。
        ・数回散布するときは系統を変えてローテーション散布し、薬剤感受性
         の低下を防ぐよう留意する。

6 野菜共通 アブラムシ類
 (1)発生予想  発生量:平年並
 (2)根  拠  ・各作物での発生は少ない〜平年並。(±)
        ・黄色水盤への有翅虫の飛来数はやや少ない(−)
        ・今後の気象予報が発生にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・定植時に粒剤を施用する。
        ・発生初期に薬剤を散布する。
        ・施設栽培では、本ぽに持ち込まないように、定植前に防除をていねい
         に行う。
 (4)備  考  ・モザイク病を媒介するので、初期発生に注意し防除を徹底する。

7 その他の病害虫   野菜 ハモグリバエ類   発生予想:やや多
            きく アザミウマ類    発生予想:平年並

○野菜の軟腐病 低温、日照不足で軟弱に育っており、今後降水量が多いと多発しやす
  いので、予防的に防除を行う。なお、バイオキーパー水和剤(生物農薬)は発生前か
  ら予防的に散布する。他剤と混用すると十分に効果が発現されないことがあるので、
  注意する。

○なしは収穫後に、黒星病とハダニやシンクイムシ類の越冬病害虫の防除を行う。

 
※農薬は適正に使用しましょう!
 
関東甲信地方1ヶ月気象予報(気象庁8月22日発表)
 8月23日から9月22日
  天気は周期的に変わるでしょう。
        低い(少ない)確率  平年並の確率  高い(多い)確率
 ○気 温      20%       50%      30%
 ○降水量      20%       50%      30%
 ○日照時間     30%       50%      20%

 
       詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/